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神様なんかじゃ救えない

僕は感情を表情に出す練習をしていた事がある。きっと皆ないよね、わははは。ニー。高校生の時、親に縛られ過ぎてこの時間に机に行ってこの時間にこの教科、模試で何点とれ、これが終わるまでご飯を食べるな。そんなこんなで笑えなくなっちゃった時期があった。鏡で沢山練習したんだ。でも全然笑えなくて、学校で楽しい話をしてても笑えなくて、僕が居たらつまらなくなるよね、みんな楽しそうだし、そんな罪悪感や後ろめたさで会話の輪からいつしか外れた。教室の隅っこで本を読んだり、勉強するだけの人になってしまった。あー今日も笑えない。でも泣くとお母さんが怒るから泣けないな。どんな顔すればいいの?どんな表情をすればいいの?分からないから教えて欲しいのに誰も知らない。みんな自然に笑ってるから。自分に対する嫌悪や怒りの感情だけが先行してしまっている。

「お腹空いた」自然に出る言葉。小さな頃僕は家でお腹が空いたというと怒られていた。だから空腹を我慢するのが今でも得意だ。我慢強い方だ。今は友達にお腹空いた!って元気に言えるし、最近は良く笑えるようになった、会話って楽しいな。でも、あの青い10代の時間はもう戻ってこないのだ。外に出ると制服の男達。アイスを食べながら自転車を押している。賑やかだ。僕の知らない過ごし方だ。僕が知ってる過ごし方は、本を読んだり、遠回りして日が沈むまで川辺で好きな音楽を聴いたり、なんかずっと1人。1人というか独り。

成人式で久々に小、中学生時代の友達と会った。元々成人式には行かないつもりだった。渋々行った、皆が誘ってくれてるし行こうかなって。皆でお酒を飲むことになった。夢の話、結婚したいだの、高校の時は何してたの?そんな会話ばかり。みんな前を向いている。僕だけが塞ぎ込んでいる。「子供は欲しいよね」、「彼女がいるから毎日助かってる」、「高校生に戻りたいな」、「中学の時に戻りたくね?」、「お母さんが迎えに来た!」、みんな青春してたんだな。親ってやっぱ優しいもんだよな。まぁ、こうして呼ばれるだけましか。キラキラ、夢や目標が飛び交う。みんなは自分の夢の為に勉強をしている、机に向かっている。どうやら親に言われて檻の中に閉じ込められていたのは僕だけだったみたい。夢?目標?言われたことをやらないと怒られたからとしか言えない。僕ってもしかして可哀想なのかな。

本当のことなんて言えないな。僕を不幸なんて言わないで欲しいから。皆が遊んでいる時僕は自殺未遂、皆が楽しくワイワイしている時に僕は隅っこで本を読んだり勉強をしていた。高校の思い出は無い。自分と見つめあって、他人と比較して落ち込む日々。卒業アルバムを捲っても僕は殆ど写っていない。みんな楽しそうだ。笑顔で。今度燃やしとくことにした。あっても意味が無いからね。僕って可哀想かな。前向かないと。お父さんお母さん、時間って戻らないらしいよ。僕って18年失ったらしいよ。神様なんかじゃ救われない。僕たちみんな、意味もなく手を合わせてるのかな。

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