夢追翔五周年に寄せて【#推し短歌】
名前は祝福で呪いででも何一つ捨てなかったあなたが眩しい
繰り糸を引き千切り銃口を向ける強さにやられて眩暈がする
共鳴で割れたガラス 滴るのは悲鳴のような産声と歌
お前の歌が響いているからこんな地獄でも息をしている
昼下がり真夜中明け方朝夕に 「そんな感じで今日もふぁいとだ!」
「気づけばそこに遥かな轍」あなたの言葉で世界は足りる
酸素だけでは呼吸ができない僕ら 愛憎渦巻くインターネット賛歌
愛と平和と歌と夢と あなたはたぶん全てで出来てる
積極的エゴサーチで全部くらいなよ 皆あんたが好きだってさ
■蛇足
VTuberの一年は相当重たいのだなと最近思います。人間は七つまでは神の子なんて言われていましたが、バーチャルの世界もそれに近いような気がしています。
そんな世界で、黎明期に生まれ、群雄割拠を生きて、今までずっと「夢追翔」という名前を背負い、はじめから今まで「バーチャルシンガーソングライター」を名乗り続けている凄さといったら。その強さ、輝きが眩しくて仕方ないです。
とんでもない歌詞を書く人だなと思い知らされた曲です。どことなく退廃的で耽美な音楽ですが、歌詞を読んで身につまされるような気もしていて。でもそんな風に聴いていたらいきなり銃口を額に突きつけられて、思わず両手を上げました。マジで。ちゃんと手を上げました。おこがましくも「敵わない」と一瞬で悟りました。とんでもない人を応援しているぞ、と震えました。セカンドアルバムのアルバムジャケットが脳裏をかすめて、この人はめちゃくちゃ強かなんだと嬉しくなりました。
まず曲名がオシャレすぎる。これ思いついたとき気持ちよかっただろうなと思うぐらい。皮肉っぽくもあり言語センスが尖りすぎてる。
曲中に入る、ガラス細工にヒビが入って粉々に割れるような、壊れてはいけない大切な何かが割れるような音が好きで、あの音が頭から離れません。
ずっとどこか苦しいのに根本では諦めていないような歌声が好きです。
”共鳴”より”共振”が正しい言葉のような気がしますが、共感とダブルミーニングしたくてこうなりました。
この曲をきいてから、この人の書く歌から目を離したら損だ! と思う様になった強烈な記憶があります。
「僕らはみんな地獄行き」なんて性悪説の塊みたいな歌詞を書いておいて「出会えたら 一緒に生きようか」と歌う、しかもラブソングと称している。とんでもないぞと思いました。むき出しなのに詩としての確立がすごい。
しかもファンタジアに向けて書いたと聞いてひっくり返りました。おそろいの共通衣装を着て立つ、あの煌びやかなステージに向けて?! しかも全部計算づくでやっている。とんでもない。どんだけ天邪鬼なんだ/どんだけ人間が嫌いなんだ/どんだけ人間が好きなんだ、が全部一緒に来ました。
音声投稿、助かる~~という感情。頑張れと言わない、言えない優しさと強さと弱さと誠実さ、繊細な感覚を持っていることが表れていて、好ましいなぁと思います。
臆病なぐらい思慮深いところも好ましいなと思うけど、いやめちゃくちゃなしとるやろが!! とも思う。為すとか為さないの前にバーチャルシンガーソングライターとして生まれて5年存在してくれてありがとうの宴だし、そもそもめちゃくちゃ色んなこと為してるし、そのバカでかい轍が見えませんこと?!?! という感情。
皆にとってというかあなたのお祝い事なんだから祝われてくれ、七つまでは神の子なんだから。
インターネット賛歌だなぁの感情。”愛憎渦巻くインターネット”で7・7なんだけどどうしても賛歌と言いたかった。めちゃくちゃ好きな曲。ツイッター(X)眺めて一日潰してる場合じゃねぇと思わせてくれる歌。
細かいことは失念してしまったけど、にじさんじライバーが「インターネットやめろ」と叫んでいる場面をまとめた切り抜きがあって、一人だけこの曲がまとめられてた夢追さんがめちゃくちゃ良いなと思った。歌ってるのあなただけですよ、そういう所が堪らなく好ましいです。
腕のボディーペイントの意味が愛と平和、「ラブアンドピース」なのが本当に良いなぁと思っています。火傷の上に描いているのも。手首に桔梗のタトゥーを入れた友人を思い出します。
どれだけ絶望や地獄を歌っても最後には希望を、未来を渇望を歌う強さや前向きさが本当に眩しいです。パンドラの箱みたい。進むことを辞めない姿が歌詞観にあって胸が熱くなります。
なんだかキラキラした語感の短歌になりましたが、傷跡とか色々なものをペイントで塗って笑っている様子もろもろひっくるめて素敵だねということです。
先ほども似たようなことを言いましたが、思慮深いのは美徳ですが今日ぐらい全部の肯定をもろにくらって欲しいなと思いました。
積極的エゴサーチと消極的エゴサ―チの話、あの時急に言語化できて話し始めたんだとしたら、賢ェ~~なぁこの人、と思った記憶と共に。
エゴサ魔に届くぐらいおめでとうと言いましょう。本当におめでとうございます。
■入れなかったけど書いていた短歌
・お願いだから既プレイと言って いや既プレイだったらそうはならんやろ
デトロイトとかニーアとか、察しが良すぎてリスナーに若干引かれてたりする部分が堪らなく好ましいです。そのくせうっかりゲームオーバーになったり重要なフラグを立てなかったりする部分も堪らなく好ましいです。
・飄々と突飛なことをしてみせる お試死なんて熟語はねぇよ
最近、夢追さんを形容する言葉として「飄々としている」が結構適切なのではないかと思います。思慮深さと飄々のバランスが魅力的です。クソガキムーヴなんて言われたりもしてますが。だからこそこのゲーム実況してくれ~と思うんだろうな。唯一無二だから。
面白がってるだけなんですが語気が強すぎるな~と思って引っ込めたものの、57577に一番乗っ取っています。
■蛇足2
現代短歌とコピーライトの違いってなんだ……? という問いに答えを見つけられず、答えに見当をつけても自分が書くと同じじゃないか? という考えがあり、短歌を作るのはやめておこうと思っていたのですが、書いてしまいました。
5周年に寄せてと書きましたが、別に5周年の今日に向けて書いたわけではなくて、どこに出す予定も無いのに書き溜めていたものをこの機会にと推敲して体裁を整えました。きしょいオタクです。
そもそも31字に収まっていないものがほとんどです。みそひともじですらないです。でもnoteでちょうど #推し短歌 という催しがあったので便乗しました。お祝いの気持ちはなんぼあってもいいと思うので。
血縁者や恩師にまでバレているnoteでオタク的な活動をするためらいが無かったわけではありませんが、まぁいいかの気持ちが勝ったのでまぁいいです。あとワンチャンあるなら俵万智さんと岡本真帆さんに講評してほしいし。
私が「作家になりたい」と周りに言えるようになったのには夢追さんの影響がないわけではないので。
「やりたいことがやれる世界じゃないなら」と思うようなこともありますが、そのたびに夢追さんが頭をよぎって、もうちょっとやってみようと思えます。ありがとう、辞めないでいてくれて。
■
改めて、五周年おめでとうございます。次のアルバムも楽しみにしています。
なんかオタク的なnote書くの楽しいので次は少女☆歌劇レヴュースタァライトの感想でも書こうかな。推しは星見純那と大場ななです。
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