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【映画】ミッドサマー感想垂れ流し

イベント中止だなんだというこのご時世、満杯の映画館でじっくり二時間ちょいミッドサマーみました。その感想です。

先に結論を言うと、ミッドサマーめっちゃいいからめっちゃ観てねって話です。

※ネタバレ普通にしますので気にしない方のみ読んでください※






ミッドサマー、めっちゃ良かった。
あ~良かった。これはたまらなく面白いやつです。あ〜。


前情報は公式の出してるあらすじといくつかのネタバレなしツイートのみだったけど、その時点でどういう話なのかはもうほぼほぼ予想できていた。

大学生がカルトな村に遊びに行き、途中で「この村やべえ」って気づくも、しかし時すでに遅しでどんどん皆殺されていくんだろうなという流れはあらすじだけでみえてくる。
それに加えて、主人公は家族を亡くしているという背景から、きっと主人公だけはその村に馴染んじゃうみたいな話だろうし、さらに「別れたいカップルにおすすめ!」という皮肉じみた宣伝文句から、「彼氏なんていーらないっ!」っていう展開になることもなんとなくわかる。

でも、そんな誰でも想像できるストーリー、何の意味もない。
ストーリー展開が予想できることが全くマイナスに働かない、そのくらい完成度の高すぎる映画だったんだ、ミッドサマー。


ちなみに鑑賞時、両サイドにはなんとカップルが。
映画が終わり、明るくなって立ち上がったら、どっちのカップルもお通夜みてえな顔してて、片方の女の子はもう途中から目を背け続けていた雰囲気。「もうやだぁ~」と蚊の鳴くような声を出していた。後、若い男の子が、「意味わからん…」と半笑いで嘆くのも聞いた。

私はというと興奮状態で、まず「意味わからん…」という呟きに驚いて、それこそ「意味わからん…」だった。めっっちゃ明確でわかりやすくて無駄なシーンがない名作だな、と思ったので。
ただ、映画館の鑑賞後の雰囲気って、その映画らしさを示すと思っているんだけど、ミッドサマー後は、前述したカップルの女の子や、若い男の子の瞬発的な発言以外は、一瞬遅れて、全体にざわざわが広がっていったように感じた。その観賞後の一瞬の間が、周囲の嘆き声こそが、ミッドサマーらしい光景なのかもしれなかった。「もうやだぁ〜」と拒絶する人もいれば、「意味わからん…」と思考停止させる人もいるし、私みたいに「名作だ!」と圧倒されてしまう人、そして「面白いか面白くないかは置いといてとりあえず考察」する人もいるのだろう。そう、不思議なことに、映画自体は明確なんだけど、見てる方はみんな、それぞれ、明確じゃなくなってしまうのだと思う、このミッドサマーは。

そんなミッドサマー、「これはこういう映画だ」とできるだけ軽く表現したくない、という気持ちが強くある。
というのもこの映画、元々の評判や、日本で公開直後というのもあるかもしれないけど、SNSを中心に、すごく注目を浴びてる。そんな中、映画を世や人に宣伝するときに、「こういう映画」とジャンル分けしなきゃいけない気持ちはわかる、わかるんだけど、ミッドサマーについて「ホラー映画だから見ない」とか「いやホラーじゃないよ、恋愛映画だから見て」とか、「グロい?」「そんなにグロくないよ」とか、そういう一つのジャンル分けや視点で片付けるのめーーっちゃもったいない。
グロ要素はある、たしかにあるし、グロが苦手な人にとってはグロ要素がどの程度のものかというのは鑑賞するか否かにおいてすごく重要なのもわかる。同じくホラーじゃないよとは言うけど、ホラーが苦手な人にとっても怖いか怖くないかって重要な要素なんだよね。多分ね。気持ちはわかる……でも、でも、ミッドサマー、さっきジャンルとか簡単に表現したくないとか言った直後になんだけど本当にホラー映画ではないし、グロシーンは必要不可欠な部分を厳選してお届け⭐︎ってくらいだし、そういうところがめっちゃ拘られてるから、これから見る人はできるだけSNSに流れてくる直球な呟きをできるだけ避け、情報と先入観を持たずに観て、感動してほしいなと思った。

