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Kick Japan Ranking Virtual Feb. 2023 Vol. 008 Ver. 1.10

団体対抗戦その他のニュースが多く、リリースが遅れました事をお詫び申し上げます。対抗戦の予想しています!

Ver. 1.10:  RISE 165、RISE 166注目カードの結果を追記
Ver. 1.00:  ムエタイがやって来た!

前々月ランキング無料公開は終了しました。

Kick Japan Ranking Virtualとは?

日本国内で、キックボクシングルール(ヒジ無し、ほぼ掴み無し)の試合をする選手のランクです。原則、RISE、新生K-1、KNOCK OUT、シュートボクシング等に参戦する選手のランキングを発表しています。継続参戦が期待される外国人選手も含めました。試合結果だけに拠らず、選手の実力ベースで評価したものです。ミスジャッジもずいぶん有りますからね。

ヒジ無し、掴み制限有りルールを採用する団体の選手の強さを相対的に理解出来るランキングを目指しています。

当ランキングの名称には Virtual が含まれています。その意味は各団体によって少しずつルールが異なります。全く異なるわけではありませんが、首相撲有りの団体と掴み禁止の新生K-1では微妙に間合いやテクニックが異なります。ですからボクシングのパウンドフォーパウンドのように、仮にルールが同じならこの選手はこの位のレベルですよと言う目安の為のバーチャルランキングとなっています。

前々号のランキング無料公開は終了しました。
新号は不定期にリリースする予定で、ランキング以外の記事は無料です。

Topics

新生K-1とRISEの対抗戦が実現!

試合予想
玖村将史判定勝利、鈴木は普段からあまり掴まないのでルール的な不利は少ないが、微妙に影響が出そう。
斗麗判定勝利、これも難しい予想になる。ランキングでは安本晴翔が上だが、安本は新生K-1ルールになると少し影響が出るタイプ。斗麗は成長過程の選手なので、ムエタイ的な棒立ちになる癖が修正されていればこのルールでは強い。
アリKO勝利、實方選手も掴み禁止のルールには慣れていない。フィジカル的に恵まれているアリのパンチが当たれば倒れるのでは。RISEルールなら結果は逆になるかも。

試合予想
南原KO勝利、ここの所精彩に欠く印象が強い愛鷹と、難しい相手に勝利して来た南原の勢いには差がありそう。
門口判定勝利、新美はボクシングスタイルで新生K-1ルールに最適化された選手。微妙なルールの違いを門口が活かせば勝利できるだろう。
佐々木判定勝利、佐々木選手は地味だが、いざ攻略しようと考えると穴がない厄介なベテラン。白鳥は佐々木が慣れていない、ワンキャッチ・ワンアタックを有効に使用した戦いしか勝利の道は無さそう。

ぱんちゃん璃奈関連

まさか、ぱんちゃん璃奈選手がタイに行ったのは、上のnoteでONEChampionship を目標にと言うような事を書いたからではないですよね。まさかね。

ムエタイがやって来た!

当コンテンツはヒジ無し、掴み制限有りの日本的キックボクシングのみを取り扱うものです。しかしながらそのルーツはタイの国技であるムエタイに有ります。日本空手がムエタイに挑み、倒そうとしましたが本場の国技にそのルールで敵うはずもなく、ムエタイに似た様々なルールの団体が乱立しました。異論はあると思いますが、ムエタイルールそのままを採用しないのは理由があっての事です。

もちろん、敵わないからと言う理由だけではありません。ムエタイは5ラウンドでクリンチ有りの戦いですから、消耗度の高いルールになります。ペース配分が重要になりますからフルラウンドをラッシュする訳には行きません。クリンチが多く、観て楽しめる日本人ファンはそう多くはありません。やはりパンチラッシュや派手なキックでKO試合を求めるファンが多いのです。

それにムエタイはギャンブル対象の事が多いので、プロレス的な展開に見えてしまう部分もあります。楽しみ方の幅がキックボクシングより広く、日本人には好みが分かれるショーになっています。

日本では消耗度の高いクリンチを禁止したり、ラウンド数を減らしたり様々なルールが登場しました。投げたり、関節技や頭突きを認める過激なルールも存在します。

そして結果的に日本の格闘技ファンはシンプルなルールを好むような結果となりました。ボクシングの人気は今も健在です。井上尚弥の分かり易い強さは誰が観ても楽しめるものです。そして次に視聴者数が多いのが新生K-1です。キックボクシングの中でもラウンド数が少なく3ラウンドで、ヒジ掴みを一切禁止にする事で、ボクシングに近いアグレッシブで分かり易いルールになっています。掴みを禁止する事でディフェンスが難しくKO率も上がります。

