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明け方のサービスエリアよき

夜行バスで東京へ。

午前4時の少し長い停車。寝ている彼を置いて私は外に出た。彼は本当にどこでもよく眠る。外は真っ暗で肌寒い。バスの灯りが幾つも重なり、地面に引かれたラインが白く浮かんでみえる。

冬は手洗いでお湯が出るから良い。お店の入り口は人がごちゃごちゃ行き来していて、自販機前で運転手さん達がコーヒーを飲んでいる。練り物屋とメロンパン屋は午後9時までで閉まってる。

二階の食堂は賑わっていて、朝食にハムエッグとか用意されてる。友達とパンを食べるおばさまだとか、女の子たちが少し疲れているけど楽しそうにお喋りしているのとか、それらを眺めながら一人で熱いお茶を飲む。彼はまだバスでぐうぐう寝ているだろう。背に手を添えられたような、微かな温かさを感じる。

彼の眠るバスに戻る時、月が出ていた。整列したバスと、結露した窓ガラスにどきどきする。

もうすぐ東京。初めての二人旅だ。

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