そのくらい、全てが明確で、シーン、時間、音、ギミック、背景、台詞、一つひとつに無駄がないのに二時間超の、名作でした。

後、同じくもったいないの話として、あの映画を観た上で「やばい」「頭おかしい」で片付けるのもめっちゃもったいないななどと。
そもそも、「(自分たちの文化と比べて)頭おかしい」「(自分たちにとって)やばい」でしかないじゃないですか……。私たちがお盆にお墓参りをすることに疑問をもたないように、あの村ではあれが普通なんだよな……。ミッドサマーの文化を理解しろ、みたいな台詞があるけどそれに尽きる。自分の周りにはいろんな当たり前があるけど、それがどこにいっても当たり前だとは限らない。まあ、文化が違うということは理解できても、受け入れられるか否かは感情の問題なんですけどね。

ということで、「やばい」「頭おかしい」で思考停止するのはもったいないなどと言いつつも早速矛盾したことを言うんですけど、わざわざ感想書こう!文字にしよう!と思っている私もそれはそれでまずいなと思いながら今書いています。自分でまとめてからにしよう、と人様のネタバレ感想・考察はほぼ読んでない(公式のネタバレページだけ見ました)のですが、多分めちゃくちゃ色んな人がめちゃくちゃ色々な観点でミッドサマーについて書いてますよね。
そうやって、私たちはミッドサマーを観てミッドサマーに作用されて、ミッドサマーを表現しようとするし受け取ろうとしてるんだなと思うと、なにが言いたいかというと、ちょっとその行為自体が、ミッドサマーの続きみたいでこわくない?って思ったわけです。
作中にミッドサマーについて論文を書こうとしてた人がいたけれど、失敗した。ただ、その代わりを、観賞後の私たちが知らないうちに担わされているんじゃないかなって……。ミッドサマーについて様々な解釈・考察でミッドサマーについての文章が垂れ流されていくの、神話とか伝承とか都市伝説とかそういうののはじまりってこういう感じなんじゃないかなって……。人によって感じ方が違うシーンもあれば、視点も変わるし。そうやってどんどん広まっていくことでミッドサマーがより大きなものになっていきそうじゃないですか。それが、人魚はマナティの見間違いでした〜くらいの大きな脚色になるかもしれないし、ていうかミッドサマー自体が下手したらその脚色された世界かもしれないとか、色々と想像が膨らんでしまう。こええ〜〜〜(※勝手な想像です)

ということで、めっちゃ映画そのものとしての感想を先に書いてしまったので展開しづらくなってしまったため後は感想雑多書きです(自業自得)


・これは見た後最初に思ったことで、ツイッターにも書いたんだけど、私、人が最も恐ろしい瞬間は、何かを裏切るとか欺くとか騙すとかよりも、何かを信じるそのときだと思っているんですね。人間はなにかを信じるときに抜群のパワーを発揮するし、何かに裏切られても何かを信じると救われちゃうのがこわくないっすか、人間……。ミッドサマー、そういう信じる強い人間を描き切ってるから迫力があった。

・この映画は初めから終わりまで、冒頭のダニーを残し、家族が無理心中するというどでかいトラウマシーンが引っ張ってるなと思う。結構たっぷり時間かけて描写するからこそ、彼氏との微妙な仲と家族の死による影響が染みて染みて、後半のホルガ村への恭敬が効きまくる。

・家族を亡くしたダニーが一人叫びまくって、クリスチャンがなだめるシーンと、終盤のクリスチャンが他の女とセックスしてるのを見てダニーが叫ぶと、みんなも叫び、同調してくれるシーンの孤と集の対比、えっぐ。

・映画でグループがあると必ず一人はいるアホ担当マークが良い味。お前が恐れるべきは間違いなくマダニじゃねえ

・白夜というのがいい味出してる……ヤクキメるのも、深い眠りを取りづらいのも、あの村の力を強めるバフ効果がありそう。後鑑賞側としては、あまりしっかり見たくはないシーンが明るい中で執り行われるのマジで……すごい……監督の狙い通り……。

・明らかに陰毛と経血を男に食わせようとしてるじゃ~~~ん!?と突っ込みたくなる絵が普通にスルーされてるの笑うわ。「ラブストーリーよ」じゃねえ~~~!!

