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女子キックをつまんないとは言わせない 女子キック史観とKOを得る方法Ver. 2.0

Ver. 2.0:  220910**を2箇所加えました。
つまんないと思うのはそんな見方しかできないから
ただそんな見方の人が多いのは事実
そんな人達を、面白いと思わせるにはどうしたら良いのだろう

なぜつまらない?

・KOが少ない
・ダウンも少ない
・技やテクニックが単調
・技やテクニックが未熟
・選手が少ない(同じ顔ぶれ)
・キックはMMA(総合格闘技)より弱いから
・220910*反則で試合の中断が多い*

こんな感じだろうか。よく聞くのが判定ばかりでスリルが無い。正直に言えば、僕も時々居眠りしてしまう。これらは誹謗中傷の類ではなく事実。こんな調子だと確実に消滅してしまう。

なぜそうなる?

ではなぜ上記のようになるのだろう。

  1. 体力的、物理的に、体重50 kg以下のパワーでは脳震盪で倒すほどの力を生じさせることが難しい。

  2. 競技人口の少なさ。突出した才能はメジャースポーツに流れる。

  3. マッチメイクによるもの。これはレベルがある程度高く、実力が均衡している者同士の戦いではKOが出難くなる。

  4. ジャンルとして、選手もファンも未熟だから。別競技を同じものさしで計ろうとする。

  5. KOする事より防衛する事のメリットが大きいと考える。例えばタイトルマッチのKO賞に500万円だとどうなるだろう。武尊 vs レオナ・ペタスのようなスリリングな展開になるだろうか

  6. 220910*技術不足。ダウンが少なく、バッティングや掴みの反則が多くなる。*

最も重要なのは2の競技人口の少なさ、これが多ければ身体能力が高くセンスが良い選手がより多く現れる。これにより、1、3、6が解消できる。

世の中には多くのスポーツやプロ競技があるが、女性がプロとして活躍する種目が男性より少ない。野球もサッカーもレスリングも女子チームはあるが、プロ競技として目立つのはテニスやゴルフ程度。テニスは人気スポーツであり女子プロの技術も高いから、テレビ放送でも世界の注目が集まり、賞金も高額で、しっかりしたランキングも存在する。

その点、キックボクシングは空手などからスライドしてプロになるケースがほとんどで、憧れてそれを目指すような人気種目にはなっていない。総合格闘技のほうが、柔道、空手、レスリングなど裾野が広いので、今後キックボクシングより競技人口が増える可能性が高い。世界的にもUFCなど、収入的にプロトップの種目にもなっており人気が定着してきた。日本からも多くの選手が世界を目指している。このままではキックボクシングは女子だけの問題ではなく、前途が暗い。

それでも男子のキックボクシングはK-1、RISEをはじめとして日本ローカルではあるが、そこそこの人気を持っている。歴史的にムエタイにルーツを持つキックボクシングであるが、組み付きを少なくする事で、ほぼ別競技に仕立て上げる事に成功している。その証拠にムエタイ王者でも、キックボクシング王者に勝てない事が最近では証明されている。クリンチからが勝負のムエタイと、クリンチを禁止しているキックボクシングは似て非なる競技なのだ。

だから女子もうまくやれば、男子のように人気が出る可能性があると思う。しかし実際には先ほどに挙げた理由で「女子はつまらない」と言われている。競技の人気がないから競技人口が少なく、少ないからレベルが低いと悪循環になる。

女子のキックボクサーの体型は総じて筋肉質、筋トレによってムキムキの体が得られる。そしてぱんちゃん璃奈のように美しく強くなれる。そこに憧れる子供や若者が増えている雰囲気は感じる。空手なども動きの美しさやかっこ良さから入門する動機には事欠かない時代ではある。

