吟遊詩人の名前

吟遊詩人がやったこと

吟遊詩人はエルダーグリームに芽生えた木霊らしいです。vicn氏曰く。どういうことなの・・・?

それはともかく、吟遊詩人についておさえていきたいとこを説明します。

まず、吟遊詩人とラマエは幼馴染でした。ですが、ラマエは「ショール公」なるお方と結婚する定めでありました(この時点でモラグ・バルとシェザールの対立が示唆されてますね)。

ある日、吟遊詩人はエルダーグリームの下から這い出てきた「赤子」を拾ってしまいます。これにより吟遊詩人は発狂し、ラマエを襲ってけがを負わせてしまいます。

正気に戻った吟遊詩人はラマエを遊牧民(ラザがいる)の集落に運び、治療する様頼みます。しかし、ラマエは助かりませんでした。

この結果に耐えられなかった吟遊詩人は赤子の力で血呪を発動し、ラマエを蘇らせます。しかしこれはラマエを吸血鬼化することになってしまい、怪物と化したラマエは遊牧民を襲い、皆殺しにしてしまいます(ラザだけが生き残った・・・はず)。

吟遊詩人は自分がしでかした事を知り、今度は短剣でラマエを刺し、眠らせます。そして癒えることのない悲しみを背負い、どこかへと旅立ってしまいます・・・。

面白いのは、吟遊詩人はモラグ・バル的でもあるしシェザール的でもあると言える事です。

彼が赤子の力でラマエを蘇らせたのは、人の死を受け入れずもとに戻そうとするモラグ・バル的な行為だと言えます。

でもその後にラマエを短剣で刺して眠らせてしまうのはシェザール的だとも言えます。

彼が持つこの矛盾した二面性は興味深いです。今回はこれについて考えます。

エンディングの分岐による吟遊詩人の名前の変化

「ちょうだい、ちょうだい。名前ちょうだい。」

吟遊詩人はvigilantでかなり重要な人物であるのにも関わらず、その素性というのが晒されません。気になりますよね。

でもこう考えるのはどうでしょうか。彼の素性は隠されているのではなく、そもそも存在しないのではないかと。

思うに、vigilantのそれぞれのエンドは吟遊詩人が何らかの“アイデンティティ”を得る物語ではないかと思うのです。

まずモラグ・バルエンド。これは明らかに吟遊詩人が「モラグ・バル」という名前を得るお話です。玉座で自らをモラグ・バルだとはっきり明言しますよね。

次に忘却エンド。雪原の上で吟遊詩人は行倒れてしまいますが、その後ヤコブに助けられます。これはアルタノが持っていた日誌と内容が一致しますよね。このことから「忘却エンドの吟遊詩人=アルタノ」だということがわかります。そしてアルタノという名前をヤコブからもらいます。

ビターエンドでは選択肢が複数出ますが、その中に「ステンダール」があります。ここではっきりさせたいのですが、私は「ビターエンドの吟遊詩人=ステンダール」なのではないかと思うのです。

ヤコブが残したメモに、ラマエの事を「ステンダールの過ち」だと表現する文があります。アーケイの冒涜者(要はアンデッド)のような比喩だと最初は思っていましたが、「過ち」というのがすごいひっかかっていました。

過ちってのは要は過去のしでかしです。

ここで思い出してほしいのは2章の最後らへん、ラマエと一緒になるか断るかのシーンです。ここでラマエの愛を断ると「冷たい目・・・本当にあの人そっくりね。あなたも私の愛に短剣で応えるのかしら?」と言ってきます。

番人の「」は度々いろんな奴に評されました。

ソロンディール、アルタノ、ヤコブといったステンダールの番人サイドの人物、またはアミエル卿などは番人の目を「意思が強い」「ステンダールを思い起こされる」と、いい方向に評価してくれます。

それに対し、魔女レイダ、ペペ、無能王ドラルドなどは「冷たい目」だと酷評してきます。

もう察しがついていると思いますが、ペペとかレイダのようなモラグ・バル的思考にどっぷり漬かってる奴らは番人の目をディスり、ステンダールなどエイドラに仕えてる善人側の人物は褒めてくれるというわけです。

そしてレイダは他にも冷たい目を持つ存在について言及しています。

そう、あの老いぼれことステンダールです。

そしてラマエは自分を刺した吟遊詩人の目が、番人の目と一緒だと言っていました。

つまり「吟遊詩人の目=番人の目=ステンダールの目」が導けるのです。

ここまで来れば「ステンダールの過ち」の意味が分かってくるのではないかと思うのです。

吟遊詩人はラマエ・バルという怪物を生み出してしまった。なんとかラマエを眠らせることができたが、もう彼女に安らぎが訪れることは無くなってしまった。

吟遊詩人は去り際、自らの心に巣食うモラグ・バルと対面する。彼はそこで「ステンダール」という名前、デイドラを狩る者としての役目を見つける。まさにその瞬間、吟遊詩人はステンダールへと昇華したのではないか・・・と思うのです。

(でもステンダールは対デイドラ特化のエイドラというわけではないし、本来は慈悲の神であります。でもこれはあくまで考察だから気にするな!)

ステンダールはかつての自分の過ちが繰り返されないように、デイドラに魂を売る奴が出てこないように、あんなにも厳しい神になったのかもしれませんね。まあコメントを読む限り評判はすこぶる悪いですけど・・・。

そしてハッピーエンドでは「ステンドル」という名前を得ます。

でもこのエンドでは吟遊詩人が何になったかというのはあまり描かれません。というか、ほかのエンドと違って何も起きない一番平和なエンドなので、吟遊詩人は平穏に生きることができた・・・のかもしれません。

でもデバッグルーム(ステンダール聖堂にある物置)には克肖せしステンドルという名前の骨があるので、こっちもこっちでステンダールになったのか・・・?(克肖とは正教会でも用語で、聖人に付される称号。要するに神に近づいた者って感じ。神の像と肖も重要な概念になりそうですね・・・。)

ただですね、vicn氏のサイトのGlenmorilの方での吟遊詩人の紹介にはですね、

エルダーグリームの若枝。黒フクロウが歌を教え、幼きラマエが名前を付けてしまったことで自我を得る。

とあるんですよ。

フクロウはおいておくとして、ラマエが名付けた名前ってのが気になりますね・・・。

最後に名前について気づいたことがあります。エセリウス侵攻エンドで、最後モラグ・バルに「さらばだステンダールの・・・いやとるに足らぬ者よ。」って言われます。もう名前すら聞いてくれないんですね。

そういえばコールドハーバーに居る方の腑分けの聖者に話しかけると、即座にコールドハーバーから脱出することができます。でもこれをするとプレイヤー名が「蛆虫」になり、名を失うことになります。

「名前」ってのがまた重要なんだなこれが。

要は吟遊詩人て何者?

吟遊詩人の回想シーンでは、番人の名前を名乗ることができることから、吟遊詩人と番人は同一視されているのではないかと思っています。

というか、これが吟遊詩人の特性ではないかと思うのです。

吟遊詩人は何者でもない。故に何者にもなれる。モラグ・バルにもステンダールにも、アルタノという平凡な奴にもなれる。そしてどこからとなくやってきた番人にも同化できる。

まだまだ吟遊詩人について考えたいことはあるのですが、今日はこのへんにしておきます。黒フクロウとかオルランドおじさんの事も考えるときりがないしね。

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