そしてRISEやシュートボクシングと、使える技が多くなるほど観る方にとっては難しく、マニアックな世界になって行きます。そしてその最たるものが、日本ではムエタイとなっており、ヒジ、掴んでのヒザなど立ち技格闘技では一番過激で可能な攻撃が多いものとなっています。

で、ムエタイがなぜ、毎日のように配信するようになったのか。それは時代の変化とONEの進出ではないでしょうか。ONEはMMAが主体でしたが、タイの国技ムエタイにも力を入れているのが明らかです。恐らく、CEOのチャトリ氏はアジア人としてムエタイや空手にアイデンティティを見出しているからなのではないでしょうか。

そのONEがムエタイの王者クラスを集めて、世界の強豪と戦わせる場を作ったのです。今までムエタイの殿堂と言えば、ルンピニー、ラジャダムナンスタジアムが君臨し、他にも様々なタイトルが存在していました。その秩序にONEが変化をもたらしたのです。

他に経済発展に伴って古い慣習やシステムの更新を迫られた事も旧体制が動いた理由でしょう。どこまで今の状況が続くのか分かりませんが、恐らく多くのジムが細々とでも存続して行く為には、日本と同じように配信を行いながらスポンサーを付けて興行を行うのでしょう。

どんな格闘技であれ、盛んになるのはファンにとって良い事です。
しかし、それに伴って八百長や薬物、マフィアの存在なども付いてきます。

露骨な体格差マッチや噛ませ犬で日本の格闘技を暴力団の資金源にしない為にも見守って行きたいと思います。

KJコラム

蹴り足を掴んではいけない

これはファンが思う以上に重要なルールなのです。
蹴り技を安易に使用すると、足を掴まれその後不利になる事が多いのですが、新生K-1ルールは掴みを禁止しています。

ムエタイ選手で蹴り足を取られて倒されるのは弱い印象があります。
RISEルールのようにワンキャッチワンアタックでKOする事さえあります。
どんなに遅い蹴りでも掴んではいけないとすると、大きく頭を切り替えて練習しなければ対応が難しいでしょう。
ここが似て非なる格闘技と言われる理由です。

じゃあ掴まれないのだから、どんどん蹴りを使用すれば良いとなるでしょうが、実際には新生K-1ではあまり蹴りが主体になっているようには見えません。むしろパンチが多いイメージがあります。

なぜなのでしょう?

これはもう一つのルール、3R制が絡んできます。

昔のキックボクシングでは膝上を蹴るローキックが今より盛んに使われていました。それは5Rが基本だからなのです。地道にローを蹴る事によって、長丁場の試合では確実にダメージが蓄積し、判定結果に影響を及ぼすからです。

では、ミドルキックはどうでしょう。これも掴まれないのだから、蹴りたくなると思います。しかし実際にはそれほど皆がミドルキックばかりを使用している訳ではありません。これも5Rなら有利でしょう。しかし、3R制なら耐えて前に出てパンチを当てるほうが勝率が上がると言うわけです。

三階級制覇の武尊選手の戦術を見ればそれは明らかです。
ミドルキックも出しますが、主にインローとパンチが主体です。
これはルールを突き詰めた時の最適解だからです。

他にもテンカオや、最近ではカーフも使用しています。
詳しい分析はここではこれ以上しませんが、
3Rに鍵が有ることは、もうお分かりでしょう。

だから、絶対に掴んではいけないのです。

ルールは命です。


ランキングに影響する大会

KJコラム

蹴り足を掴む事を完全に禁止しているのは日本では新生K-1ルールだけです。これは他の立ち技格闘技と異なる点です。RISEは掴んだら、一度だけ攻撃を許します。ですから瞬間的にでも一度離してから、もう一度掴んで攻撃するテクニックを見せる選手もいます。まだ少ないですが。他にも団体によっては時間制限を設けたりしています。もちろん、ムエタイではこのような制限は有りませんし、掴んでから勝負が始まる競技とも言えます。

ここで分かるのは、掴めなければムエタイ選手にとっては羽をもがれた鳥のようなもので、実力を殆ど出すことができないのです。ミドルキックを蹴られたら、蹴られっぱなしでそこからのテクニックを発揮する事ができません。

ですから新生K-1がムエタイの一流選手を呼んでも、何も恐れる必要は無いのです。クリンチ後のヒザもヒジも、クリンチ自体も禁止されているからです。このルールならパンチに比重を高めた技術体系が有利になるのも当然なのです。

