ガリシア語が話される土地
ガリシア語とは、ラテン語から枝分かれしたロマンス語の1つで、スペインのガリシア州で使用され、スペイン語とポルトガル語を足して2で割ったよりもポルトガル語に近いくらいの言葉です。ガリシアはスペインを仔牛の頭に見立てると、右耳に当たる地域で、ちょうどポルトガルの上、ニュージーランド南島北部の裏に当たる。ガリシアの街ア・コルーニャはほぼクライストチャーチの対蹠地である。地理で習うそのガリシアを代表する詩人ロサリア・デ・カストロのストア哲学を髣髴させる言葉をガリシア語から訳し、フランス語、カタロニア語、カスティリア語、ガリシア語、ポルトガル語の順で並べてみた。
こうやって比べると、イベリア半島の方言連続体が体感できる。
ガリシアの出身者には、フランコやカストロがいて、齢90で子供を作って話題になった歌手フリオの父親(エンリケからすれば祖父)もガリシアの出である。気質としては、愚直なところがあって、ジョークのネタにされることがあるそうだ。日本人で言えば、東北人に相当するポジションなのかもしれない。若きフリオがガリシアに対するサウダージを歌った曲を挙げる。
ガリシア語をもう少し聞きたければ、Netflixの「ビターデイジー(o sabor das margaridas)」がおすすめ。カスティリア語の字幕とガリシア語の音声が異なるのがわかると思う。
この切り抜きビデオの女性は主役の妹役。主役のMaría Meraは、決して美人ではないが、不思議な魅力のある女性で、個人的には誕生日が私と一緒で、親近感が湧く。全編ガリシア語で通されている。
6月21日には「ガリシアンギャング」というガリシアを舞台にしたドラマも公開されるようだが、残念ながらこちらのセリフはカスティリア語です。ドラマですので、ガリシア語の出番もあるかもしれません。
映画「蝶の舌」はカスティリア語の作品だが、原作はガリシア語の作家Manuel Rivasの短編集に収められた作品の1つ "A lingua das borboletas" が元になっているそうだ。下のビデオは、カスティリア語の音声にガリシア語の字幕がついている。
先に、ガリシア人は日本の東北人に似ているということを述べたが、ガリシア地方は豊かではなかったからか、南米に多くの移民を出している。その痕跡がブエノスアイレス、モンテビデオ、ロサリオなどの都市で使われるリオプラテンセ・スペイン語に残されている。一般的にリオプラテンセ・スペイン語ではナポリのイタリア語の影響を受けていると言われるが、ジャ・ジェ・ジュ・ジョの音がシャ・シェ・シュ・ショになるシェイスモ、二人称単数の代名詞 "tú" が "vos" になるボセオ、呼びかけの "Che" (革命家チェ・ゲバラの由来にもなっている)が二人称単数与格の代名詞 che 由来かもしれないことなど、ガリシア語の影響と断定はできないが、ありえそうなことは、ロマンス語だけにロマンのある仮説である。
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