好きなインテリアスタイルがわからない
「好きなインテリアスタイルは、何ですか?」
新築やリフォーム、家具の購入時など、インテリアを考える場面で、一番始めに投げかけられることの多い言葉です。私たちインテリアコーディネーター(以下、IC)が日常的に使う言葉の中には、あまり耳慣れないものや一般的には理解されにくいものがあります。
その代表的な言葉がインテリアスタイルではないでしょうか?
お客様の立場では、インテリアスタイル(以下スタイル)って一体何?と反対に問い返したいくらいですよね。
このインテリアスタイル。
一例をあげれば、北欧スタイルなどが有名ですが、言葉は見知っているけれど、その内容までは深く理解していない人も多いのでは?と思います。
無理にスタイルを決める必要はありません。
私は、インテリアスタイルを1つに絞る必要はないと思います。
少々乱暴かもしれませんが、スタイルそのものを意識しなくても良いと考えています。
確かに、ぶれないスタイルという名の幹があると枝葉がつけやすく、間違いのない空間が完成します。
自宅に人を招いた時、「きれいね。」の一言を引き出してくれるインテリアです。
そこに個性をプラスして、はじめて自宅がマイホームに変化していくのではないでしょうか?
その個性こそが、あなた自身の感性であり、インテリアを方向づけるものになります。漠然とした好きも明確な好きも、何かを参考にすると考えやすいですよね。
その参考となるのが、インテリアスタイルという言葉です。とても便利なワードだと覚えてください。
インテリアの方向性は、決して人任せにしないでください。
自分にはセンスがないからと、インスグラムの写真をそっくりそのまま真似するのは、残念な気がします。
分量さえ、間違えなければ、誰でもあなたらしいミックススタイルを完成させることができます。
ミックススタイルは、8対2で考えると綺麗にまとまります。
自分の感性から導き出された好きの方向性が見つかり、好みのインテリアスタイルがいくつかに散らばった場合、3種類までに絞ることをお勧めします。それ以上だと、さすがに収集がつかなくなってしまいます。
ジョルジオ・アルマーニが手がけるホームインテリアコレクション「ARMANI CASA」はイタリアンモダンをベースに東洋を意識したオリエンタリズムとアールデコ3種類の組みあわせで構成されています。それぞれイタリアンモダン8、オリエンタリズム1、5、アールデコ0、5ぐらいの配分です。
2種類の場合は、メインを8割、サブを2割で考えてください。
ポイントは2つ。
・インテリアスタイルは3種類までに絞ること。
・2種類でも3種類でも均等配分はしないこと。
「まるでモデルハウスみたいですね。」は複雑な想いを孕む褒め言葉(少しだけ裏話)
モデルハウスを作る側の話をさせていただきます。どの業種でも同じですが、新しい展示場を出展する際には、綿密にリサーチをします。
出展が決まってから、モデルハウスオープンまでの短い時間の中で、リサーチに基づき、その地域に一番相応しいプランと内装を作り上げていきます。
1人1人のお客様に対峙する時とは違い、顔の見えない世代も背景も異なるたくさんの人々に向けて発信していかなくてはいけない難しさがあります。
誰にでも受け入れられる、誰もが素敵だと感じてくれるような家。
そこに必要なのは、中庸の感性。
決して後ろ向きでも否定的でもない普通の感覚をインテリアにも取り入れます。
自分が担当した展示場を気に入り、これと同じ内装にして欲しいと言われることは、IC冥利につきます。
ただ、そこに在るのは誰にでも好かれる中庸の感性です。
整っていて美しい空間であることは間違いないですが、記憶には残りにくいものです。
モデルハウスのインテリアを参考にする場合は、ベースに取り入れてください。
ベースとなる8割に幹となるスタイルを置き、残りの2割に自分の好き加えてください。
他の誰かではなく、あなたのインテリアが感性します。
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