そこで新生K-1ルールをタイ人選手に理解していただく為に、要点を説明したいと思います。今のK-1は、昔のK-1と異なりSINSEI K-1と呼ばれています。意味はNew K-1です。掴みを一切禁止するなどルールが異なっています。このルールを完全理解して最も堅実に戦い、三階級した選手がいます。武尊です。彼は厳しいトレーニングはもちろんの事、この新生K-1ルールを最も研究して戦った選手と言えます。

その武尊の戦い方はシンプルです。最初に出すのはローキック、最近ではカーフキックも使いますが、主に「インロー」です。武尊はサウスポーを苦手としましたが、オーソの場合は主に強烈なインローを多用します。そして左右のフックを強引に叩き込みます。しかしただ強引に叩き込むのではなく、ボディー、から頭頂部まで、広い範囲の急所を殴ります。精度が高いパンチと言うより、上下の打ち分けを重視したパンチを打ちます。

そして武尊や他の何人かが使用する新生K-1に必須の攻撃がもう一つ存在します。「テンカオ」です。これは掴みを一切禁止する新生K-1では、無くてはならない攻撃です。新生K-1でも二流以下の選手はあまりこれを使いこなしていませんが、武尊は普通にこのコンビネーションを使用しています。当然、他の選手を上回ります。

ただし、このテンカオもRISEなどと交流戦をした場合は、あまり意味をなしません。彼らは一瞬でも相手を掴んで攻撃できるので、このテクニックを必要とはしないのです。

このようなルールの壁を理解していなければ、どんなにムエタイのMVPだと言ったところで武尊や野杁のような新生K-1でも一流の選手には勝つことはできないのです。二流以下の選手には通用すると思いますが。

ムエタイの一流選手は素晴らしい。ですから新生K-1に安易に参戦して、惨めな姿を晒して欲しくないのです。健闘を祈ります。

●早くも年間最高試合?チャンヒョン vs 常陸

この試合では両者の実力差が全く未知数で、どちらもかなりの実力者であることは分かっていたのですが、二人の実力がどの程度なのかは全く不明でした。そしてその結果が出た。どちらも当たれば倒せるパンチを持っているのですが、チャンヒョン選手は最初から5ラウンド以上を戦えるペース配分のように見えました。対する常陸は切れ味鋭いパンチを最初から放ち、いくつかのパンチを当てていました。

ここで感じたのは常陸のパンチが当たってもチャンヒョンが倒れなかった事。それが一つ。チャンヒョンが冷静にコンパクトなパンチを出しても常陸は見事なディフェンスで丁寧に攻撃をかわしていた事。これは試合前にはあまり実感できていなかった事実です。非常にスリリングでハイレベルな展開が延長戦まで続きました。

また、チャンヒョンはパンチだけでなくカーフやローなど蹴りも混ぜた。常陸はパンチのみ。最終ラウンドまで常陸のパンチは当たれば倒せる威力を失っていませんでしたが、もしチャンヒョンが下段への蹴りをだしていなかったら、常陸のパンチがもっと当たっていたのかもしれない。かと言って、常陸が蹴りを混ぜれば勝てたかと言うとそんな風にも思えない。むしろボディーなどパンチのバリエーションを磨いたほうが良いのかもしれません。

あるいはこの試合ではクリンチの展開がほとんど見られなかった。ご存知の通り、RISEルールはワンキャッチ・ワンアクションが許されています。しかしこのルールに長けた選手は少ない。もし次があるのなら、これをどちらかの選手が使うなら展開は全く異なったものになる可能性もあります。

判定は本戦も延長も僕の目には僅差でチャンヒョンだったと思う。しかしその差は明確ではなく、このまま永遠に続けても常陸が倒れる事はあっても逆になる事は無いだろうと言うものでした。これはチャンヒョンの経験から来るペース配分の上手さなのでしょう。

それでは次回、常陸選手がチャンヒョンのようなペース配分をすれば勝てるかと言うと、それはそうでも無いように思えます。そんな事をすれば、すかさずチャンヒョンが攻勢に出て、常陸の良いところを出せずに終わる気がします。次はフィジカルや技術、コンディションで上回ったほうが勝利するのでしょう。

特にチャンヒョンは試合後3日間で16 kg増量したそう。これではコンスタントに試合して、コンディションを保つのは容易では無い。63 kgに階級を上げる事も考えられますが、そこは激戦区。チャンヒョンのフレームではこれまでと同じような展開にはならないような気がします。

武尊の参戦

武尊選手がヒジ有りでロッタンの要求に応えようとするのは非常にリスペクトできる行為ですが、勝ちを諦めなければならないでしょう。勝負に徹するとして、ここは冷静に考えてみましょう。

