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最期に見たい景色

帰りに、スーパーに寄った。

エコバックに缶ビールの6缶パックと、3割引きになってた厚揚げを入れて店を出た。自転車のカゴにエコバックを入れた。ふぅと一息ついて、自転車の鍵を開ける。がしゃんと音がした。

なんだか視界がぼんやりと明るくて、思わず空を見上げる。

空の色が変わっていた。
店に入るまでは、水色のグラデーションに絵の具をこぼしたような白い雲が空に広がっていた。今、私の目の前には橙とも茜色ともつかない、サーモンピンクの雲が泳いでいる。

キレイだなぁ。

私は思わずカバンから携帯電話を取り出して、カメラを空に向ける。パシャパシャと写真を撮った。その後自転車を漕ぎ始めてからも、空の色が気になった。ちらちらと前を見ずに空を見てしまう。

次第に空の色が藍色に染まっていって、空全体が不思議な色に包まれていく。

頭の片隅で思った。
死ぬ時に見る景色は、こんな景色がいいなって。

私はどこで人生を終えるんだろうか。
私の目線の先には、何が写っているんだろうか。

大好きな人たちの顔なのか、病院の冷たい天井か、はたまた見慣れた家の天井か。想像もつかない場所かもしれない。仰向けで転がっているとも限らないし、家にいるとも限らない。でも、最期に夕焼けを眺めながら、人生を終えることはないんだろうな、とぼんやり思った。

せめて60年後にも同じように、綺麗な夕焼けが見れますように。
そして、ずっと覚えていられますように。






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