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100周年記念上映で知る、プラネタリウムが世界に誕生するまでのストーリー

1923年、ドイツでプラネタリウムが生まれてから、今年で100周年。

先日、プラネタリウムの100周年を記念する上映プログラム「プラネタリウム 時間、空間を超える小宇宙」を観に行きました。
そうして、プラネタリウムのドームに映し出される優しいイラストや音楽に癒されていると、上映が終わる頃にはプラネタリウムの歴史に少し詳しくなっている自分がいて、とても充実した時間を過ごすことができました。

本記事では、プラネタリウム100周年記念上映の見どころを、感想を交えながら紹介いたします。星やプラネタリウムに興味がある方や、上映の内容が気になっているという方のお役に立てたら嬉しいです。


プラネタリウム100周年記念上映とは?

1923年10月21日、ドイツの博物館に世界で初めて光学式のプラネタリウム(現代のプラネタリウムのように、投影機を用いてドームに星を映し出すプラネタリウム)が設置されました。

今年、2023年はプラネタリウムが生まれて100周年ということで、日本プラネタリウム協議会を中心に、全国でさまざまな記念事業が行われています。

今回紹介する上映プログラム「プラネタリウム 時間、空間を超える小宇宙」も、上記の記念事業のうちのひとつです。

プラネタリウムはいつ、何のために、どのようにして生まれたのか。
ある日、プラネタリウムで出会ったひとりの少年と不思議なおじいさんは、プラネタリウムの歴史をめぐる旅へ……。
影絵作家のコウノサトミ、作画の柿田佳子の2人によるやわらかく美しい世界観で、子供から大人まで楽しめる作品です。

「プラネタリウム 時間、空間を超える小宇宙」は、全国のプラネタリウムで、長いところでは2025年の3月まで見られるそうなので、気になった方はぜひお近くのプラネタリウムの上映スケジュールを調べてみてください。

見どころ①古代ギリシャの天文器具「アンティキティラ島の機械」

プラネタリウムの歴史は、紀元前に遡るといわれています。
それほど昔から天文学が盛んであったことの裏付けとなるのが、古代ギリシャの天文器具「アンティキティラ島の機械」です。

「アンティキティラ島の機械」とは、1900年ごろにギリシャのアンティキティラ島付近の海底で発見された天文器具で、紀元前1世紀ごろに製作されたと考えられています。
機械の内部ではいくつもの歯車が組み合わさっており、付属のハンドルを回せば簡単に暦の計算ができたり、日食や月食、地球から見た惑星の動きが予測できたりしたそうです。

ところで、私が愛用している天文アプリでは日付と時刻を入力すると天体の位置を計算できるのですが、まさか2000年も前から似たような機械が存在していたなんて驚きでした。
プラネタリウムでは、海底で発見された機械の破片の写真や、発見された破片をもとに実物を再現した動画を用いてわかりやすく解説されていたので、気になる方はぜひ足を運んでみてください。

見どころ②「プラネタリウム」と名付けられたわけ

突然ですが、「プラネタリウム」という言葉は、「惑星」を表す「planet」と、「場所」を表す「arium」という単語で構成されています。

planetarium(プラネタリウム)
= planet(惑星) + arium(場所)

しかし、プラネタリウムでは惑星の話ばかりをしているわけではありませんよね?今夜見られる星座の解説やギリシャ神話の紹介、最近では音楽やアニメーションを主体とした上映もよく見かけます。
それでは、なぜプラネタリウムには「planet」だけが使われているのでしょうか?その理由は、プラネタリウムの歴史を知ることで明らかになっていきます。

1774年、明け方の空に水星、金星、火星、木星、月が並んで見えるという珍しい現象がありました。当時、科学者の間ではすでに惑星や月の位置を計算することができたのですが、天文学の知識のない一般大衆は並んだ惑星を見て「世界が終わるのではないか」と不安になったそうです。
そこで、科学者のアイゼ・アイジンガーは、惑星が並ぶことは不吉なことではなく、普通の天文現象であるということを理解させるために、惑星の動き方を教える必要があると考えました。そうして生まれたのが、現在のプラネタリウムの祖である「アイジンガー・プラネタリウム」なのです。

実は、私は幼いころプラネタリウムの語源を知ったとき、なぜ惑星以外のお話もしてくれるのに名前が「planet」なのだろうと不思議に思っていました。大人になった今では気にすることも少なくなっていましたが、この度プラネタリウムがもともとは惑星の配置を学ぶ場所であったということを偶然知ることができ、上映中に思わず拍手をしてしまいそうになりました。
上映では、天文学の発達やプラネタリウムの歴史がもっと詳しく解説されていたので、興味のある方はぜひご覧ください。

さいごに

最後までお読みくださりありがとうございました。

拙い文章ではありますが、プラネタリウム100周年記念上映の魅力が少しでも伝わりましたら幸いです。

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