「離婚したいの。」
「親権で争うつもりはないから、離婚したいの。」
妻にそう言われたのは、真っ暗な寝室で数年ぶりにセックスを迫り、拒絶された後だった。
部屋は暗く、妻の表情は見えない。暗い声で話され、暗い声で返す。
「この際だから話しておきたいんだけど、私たちの関係ってもう終わっているよね?」
「そうだね。そう思うけど、娘のためにも仲良くしたいと思っているんだけどね。」
「もう無理だよ。」
「そうかもね。」
「もう離婚しよう。」
フィクションでも耳にしたことがない言葉。
「親権で争うつもりはないから、離婚したいの。」
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