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名古屋シネマテーク閉館の取材②

随分時間が経ってしまったが、①の続きとして忘れないよう記録しておこうと思う。
5月18日、シネマテークのスタッフの方から渡されたNHK記者の名刺にすぐ電話をかけた。先ずは自己紹介。いつ頃からシネマテークに通っているのかなど尋ねられ、シネマテークから外へ出て電話していたら、気づけば1時間ほど経っていた。シネマテーク及びスタービルの建物内でインタビューを受けるとばかり思っていたら、何と記者の方が私の自宅で取材したいとのこと…自宅での取材に抵抗はあったが、受けることを決意した。

取材の約束をした5月26日。
自宅へ12時半ごろに取材陣のバンが到着。記者の男性、カメラマンと音声さんは2人とも女性だった。
長時間にわたるテレビ取材を受けることは人生で初めてなので、緊張気味だった。取材中に感極まり涙した場面もあったが、幸いにもその映像は使われていなかったので安心した。
取材の大体の方向性と趣旨は、事前に記者の方より聞いていたが、その場の即興の質問に的確に応えるのが難しい。
様々な気持ちが交錯し、良い言葉が出てこない自分がもどかしかった。
ただ、他の取材なら受けなかったと思う。大切な名古屋シネマテークのために自分が何かできることはないかと考えていたし、人一倍強い思いはあった。

前支配人である平野勇治さんが亡くなった時のこと。生前、観客に「映画をプレゼントしている」と語っていた氏の志に対し、最期に一言お礼を伝えたかった。葬儀の日、これまで以上にシネマテークを応援していこうと自分の中でひとつの決意が芽生えた。だからこそ守りたかったし、悔しくてやりきれなかった。
閉館から4ヶ月経った今もあの空間に思いを巡らせては無性に寂しくなる。未だ名古屋シネマテークが、存在しているかに思える。

取材を受ける予定の部屋を少し模様替えして花も飾って整え、ゴダール『勝手にしやがれ』、ブレッソン『バルタザールどこへ行く』のポスター、アケルマン『ジャンヌ・ディエルマン』のフライヤーなど敬愛する監督の映画が背景に写るようにセッティングした。

14時頃に自宅を出発しNHKのバンで取材陣と共に名古屋シネマテークへ向かう。移動中の車内で記者と談話する。記者は音楽、映画好きで、観客としてシネマテークで鑑賞したという直近のゴダール映画祭についても会話を交わした。


2023年5/6(土)〜5/16日(金)まで
名古屋シネマテークで開催された
追悼ジャン=リュック・ゴダール映画祭
本棚に「カイエ・デュ・シネマ」誌
ゴダール特集号が並んでいた
取材当日名古屋シネマテークで鑑賞した
『1PM ワン・アメリカン・ムービー』のポスター

5/20(土)〜6/2(金)【ANOTHER SIDE OF JLG】と題した特集上映中であった。
15:50からの『1PM ワン・アメリカン・ムービー』を観る予定で、上映に間に合うよう15時頃までに到着し、劇場の中に入る様子、ロビーでの取材や、客席に座ってからも撮影が入った。その後17:40から『ニューヨークの中国女』の上映が始まる前に最後のコメントを求められて外の通路へ出た。それで取材は終了した。

これからの人生でこんな経験は二度とは無いだろう。メディアで自分の姿を観るのは妙に恥ずかしいけれど、このような機会を与えていただいたことを感謝しています。名古屋シネマテークの方々、記者の方ありがとうございました。


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