映画「浅田家!」

映画「浅田家!」を観た。
もちろん推しが主演しているからと言うのが大きな理由ではあるけれど、作品自体もどんなお話なのかすごく興味があったので偶然できた休みを利用して。


温かい作品だった。



家族の素晴らしさを押し付けがましく言うわけではないのに自分の家族がとても愛おしくなる。どこか懐かしくてじんわり心が温まっていくようなそんな感覚を覚えた。後味がよく、このまま余韻に浸っていたいという気持ちからかエンドロールが終わってもしばらく立ち上がるのを躊躇うほどだった。

原作について何も情報をいれずに観たので、初めはコスプレが好きな家族の趣味を撮ったものだとばかり思っていたが、蓋を開けてみるとそこには家族の叶えたかった夢や願いが詰まっている写真ばかりで驚いた。ただのコスプレ写真ではないしただの家族写真でもない。その絶妙なバランスがこの写真を見る人の心をふっと緩ませてくれるんだなと思う。

ちなみに観終わってから原作の写真集も購入して見比べてみたが、映画の写真のクオリティの高さときたら。こうやって細かい所までこだわり抜いて表現している所も魅力である。


3.11の扱い方も難しいところがある中でとても丁寧に描かれていたためか、すーっと入ってきた。写真洗浄というボランティアがなされていたことや、写真を返却する動きが今もまだ続いているということはこの映画を観るまで全く知らなかった。
家族を亡くし、家も家財道具も何もかもなくした人には遺影にする写真すら手元にない…被災者の方がどんな想いで写真を探していたのかと思うとぎゅっとなる。


写真は『記録であり記憶』だと思う。その瞬間を切り取って残しておくことで、写真を見るたびに思い起こされる景色や匂い、音がある。手元に写真が戻ってくるということはすなわちその時の記憶や思い出も戻ってくるということ。会えなくなってしまった人とも写真を通して再会できる。見つけた写真におかえりと声をかけるシーンはとても印象的だった。



なんでもデータで残しておける便利な時代になったと思う。私は写真を撮るのが好きなので家族写真ももちろん沢山撮っているが、撮りっぱなしでもう何年もアルバムを作るどころかプリントさえしていない。

久々に家族写真のアルバムを作ってみようかな。それを家族と一緒に眺めながら思い出話をしよう。今感じているこの温かい気持ちを忘れずにいられるように。


また一つ素敵な作品に巡り会えてよかった。


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