環境観をアップデートせよ 〜ESG〜

ESGというゲームチェンジ

ここ最近、新聞を読んでいると、ESGという言葉を目にしない日はないといっても過言ではないぐらい、トレンド化しています。

ESGとは(Environment=環境)、(Social=社会)、(Governance=ガバナンス)の頭文字を取った略語です。

簡単に説明すると、このESGがこれから持続可能な社会を作っていく企業として必要不可欠な条件だとされています。そして、そういった企業に投資をすることで、世界はより良くなっていくはずだ、という考えが今の潮流です。

言い換えると、地球環境を悪化させる事業を展開していたり(E×)、従業員にブラックな働き方をさせていたり(S×)、裏でコソコソ悪いことしている企業(G×)にはお金を回していきませんよということです。では、具体例を見て行きましょう。


Appleとサウジアラムコの明暗


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企業の規模を表す『時価総額』という言葉、よく耳にしますよね。

時価総額とは発行株式数×株価で算出される数字です。

例えばあなたが、お洒落な石ころを拾って販売する(株)ビューディフルストーンという会社を作り、10000株を発行し、一株の価格が100円なら、あなたの会社は10000株×100円で時価総額100万円となります。

実は先日、世界の時価総額ランキング1位と2位が入れ替わりました。

1位へ返り咲いたのは、Appleで、時価総額は約200兆円にもなります。それに対して2位へ陥落したのは、おそらくあまり耳馴染みのない企業であるサウジアラムコです。

これはサウジアラビアの石油会社で、石油に関するビジネスにおいて世界トップの企業です。

この入れ替わりは極めてコントラストが鮮明で、これからのゲームチェンジを如実に表したものだと感じました。

Appleはサプライチェーン全体において、温室効果ガスの排出をゼロにすることを目標に掲げています。要するに、ビジネスを営むことと地球環境を守ることを両立してやってのけようとしているわけです。そしてこういった企業には多くの資金が集まり、さらなる発展が期待されます。低炭素化社会を標榜するこれからの世界において、環境問題はベターではなくマストとなってきているのです。

それに対して、サウジアラムコはというと、原油を生産、輸出する企業です。低炭素化社会という逆風が猛烈に吹き荒んでいる状態で大幅な減益を記録しました。その理由は原油価格の低下による収益性の低下にあるのですが、これはコロナによる短期的な影響にとどまらず、クリーンエネルギー活用へのシフトという長期的な影響を受けるため、成長社会時代のような原油価格には、もう恒久的に戻らないという見方もされています。

要するに、地球環境という大正義にそぐわない企業は、これから土俵に立つことすらも許されない、優しくも厳しい世界へとなっていくのです。

でもそれって企業の経営者に求めらるものでしょって思われるかもしれませんが、それはおそらくNoです。


子どもたちの環境観を高める

「企業と雇用者」という境界線がどんどんとグラデーションになっていく今日の世界において、こういった地球環境を考えることのできる行動様式は、ヒトとしての当然の『身だしなみ』となってくるのではと考えます。そういった見方から、僕は子どもたちに環境問題に関する知識や思考力を高める時間を、社会科の授業前にとっています。毎回、日経新聞の朝刊記事をもとに、話し合うお題を考えています。


例えば「水道水と天然水、どちらを飲むのが地球にやさしい?」というディベート。

メリットデメリットチャートを使いながら子どもたちのディベートをみまもりました。

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エシカル消費のことを考えたり

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植物肉のことを考えたり

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エコな車について考えたり

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僕は学年3クラスの社会科を受け持っているので、割と力を入れられるので結構凝ってて、でもまあ再現性はなかなか難しいところですよね。

ただ、僕たち教員が、これからの世界の潮流を掴み、今回なら環境の観をアップデートしていき、タイムリーな話題と授業とを融合させていくことは大なり小なり必要なことかと感じます。

そのためには僕たち教員は、知識や考え方を常にアップデートし続けることが大切になってきます。教科書であれビジネス書であれ、本って、出された時点でそれは過去の情報なのです。ちょっと意地悪な言い方をすれば、この世の本は全て古聞(ふるぶん)と捉えることができます。だからこそ、新聞(しんぶん)を読むことで、世界に対するアンテンはビンビンと張り巡らされるのです。

なかなか余裕ないですよね。僕も朝は子どもを保育園に送るのでテンヤワンヤの毎日です。でも、新聞を読むことで、間違いなく自分の中の観は最新のものへとアップデートされます。それは授業を通じて子どもへもかえるものと僕は信じています。