散歩中に考えること
ぼーっとしながら歩いている。
何も考えていない気がする。
贅沢な時間だ。
明日のことも、今日のことも、昨日のことも、散歩中は何も考えていない。
音楽も聴いていない。
本も読んでいない。
しっかりとリードを握って、犬が何かを咥えないかだけには気をつけて歩いている。
文字通り何も考えていないというわけではない。けれど、考えなくてはいけないと思っていることを考えてはいない。たとえば仕事のことも、お金のことも、子育てのことも、文章のことも、そういった難しいことは全く考えていない。
私が散歩中に考えていることと言えば、
風が気持ちいいだとか、
昨日と気温が違うだとか、
空の色が変わったとか、
雲が流れているとか、
昨日まで蕾だった花が咲いているとか、
何かの匂いがするだとか、
目の前にあるその瞬間のことだけだ。
それがとても心地いい。
何かを考える時、私は大抵、未来のことを頭に置いて考えている。
計画、実行、課題、未来。
一歩も二歩も先のことを考えなければいけないと思っている。それが社会人として正しい生き方であると信じきっているフリをしなければいけないと思い込んでいるからかもしれない。はたまた落とし穴に落ちないように慎重に歩かないと、未来が真っ暗闇になってしまうかもしれないという不安に飲み込まれないようにしているからかもしれない。
けれども散歩をする時は、
そんなことを考えてはいない。
それは、貴重な時間だ。
ぼんやりと今のことだけを考えている。
それが、とても心地いい。
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