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せんすい島とすうちゃん

「はい、今日の授業はここまでです。」
クマ先生がそう言うと
「ハーイ!クマ先生また明日ー!」
「クマ先生さよーなら!」
「はい、さようなら皆さん気を付けて帰ってくださいね。」
クマ先生が手を振りながら教室を出て行くと皆が楽しそうに
「今日は何して遊ぶ?」
「私はサッカーしたい」
「じゃ、今日はサッカーしよう!」

「図書館で勉強してから帰ろうっと」
「僕も一緒にいい?」
「いいよー」

「お腹空いたー早く帰ろー」
「今日のおやつは何をつくろうかな!」

皆それぞれ帰り支度をしたり遊ぶ予定をたてたりと色々だ、私はそれらを席から見ながら今日は色々有ったなーと考えてから、ふと気が付いた。
こっちの世界に来てから何もなかった日なんて無かったような…いつも何かしらの事があった。
朝起きたら外だったり…その後にキノコが喋ってたり
ここの住人が人じゃ無かったり
キノコが家になったり
学校に通うようになったり
家が水浸しになったり…
あれ…なんだろう?
おかしくない?
改めて考えても本当に普通の日が無い…
まぁでも大変な事もいっぱいあったけど、それを上回る程の嬉しさや楽しさがあった。
これもあれもカメちゃんやうーちゃんの2人の…
「すうちゃん?どうかしたの?」
「何だー?すう、もしかして寝てんのか?家で寝ろよ?」
「!」
いつの間にかカメちゃんとうーちゃんが私を覗き込んでいた。
私はうーちゃんに
「寝てないよ!ちょっと考え事してただけだよ!」
うーちゃんは疑わしそうな顔で
「へー?だったら何考えてたんだよ」
私はムッとしながら
「色々だよ!」
言うとうーちゃんが
「色々ねー」
ニヤニヤしながら言うから文句を言おとすると
「ハイハイ!2人ともそこまで!喧嘩しないの!さぁすうちゃん帰ろう?」
「うん!」
そう言われ急いでランドセルに教科書をしまってランドセル背負い
「よし、出来た。それじゃあ帰ろ!カメちゃん」
そう言うと少し困った顔で
「うん、うーちゃんもね?」
カメちゃんに諭され
「…わかってる…帰ろうーちゃん」
「…しょうがねーから一緒に帰ってやる!」
そう言ううーちゃんに私も
「…私もしょうがないから帰ってあげるよ!」
私も言い返すとカメちゃんがニコニコと
「本当にうーちゃんとすうちゃんは仲良しだよね」
カメちゃんの言葉に私もうーちゃんも
「仲良く無い!」
「仲良しじゃねーよ!」
ハモった。それを見てカメちゃんが
「ほら、仲良しじゃない」
笑うカメちゃんに私もうーちゃんも
「もう帰ろうぜー!カメ!」
「カメちゃん帰ろう」
「フフ、うん」
私達はクラスの友達に帰りの挨拶をすると教室に居た皆が
「また明日ね!」
「バイバイ!」