武尊選手は新生K-1で三階級制覇を成し遂げています。体の成長に合わせ、或いは重い=より強いを目指して55kg、57.5kg、60kgと階級を上げ、頂点に立ちました。 しかしそれは簡単な事ではありませんでした。特に60kgに上げた時は、最初パワー不足を感じる事がありました。そして今では60kgの実力者、レオナ・ペタス選手からも堂々のKO勝利を上げ、新生K-1を引退しました。

自分の土俵である新生K-1ルールで60kgの王者だった武尊選手。対するロッタン選手はRISEルールで那須川天心選手と互角以上の戦いをし、ONEのOFGムエタイルール61kgでもキックルールでもノーガードで打ち合えるタフネスぶりを見せています。

ここまで書いて、3月25日、ONEキックルールのタイトルマッチにスーパーレック vs ロッタンが決定したようです。キックルールのスーパーレックは前回の試合ぶりを見てもそれほど強くは見えませんでした。武尊選手はロッタンがヒジ有りを要求した場合にも応える反応を示していましたが、チャトリCEOはスーパーレックを用意しても反応を示さない武尊に業を煮やして、キックルールにロッタンを出場させました。

こうなると武尊は断る理由を失いました。もしロッタンがスーパーレックに勝利したら、武尊がロッタンに挑戦すれば良いわけです。お膳立ては完全に整いました。ワールドカップなんて取り敢えず置いといて、武尊選手よ、オファーを受け入れてONEのチャンピオンになれ!そしてチャンヒョン・リーやその他の強豪と夢のカードを実現させよう!


注目選手

≦ 53.0 kg

≦ 55.0 kg

コンペット・シットサラワットスア
日本でキックボクシングの試合をするに当たって、ONEでプラジャンチャイに壮絶なKO負けを食らったコンペット。タイにはまだまだ強いのがいるぞと言わんばかりに相手はパンチで倒した。明らかに一般的なムエタイの試合とは異なった壮絶なパンチの打ち合いの試合だった。ただコンペットは新生K-1ルールとの相性が良さそうに見える。その時のダメージが無ければ金子晃大選手は苦しい戦いになると思われる。

≦ 57.5 kg

≦ 60.0 kg

≦ 65.0 kg

ラムナムムーンレック
笠原弘樹選手とシュートボクシングルールで戦った、ムエタイのMVP選手です。ムエタイの人気選手は強いだけでなくルックスも重要で、この選手は両方を兼ね備えた超人気選手です。ただ、勿体無いですね。日本で勝利したところでシュートボクシングファンが喜ぶわけもなく、ちょっと考える必要が有りますね。

≦ 70.0 kg

≦ 46.0 kg Female

≦ 49.0 kg Female

≦ 52.0 kg Female


今月の注目カード

≦ 53.0 kg

結果:長谷川海翔のKO勝利!タイトルマッチまで一気に行きそう。

≦ 55.0 kg

結果:大﨑の3度の金的反則中断からの判定ドロー。
3度の反則で減点にならない。ルールはどうなっているのだろう。
ルールブックを見つける事ができない。
試合は予想通り簡単なものではなかった。
このレベルになると体格差が効いてくる。本来なら大﨑の反則負けが妥当。
結果:当ランキング外になって久しい京谷だが、完全に世代交代が行われたようだ。
本来ここでなぜ京谷と加藤が組まれたのか謎だったが、
今回のテーマである世代交代と言う意味では象徴的なKO決着となった。

≦ 57.5 kg

梅井 vs 拳剛のほうがインパクトがあるし、見たかった。
結果:魁斗判定勝利。有効打は梅井もあったが、梅井はガチャガチャした戦い方で印象が悪い。
シュートボクシングがRISEの王者を奪うか!フェザー級が面白くなってきた。

結果:拳剛選手、階級上げて最初の試合で見事勝利しました。

≦ 60.0 kg


≦ 65.0 kg

≦ 70.0 kg

≦ 46.0 kg Female

結果:最終ラウンドに小林がダウンを奪い判定で辛勝。
もう少し、MISAKIがカーフを徹底したり、ハイキックで仕留められるような技術が付いた時に、
もう一度見たい。
結果:百花判定勝利。
テクニックでは明らかに上回っていた百花だが、松本も最後までよく粘った。
まだまだ伸びる選手だろう。

≦ 49.0 kg Female


4団体統一キックボクシングランキング

ヒジ無し、掴み制限有りルールでのランキング
(RISE 新生K-1 シュートボクシング KNOCK OUT)

≦ 55.0 kg

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