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銀英伝の良さをちょっぴり語らせてください(日記)

お風呂で銀河英雄伝説をよむと幸せになれるということに気がついた。完全オフラインの湯船で、宇宙をめぐる物語に没入して、登場人物の思考に触れる時間は、ぜいたくだなぁと思う。

※ただし本はシワシワになる

「創元SF文庫」版の原作は全10巻からなる。長い物語のなかで、キャラクターのセリフとしていちばん始めに出てくるのは、キルヒアイスのからラインハルトへの、「星を見ておいでですか」という問いかけだ。

キルヒアイスの言葉はいつも美しいけれど、この言葉はなんと尊いんだろう。たった一言に、ラインハルトへの信仰にも近い気持ちや、いたわりが込められている。さまざまな政略や戦術が展開する本編の最初のセリフが、こんな繊細な一言から始まっているというのは、趣深い。

銀英伝は、政治のお話であると同時に、「人の意思を継ぐこと」という小さな物語の集まりでもある。主人公であるラインハルトと、彼に相対するヤンは、ともに概念的に孤児だ。彼らが、擬似的な新しい家族をつくり、軍をつくり、国家をつくっていく姿を、読書として追体験することで、歴史は個人の意思の積み重ねで作られていくことを感じる。

そういう、大きな物語と小さな物語を行ったり来たりするのに、お風呂の中って最適だ。

※そしていつか水ぽちゃする…

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