帰り道を歩きながら私は前を歩いて居たうーちゃんと私の横で歩いているカメちゃんに
「あのね…うーちゃんカメちゃん…あの、ありがとうね!」
言えた!どうしても、うーちゃんとカメちゃんに改めてお礼を言いたかったけど…どうしても緊張しちゃって心臓がドキドキしてたけど言えた!良かった!とホッとしてると
「ん?なんだ?どうしたんだ?腹減ったのか?」
「うーちゃん!すうちゃんどうしたの?急に私とうーちゃんにお礼なんて?何か心配な事でもあった?」
あれ、なんでか2人に心配されてしまった。
…うーちゃんのは違うけど…カメちゃんが怒ってくれたから許す…。
私はごほんっと咳をして、うーちゃんとカメちゃんに
「今日改めて思ったの…私こっちの世界で
、うーちゃんとカメちゃんに会えて…凄く凄く良かったなって思って!私一人じゃあ、きっと挫けて駄目になってた。それに向こうでは通えなくなっちゃったのに、こっちの学校には通える様になったのも、うーちゃんとカメちゃんが友達になってくれたおかげ!学校が辛くなくて…楽しいって思えたの」
うーちゃんとカメちゃんはポカンとした顔だったけど、うーちゃんは照れた顔でそっぽを向きながら
「なんだよ!改まって恥ずかしい奴だな!ワザワザお礼なんていいんだよ!」
今まで聞いた事が無いほどの早口で言われた。するとカメちゃんも
「うーちゃんの言う通りお礼なんていいの、だって私もすうちゃんと友達になれて嬉しいんだもん…それはきっとうーちゃんも一緒だと思ってる。ね?」
カメちゃんがうーちゃんを見ると、顔を見られたくないのか早歩きで
「…まぁ、そうだな」
と小さな声だったけど私達にはちゃんと聞こえた。
「ただ一つだけお願いがあるの…何が合っても私とうーちゃんとずっと友達だちでいて欲しいの…お願いすうちゃん」
そんな簡単な事で良いのかと思ったけどカメちゃんに頷き
「うん、ずっとずっと私達は友達だよ…何が合っても」
カメちゃんとうーちゃんは私の大事な友達だこれだけは、ずっと変わらない
私はカメちゃんの言葉を大事にしまった。
すると
「すうが俺達にお礼を言うなんてなーあんなに学校に行くの嫌がってたのになー」
「……。」
「あ…こら!うーちゃん余計な事を…」
「えー、本当の事だっただろカメ?」
「う、うーん?そうだっけ?」
カメちゃんが首を傾げ忘れた振りをしてくれる…カメちゃん優しい
「は?カメどうしたんだよ?忘れたのかよ!すうがランドセルが無いとか色々言ってただろ?」
「そうだったかな?」
カメちゃんが私の顔をチラチラ伺いながら気を使ってくれるのが苦しい、私は
「ゴホン!あれはよく分からない所に行くのは勇気が入るって言うか…なんというか」
ゴニョゴニョ言うとうーちゃんがニカッと笑いながら
「ま!そうだよな!今じゃクラスの皆の相談役だしな!」
うーちゃんの言葉にカメちゃんも頷きながら
「結局色々頑張ったのはすうちゃんだし、私とうーちゃんはそのお手伝いしただけ、ね?うーちゃん?」
うーちゃんも黙って頷いてくれた。
「私ね、こっちの世界にこれて本当に良かったと思ってるの…あっちの世界では分からなかった事を聞くのが苦痛だった…知らないのはきっと私だけだと思ってたから…でも今は違う知らない事を知るのは大切だし楽しい…」
「そうだよね知識は無いよりあった方が良いよね」
「うん、勉強大変だけど楽しいって思えて」
「えー、俺勉強わかんねーんだよな!」
うーちゃんを見るカメちゃんの顔が…怖い
それを見たうーちゃんがやばいって顔で
「あー!そう言えば俺今日用事があったったわー!じゃ!カメ、すう!俺帰るわ!」
と挨拶もソコソコで走っていってしまった。
私とカメちゃんは顔を見合わせて
「プ!見た?今のうーちゃんの顔!相当カメちゃんの顔怖かったんだね!」
「もう!フフフフ!」
ひとしきりカメちゃんと笑って
「そうだ!ねぇカメちゃん今度3人で勉強会やろうよ!」
「!うん!それはいいね!明日にでもうーちゃんと相談して決めようか…後皆にも声かけてもいいかも!皆でお勉強会楽しみだね!すうちゃん」
楽しそうなカメちゃんに
「うん!」
と頷いた。
翌日早速うーちゃんにお勉強会の事を話したら嫌な顔をされたけど、それ以上にカメちゃんの圧しにうーちゃんが耐えきれず
「うぅ…わかった勉強する」
と言う耳を下げて言ううーちゃんがちょっとかわいそうだった。