・この映画、とにかく音が怖い。観てるときよりも、家に帰って夜寝る前に、脳内で色んな音が流れだして普通にゾッとした。

・ジョシュが教典を写真撮りに行ったときの「絶対に殺されるに決まってる」感は異常

・マヤめちゃくちゃに美しい……自然体でも美しいのに儀式のときにしっかりおめかししてる姿が美しすぎる……そんなマヤさんの、映画史上最悪なセックスシーンランキングに堂々ランクインしそうなセックスのときの、身体ゆすって「赤ちゃんを感じるわ!」と嬉しそうに言うところ流石に死んだ魚のような目をしてしまった。ちなみに死んだ魚の目になったシーンはもう一つあって、クリスチャンが熊かぶったところです。耐えきれない。この映画恐ろし面白すぎる。

・歴代女王のシーンとか村人の年齢層とかペレの両親の話とか住民たちの儀式への異常なまでの手際の良さなどなどから、この祝祭90年に一度は嘘じゃん……って思ったんですけどどうなんだろう。
嘘に関することだとラストシーンで痛みも恐れもなくなるから安心して、と言って食べさせた実が全く効果ないところとかも印象的だった。この村、外の人だけじゃなく村人同士でも嘘ついてる……。

・「あたし前の女王なんですよ」みたいな人がいないの不気味。
それこそ90年ごとのお祭りであることの証明なのか? いや、もしくは女王になったらその後は何かしらまた別の運命が決定されてるのか……。

・怖いというか侮れないって思ったのは、儀式とか風習を重んじてるとか、生贄や文化を汚す人を粛清するのを是としているとかそういうことよりも、外の世界の人を取り込むための術を持ってることかもしれない。自分の村以外の文化について、知識として持ってて、馴染ませる話術まで備わってるの怖いわ。特にペレ、あの村出身で、それを全く見せずに普通に大学生やってんの怖すぎないか? それでいて外の文化を知りながらも帰省心バリバリなの。染まりすぎ。

・ペレ、家族を亡くしたダニーに「僕は君を理解できる人間」と言いまくってたけど、本心なんだろうな。元々友達数人を村に招待したのは生贄兼他種の血をもらうためだったんだろうけど、ダニーには本当に「うちの村にあってるわこの子」「家族ができるよ!やったね!」って思って勧誘してたんだと思うと……。

・クリスチャン、ダニーの重さを心底面倒がってて、それも、歩み寄ろうとはしないくせに励まそうとしたり、できるだけ時間かけずに解決はかろうとしたりするのに、なんだかんだでフりきれない感じとか、友達と同じテーマで論文書こうとするところとか……く、クズ〜それも一般的によくいるタイプのクズ〜平凡なクズ〜。でも平凡だからこそ、ホルガ村の文化を理解しようよ的なことを言ったときはちょっと驚いた。でもよく考えたら、自分勝手で自分がないだけなんだなこの人。ホルガ村に浸透するまでの器はなく、種として終わってしまったの似合いすぎる。良い味だしてるなあ。
一方、ダニーはダニーで面倒くさい。状況が状況だし、前から妹に悩まされてたから元々精神的にやられてる部分はあるんだと思うけど、何より、人に頼りきれず、ちょっと気を遣っちゃってるところがより面倒くささを増強してた。そんな、人に頼りきれないし頼らせてくれる人もいない彼女が、最後に自らの意思で共感・同調してくれる人たちに出会えたのは純粋に良かったと思うし、ラストシーンの笑顔がよすぎるわ……爽快。


なんかふと思ったことをざっと。
他にも色々後からもでてきそうだけどとりあえず。

最後に。映画館で観てよかった!と思っている。あの暗い閉鎖空間で、鑑賞者として、ホルガ村に忍び込めた気持ちになれた。没入できる。もう一回行こうかなと思うくらい。

自分の感想まとめるまで人の感想読み漁るの我慢してたので、とりあえずめちゃくちゃ読んできます!!!

ミッドサマーいいぞ!!!

もっと書きます。