MMAに駆逐された歴史認識を忘れている

神村エリカの時代にライバルがいたら云々の記事を見かけたが、そう言う解釈もあるのか、へえーと思った。1990年台に台頭し始めたMMAに強さの面で敵わないと、選手本人やファンが思い始めた所から衰退が顕著になったと僕は見てきた。いくらマイナー競技の中で神村が目立った存在だったと言え、総合格闘技は柔道などのメジャースポーツからの転向が多いため、アスリートの質が違う。徐々にMMAやシュートボクシングに押されて、選手も真っ向からMMAと勝負しなくなって行った。それでも90年代は女子キックボクサーや空手家が総合の選手と戦う光景があったが、2000年代になるとグレイシー柔術が格闘技界を席巻し、女子キックボクシングはおろか男子キックボクシングも格闘技として「弱い」と烙印を押され、キックボクシング界も空手界もそれに抗う事は無かった。そしてキックボクシングは女子に限らず本格的な斜陽時代を迎えた。そしてそれは2003年、K-1正道会館の石井和義氏の逮捕、実刑拘留に至り、キックボクシング冬の時代は決定的なものとなった。石井氏の出所と時期を同じくして活躍したのが神村エリカである。つまり最もキック界が衰えた時期に選手時代を過ごしていた。ライバルのシュートボクシングのRENAに敗退した事も痛手だった。このように当時はキックボクシングの存在意義さえ危うい時代だった。因みに神村エリカの短い5年程の現役時代は藤井恵(フジメグ)や禅道会がMMAで活躍した時代でもある。神村はそちらに挑戦する意思はなかったようだ。若くして五年程度で現役を退いた理由は怪我とされるが、MMAの台頭に自信を無くしていたとする見方もある。

復活したキックボクシング

神村エリカが引退した後、下火だったキックボクシングが息を吹き返した。新生K-1。名前こそK-1であるが、名前を買い取って出来た全くの別組織である。武尊と大雅がタイトルマッチを行う2015年頃にはキックボクシングの復活を印象付け、その後那須川天心らのスーパースターの出現により、ジャンルとしてキックボクシングは完全に世間の認知を勝ち取った。付随してK-1のKANAが外国人相手に健闘し、RISEの女子キック隆盛に繋がって行く。ちょっと長くなったが、女子キックボクシングを語るならこうした史観もあると言う事だ。だから僕は神村の前の時代のキックボクサーをレジェンドと言うのならまだしも、たった五年しか現役選手として活躍していない、総合格闘技に挑んでもいない、まだ若い神村を祭り上げる事に違和感を感じている。

最後に女子キックボクシングにどうしたらKOが生まれるか、真剣に考察してみた。そもそもKOは男子であってもそう簡単に出来ることではない。相手が距離をとって下がり、ディフェンスに徹すれば難しくなる。マッチメイクでKOを作る事は容易い。明らかなレベル差、体重差で試合を組めば簡単にKOを作れる。或いはそうした階級的に下のクラスの外人選手との対戦を組むような事が過去には頻繁に行われていた。ここではそうした方法ではなく、純粋に技術的にKOを生む方法を考察してみた。

こうすれば女子でもKOできる

最近のキックボクシングの試合で、KOで極まるケースを書き出してみる。

・ハイキック
・ボディーブロー
・三日月蹴り
・カーフキック
・後ろ蹴り
・後ろ回し蹴り
・フック
・バックブロー

その他にも上段ヒザ、飛びヒザ、ストレート、アッパーなどがあるが上記で90%以上を占めるはず。

もちろんこれらを単発で放って極まる訳ではなく、コンビネーションと共に使用するし、個々の技には細かい重要な技術が不可欠なのだが、その辺りの技術や精度に女子は特に問題があるように見える。次に詳細に移る。

物理的、科学的な精度を軽視していないか

先ず、前項で挙げた技に共通する事実がある。それは「遠心力」である。上記の全ての技はフックとボディーブロー、バックブロー以外は足による遠心力を利用した技なのである。全てが遠心力を利用しているが、その上に「足技」なのだ。足は手より長く遠心力により大きな力を生み出せる。ところが女子の試合ではレベルの問題もあるが、直線的な前蹴りと直線的なジャブからストレートのワンツーが多用される。これはコンパクトに技を用いる事により堅実なスタイルで戦う事がコーチから求められているからだと思う。もちろんそれは正しい選択の一つであるとは思う。しかしそのような戦い方をプロが皆でしていればジャンル自体が衰退し、消滅してしまいかねない。ある程度のリスクを承知で破壊力のある技を使用する事も考えて欲しい。端的に言えば前蹴り以外の足技を磨く事となります。特に三日月蹴りは破壊力が高く、当noteの三日月蹴りの巻を参照して細かい技術を習得していただきたい。次の項ではもっと重要な点について言及します。

最重要なのは       です

次に武尊のKOの秘密、龍華のハイキック、野杁の三日月蹴りと、具体的にKOする技の秘密を解剖します。

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