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白玉とエアベッド

エアベッドが白玉だったら気持ち良いだろうな。
と個人的に思う。
ここのところ数日、お盆ということもあり親戚が家に泊まりに来ていた。
なので私は寝床を移動。
アクセサリーの作業部屋にエアベッドを敷いて寝ていた。
このエアベッド、電動でぐわーっと空気が入ってゴムボートみたいに膨らむ。
近頃豪雨被害なんかが各地を襲っているのを観ていると、このエアベッドももしかしたらいつか役に立つ日が来るのかとも想像してみたりする。
ただ電動だから使い時を間違えると全く役に立たなそうだと思ったり、このエアベッドを使うぐらいまできたらもういろいろ覚悟を決めなくてはいけない状況だろうなとも思ったりするから、願わくばこのエアベッドが活躍しないことを祈りたい。
とはいえ、こうやってお客さんが来た時には簡易ベッドとして使えるので、そもそもの役割は果たされている。
しかし数日間このエアベッドを使って思うのは、本当に"簡易"だということ。
ベッドとしての気持ちよさは正直なくて、数日間しか使っていないのに腰を痛めてしまった。
やっぱり寝具って大切なんだなと思ったりする。
そんな豪勢な寝具が良いとかじゃなくて、ただ敷布団を敷いて、掛け布団、みたいなそういうシンプルなものにもエアベッドは敵わないということ。
あくまでエアベッドは簡易ベッドなのだということがこのお盆の時期によく分かった。
そしてなんとなく今日、親戚から頂いた餡子に合わせて白玉が食べたくなったので、白玉を作っていた時に思った。
エアベッドが白玉だったら気持ち良いだろうなと。
よく耳朶ぐらいの柔らかさに、と白玉を作る時には言われるけれど、あれぐらいのもちもち具合だったらベッドにちょうど良いのでは?と思った。
なんとなく低反発を思わせる沈み込みすぎない柔らかさが、ベッドとして寝そべったら最高に気持ち良さそう……
そんなことを考えながらお湯に丸めた白玉を沈めていく。
ぷかぷか浮いてきた白玉を救い上げて氷水に入れて味見と称して一口。
もっちもちした感触に思わず「ベッド……」と呟いてしまった。
それぐらい白玉はベッドとしての期待値を秘めていた。
もう脳内白玉=ベッドぐらいには。
巨大な丸い白玉にどでーんと寝そべった場合、真ん中へ重心が重すぎて包まれている感じがでて気持ちよさそうだと思ったり、
抱えられるぐらいの丸い白玉をずらーっとならべたらそれこそ低反発ベッドみたいな感じでかなり優秀なベッドができるのではと思ったりした。
きっとエアベッドよりはかなり質の良い眠りが提供されるに違いない。
少なくとも腰を痛めずには済むだろう。
でもひとつだけ問題があった。
どでかい白玉を茹でるだけの鍋も火力もないうちのキッチンでは夢の白玉ベッドは作れない。
白玉ベッドってそうそう簡単には手にできない代物なのか……と気付いて数秒。
やっぱりモノにはそれぞれモノの役割があるのだと気付いた。
エアベッドが一番使えるのは寝る時にベッドとすることだし、白玉も一番は白玉として美味しくいただくことだ。
確かに白玉のベッドとしての可能性は無限大だが、それは白玉を白玉として美味しくいただいた後に考えることだろう。
そしてきっとぺろりと白玉をいただいたあとにはベッドにしようなんて考えは浮かんでこない気がする。
シンプルに、そのままが一番美味しいって気付くから。
ベッドにするなんてもったいないとか言い出すかもしれない。
なにはともあれ、それぞれの一番活躍できるところをまずは見ましょうや、と思った午後3時すぎのことでした。

私もそんな風に一番活躍できる場所を探していきたいな……





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