カーフキック Season 3 Ver. 1.1
Ver. 1.1: 角材の太さを追記
もうすっかり格闘技界に定着した、カーフキック。
もう新しい発見などはそうないのですが、もう一度おさらいしたい重要ポイントを強調したいので、確認の意味を込めてSeason 3を書いてみました。
この技が流行し、勝ち星に恵まれた選手や、多大な被害を被った選手などさまざまでしょう。
自分が使用しない、できないからと言って、この技は無視はできない。
パンチに自信がある選手の中には、ノーガードで打たせておいて自分のパンチを叩き込もうとしたものがいる。ローキックと同じ感覚で3ラウンド制なら持ちこたえられると考えたようだが、実際にはローキックより即効性が高いので、どうしても意識が足に行ってしまい、自分がパンチをもらう結果になる。有井渚海選手がそうでした。
ここに有井渚海選手を例えに出したのはたまたまではありません。記憶に新しいところではONEでラマザノフ選手がノンオー選手に負けました。このラマザノフと有井選手に共通する点があるのです。
一般に格闘技には適性があると思われます。殆どのプロ格闘競技の場合、体重制が用いられています。このため、打撃を使用する競技の場合、高身長、ロングリーチが有利とされてきました。これは生まれ付きの細身体型を有する人に有利と言われてきました。柔道やレスリングなど、打撃を使用しない場合は関係ありません。
以前、ブラジリアン柔術の選手には手足が長く、細身の選手が多いとどこかで書いた事があります。立ち技をそれほど重視せず、長い事は有利であっても太く短い手足が有利に働く競技では無いからです。
カーフキック格闘革命では、元祖ローキックの名手盧山初雄氏や角材折りについて詳述しました。その時の論点は、どのように蹴るのが物理的に正しく、角材を折るのかと言う点でした。
答えは角材の中心を垂直に蹴る、でした。この時、もし角材の質量が同じなら、長い角材と短い角材のどちらが折り易いでしょうか?
同じ材質で、質量が同じなら長いものなら通常は細くなるはずです。
人間の足の骨も同じです。
例えば3X3X60cmの角材の体積は540 cm3です。太さ3センチ角で長さ60センチの角材ならなんとか折れそうです。同じ体積、つまり同じ重さで長さを30cmにした場合の角材の太さはおよそ4センチ角の太さになります。どうでしょう、蹴って折れそうですか?長さ30センチで太さ4センチ、これは折れないでしょう。重量制なら同じ重さです。
これまで打撃格闘技系において有利とされていた長足が、カーフキックの出現によって折れ易い=ダメージを受け易いものになってしまったのです。これから選手のスネの太さに注目して見てください。ベース競技によって太さが随分異なる事に気付くはずです。
ここでラマザノフや有井渚海、他にもRISEの大森隆之介選手などを思い出して見ましょう。必ずしもフィニッシュがカーフキックでは無くても、攻防の中でカーフによるダメージを受けていなかったでしょうか?
今後は彼らが活躍できなくなると言う事ではありません。より、技術を磨かないと、不利な点ができたと言う事なのです。
やはり、カーフキックの革命は大袈裟なものでなく、これまで有利とされきたものを不利に変えてしまうほどの技だったのです。