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ふわっと軽く。

髪を切りに行く。
いつも行っていたところでなく、違うところへ。
久しぶりにサロンを変えるので、ちょっとドキドキする。

店員さんは若くて、腕にタトゥーを入れている。
顔はベビーフェイスなのに、腕はタトゥー。
店内はドライフラワーが茂っている。
話はきっと合わないだろう。

前に行っていたサロンの人とは話が合った。
そして、毎回それなりに自然と話が弾み、楽しかった。
でも、人気が出てきたようで、だんだん予約が取れなくなって、
なんとなく、話がちぐはぐになって、楽しくなくなった。
そして、そんなことで、サロンをこの度変えたわけなんだけど、
一体何を話せばいいのだろうと今、不安になっているわけです。
自然と話が弾んでいた頃がなんだか懐かしい。

「さっ、今日はどうしましょうか?」

そんな軽い感じでスタートする。
そう、軽さは大事である。

「前に行っていたところでは、$%〇'&%△#%$な感じで切ってもらってまして、今回も同じような感じでお願いします。」

”とりあえず、ビール”的な感じで、こちらも軽さをアピール。

軽い感じの人だったが、その後は特にトークを仕掛けてくるわけでもなく、
もくもくと髪を切りだすもんだから、しばし沈黙となる。
そして自分は、自分の世界へ。

昔よく自己啓発本を読んでいた。
なんとなくダメな自分でも、なんとかなるんじゃないか、
という気持ちになったり、そう思いたかったからだろう。
宝くじを買うような心境だろうか。夢を買う、みたいな。

しかし、だんだん、その本はあくまでその人の話で、ほかの人には、
基本的にマッチしないんじゃないかって思うようになった。
別にその本の内容がウソだとかいいたいわけではなくて、
その人にとっては真実なんだとは思うけれど、それはその人の真実なのだ。その人の正解は、その人の正解ってだけで、正解は人の数だけあるよなーって思うようになった。

でも、世の中には、その正解めいたものが、いかにも正解みたいな顔して、堂々としてるもんだから、なんか思わず、
おお、これが正解か!、なんだ、こっちが正解か、危なかったぜ!とか、
そんなダサいことやってたんだよね。

結局そこにあったのは、「その人にとっての情熱は何だったのか」、
とういうことだけなのにね。

カットが終わり、髪を乾かしてもらっているとき、
「髪の毛、跳ねたりしますか?」と聞かれる。

「よくヨコが跳ねたりしますね。」と答える。

「みなさん、ドライヤーでただ押さえつけるように乾かすんですけど、
それだと、あんまり跳ねるの、直らないんですよねー」

「こんな風に、一回、ふわっと持ち上げてから、熱を含んでから、抑えるんですよ。」

そんな風に、ふわっと軽やかに、
情熱を感じながら生きていけたらいいのにね。

ふわっとね。























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