足りない言葉と届かない気持ち。
1月14日、日曜日。晴れ。
この町には「どんと祭」というお祭りがある。
どんと祭。どんとフィスティバル。ドンフェス。
まぁ、簡単に言うと正月飾りを神社で燃やしてもらうお祭りである。
このお祭りが意外と結構混むもので、毎年、臨時駐車場が設けられる。
その少し離れた臨時駐車場に車を止めて、紙袋に入った会社の正月飾りを
ガサガサ音を鳴らして、てくてく歩く。
すれ違う子供連れ、家族連れ、カップル。
なんてほのぼのした休日。
神社のお焚き上げする場所に、紙袋を置く。
せっかくなので参拝して、甘酒をいただく。
しょうがが入っていて、あたたかい。
老夫婦が手を繋いで歩いている。
おじいさんがおばあさんを気遣っている。
こんなドラマみたいな光景が現実にあるんだなと思う。
今、確かに美しい現実が目の前に映っている。
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上司の言葉はいつも足りない。
何言ってるのかわからない。
でもわかれと言わんばかりの態度で圧が強い。
おいちゃんが聞いてくる。
「さっき、朝どこかに寄ってくるっていったの?」
おいちゃんが聞いてくる。
「これどうしろっていったの?」
しらんがな。
なんでワタシに聞くんだよ。
なんで?
知ってるよ。聞きにくいからでしょ。
機嫌が悪けりゃキレられるからでしょ。
知ってるよ。
そして、その気持ち、
わかるよ。おいちゃん。
だから結局、わからないから推測するしかない。
聞き返せないから、憶測でしかない。
「たぶん、こういう意味だよね?」って
わかんないもん同士で、答えなどない答えを求めて推測しあう。
そう、いつだって謎解きみたいになって、
名探偵コナンくんみたいになるしかないのだ。
だけど現実は名探偵にはなれず、違っていればブチ切れられる。
一番いいのは聞き返すこと。
わかっていること。
でもそのわかっていることができないんだよ。
何回もブチ切れられると。
当たり前のことができなくなるんだよ。
もういい加減、こんなくだらない関係性、終わらせたい。
本当に嫌。
言いたいことが言えない、言わせてくれない。
言えば言ったでその時の気分次第でブチ切れられる。
あぁぁ、なんて理不尽なんだろう。
それが自分だけじゃなくて、大体の人がそう感じているのだから、
もうバカバカしくてしょうがない。
「言わなくてもわかってよ。」、ということなのだろうか?
いや、わからないよ。言わないと。
言葉にしてもらわないとわからないよ。
説明してもらわないとわからないよ。
全然伝わらないよ。
全然伝わってないよ。
伝わってるのはその圧だけだよ。
確認しないとわからないよ。
「こういうことですよね?」と。
確認しないと不安なんだよ。
「これでよかったですよね。」と。
なんだか重たい荷物背負わされてるみたいで、
気持ちがズシンと重くなるんだよ。
なんでもっと普通に、
言葉と言葉を行き来することがなんでできないんだろう。
いつも一方通行で、
いつも行き止まりで、
引き返して、迷子になって泣き出すしかないのか。
言葉にしないと伝わらない。
でも、言葉にできない。
だって、
言う方も、言われる方も、
それを言ってしまったら、
その関係性が終わってしまうことを
本能的にわかっているから。
名探偵でしょ。
よく外れるけどね。
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