何を考えているのかわからない人が好き
私は、昔から人の顔色をうかがう方だった。
小さいころから両親が不仲だったので、いつも親の顔をうかがいながら生活していたからだと思う。私は、小学生になっても「結婚は好きな人同士がするもの」だと知らなかった。親を見て「嫌い同士だけどしょうがなく一緒にいるのが結婚なんだ」と思っていたから。
中学になるころに友達の話を聞いたり、性についての授業が始まったりして、ようやく「本来、結婚は好きな人同士がするもの」だと知った。
いつ母親の情緒不安定爆弾が爆発するのか、そうならないために子供としてどんな言葉を父親に話せばいいのか、そういうことばかり考えていた子供時代。
そんな家庭環境で育ったもんで、私は人の表情変化にはひどく敏感になった。怒ってる人が異常に怖い。
怒らないで、面白いことするから、笑って?そんな気持ちから、私は面白いことを話してみんなを笑わせる、キャラクターになった。
場の空気を壊さない程度に面白おかしい発言を。嫌な気持ちになる人がいないように謙虚さは忘れずに。
場の空気は読めすぎるくらいだった。空気を読みすぎて人といるのがしんどくなる。だけど誰も「面白おかしい更紗」がそういうことを考えていると気づかない。
協調性もあり、人見知りもしない。だけど、なぜか私はよく友人の板挟みにあい、そして面倒くさいことにも巻き込まれていた。巻き込まれ体質だと思っていたけど、後から考えると私は巻き込まれに行っていた。相手を放っておけなくて。
そんなわけで私は、人といるとなぜかいつも疲れてしまう。一人になると人といた時の反動で動けなくなる。友達のことは嫌いじゃないのに、一緒にいると疲れてしまう。
だけど、そんな私にも「一緒にいて疲れない」相手がいる。「一緒にいて疲れない」相手には共通点がある。
中学・高校・大学で一番仲が良かった子たちは、みんな「クール」「ハッキリ言う」「サバサバ」した性格なのだ。
私をよく知る先輩には「更紗が仲良くなる人って、いつもハッキリしててサバサバしている人だよね。正直言って意外だよ。あんだけハッキリ言われて嫌にならないの?」と驚かれた。
その先輩に指摘されるまで私は全く気付かなかった。
私自身がハッキリしない性格だから、ハッキリ言ってくれる人と一緒にいたほうが面白い。ハッキリ言ってくれれば、何を考えているか顔色をうかがわなくて済むから、一緒にいて楽。相手もクールだと私も無理して笑っていなくていい。たまに笑ってくれるとそれだけで楽しい。
私は自分と正反対の人が好きだ。
そして、「クール」「ハッキリ言う」「サバサバ」した彼女たちと同じくらい、私は「何を考えているのかわからない人」が好きだ。
ちなみに、夫は典型的な「何を考えているのかわからない人」である。
表情が顔に出ないから、何を考えているのかさっぱりわからない。落ち着いているけど反応も薄いし、笑うポイントがよくわからない。
だけど、だからこそ一緒にいて楽しい。
過去に「何を考えているのかわからない」と振られた経験もあるらしい。でも、私は何を考えているかわからない人といるのがすごい楽しい。顔色をうかがっても、話を聞くまでわからない。
逆を言えば顔色をうかがう必要がないんだから。
いま隣にいる、何を考えているのかわからない人が、わたしはすきだ。
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