見出し画像

☆希少疾患とお金の話

久しぶりに病気の話。

最近自分が希少疾患持ち主だということを忘れかけてる節がある。(良くも悪くも)

なので、自戒もこめて、少し話そうと思う。

退屈かもしれないが、おつきあい願えるとうれぴー

今回はお金と病気のお話。


ツイッターやフェイスブック、おどりば等でも公言してますように、僕には #短腸症候群 という希少疾患がある。(短腸症とも言う)

簡単に説明。

僕の場合は小腸が27センチ(延長手術2回やってこの長さ)しかない。

小腸は人体を動く元になる食べ物を吸収するところ。通常は6メートルぐらいある。

おかげでまぁ、あれだけ(既にご覧になってる方はおわかりになるだろうが)食べても、500-1000キロカロリーしか身にならない。

それ以外の部分は毎晩1500k/calの点滴で補っている。点滴については後ほど。

割と羨ましがられる病気(脂肪を分けてあげたい!とよく言われるのはもはや挨拶がわり)なんだけど…これ、割とマジでヤバイのよね…(症状についての詳細は次回以降)

ところで難病、とここで言わないのには理由があって、この病気、国のいわゆる指定難病ではないからです。

厚生労働省の出してる要件は、「○発病の機構が明らかでなく ○治療方法が確立していない ○希少な疾病であって ○長期の療養を必要とするもの」らしい。

この中の一番上がどうやらひっかかるらしい。

発病の理由はわかってる。

原因疾患があって、結果として短腸症候群になった。

僕の場合は、中腸軸捻転、っていう病気が元。

小腸がねじれて、そっから先が使い物にならなくなったために、当時17センチ残して切った。結果的に、短腸症候群となった。

毎年難病指定の審議疾患にはのぼるものの、「今年もダメだった」が続く。

聖人認定を待ったジャンヌダルクの気持ちが、10億分の1ぐらいわかる。


難病指定のメリット

国の難病指定になると、医療費助成が入るため自己負担が2割が上限となる。

なんだ結局お金か、となるかもしれないけど、ええ結局お金です(真顔)

収入の何割というレベルで毎月飛んで行きますか、入院なんてしたら死活問題。

特に保険では効かない部分が地味にボディに来る。(衣服、差額ベッドとかは自助力でなんとかなるものの、食事代はどうしようもない。一例だけど一食410円(病院によって違うけど)×三食で1日1,230円。1ヶ月入院すればそれだけで4万近くになる。しかもこれはどこからも戻ってこない。今はそういうのも対象になる医療保険もあるが、そもそも入れない(笑))


また、自分は毎晩自宅で点滴をしている。

毎回針を自分で刺すわけではなくて、(そういうタイプのもありますが)既に体の中に埋め込まれているものが体外に管として出ていて、接続するだけ。

点滴の輸液やキット、ポンプ(企業からレンタル)などは保険適用されるが、細かな物品(体に固定するテープ、消毒用具、ガーゼ等)は病院からもらえることもあるが、基本は自己負担。毎日のものなのでこれも地味に来る。

人によっては、保険適用内の薬だけでは治療ができず、何万円もする薬や栄養剤を自己負担で何年も使っている人もいる。


だから、収入によって上限金額に差はあるものの、保険適用に関して言えば経済的な部分ではかなりありがたい。

でも今は通常の医療費同様3割負担。

ただ、ありがたいことに、地域の福祉医療の対象のため今の所の負担感はそれほどない。(それでも窓口で毎回4万近く飛んでいく)(それでも皆さまの税金のおかげで助かっています…m(_ _)m)


この病気の面白いところでもあり、厄介なところは、ほとんどの患者さんで出る症状が異なることだ。

切除した部分(腸管は部位によって吸収される栄養素が違う。鉄分はここ、ビタミンB12はここ、水分はここ)

残存腸(長さ、部位(大腸もなかったりするものや、小腸を少し切ったとか。残存腸管ゼロという人もいる)

動き(長さは普通でも、柔毛や神経の動きがうまくいかなくて、動かなくなった部分を切って短腸症候群になる人も。その場合はまた別の疾患名がつく)

などに分かれるため、慢性的な鉄不足になる人もいれば、微量元素が足りなくて髪の色素が薄くなったり、また腸の中の腸内細菌のバランスが取れなくて独特の症状がでたりと、本当に千差万別。

だからみられるドクターも限られる。

遠くの病院に何時間もかけて通う場合は、時間も交通費も多くかかる。(遠くの病院まで行って医者と合わなかったりするともう最悪…)


また(まだあるんかい)僕は今はあまり気をつけなくていいんだけど、治療中はかなり食べ物に制限がついた。

吸収しやすいものを(福祉分野でも使われるエンシュアリキッドやラコール、エレンタールなど、マクトンオイル、トロミつきの食材)を取るわけだけど、これもモノによっては食料品扱いになってるため保険適用外のものもある。

現に僕も、ペプタメンスタンダードというものわ今でも時々飲んでる。これはあのネスレが出している。かなり画期的で効率の良い栄養吸収が見込めるが、24本入りで7000円を超える。

一本200mlで300k/cal これを点滴の量分とるとなると1500k/cal分。1日5本。しかも、時間をかけないとすぐに下痢で流れていく。(汚い話ですみませんが、腸管の病気と排泄は表裏一体なのです…)

1日5本取るとなると、一箱5日も持たない。1ヶ月150本、7箱は必要になる。

49000円が毎月どかっと来るわけです。

プラス普通の食事と生活費、医療費。

この生活を1年やったことありますが、財布がやばいヤバイ…外食なんてほとんどできなかった。(そもそも体が動かなくて外にすらでられなかった)


ご家族やご自身が病気等で入院された方は、なんとなくイメージがつくかもしれません。

請求書を見て高っ!と思った人は少なくないのではないのでしょうか。

重度の希少疾患で、慢性疾患の患者の世帯の中には、お金と健康との微妙なラインにいるということを、どうか何かの折にふと思ってもらえると嬉しく思います。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?