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自分自身を整理整頓する振り返りフレームワーク「GNT」 つくってみた

はじめに

自分自身を整理整頓するときには、振り返りと向き直りのセットが必要だと考えています。
振り返りは過去をもとに良かったところや問題を検証してより良くしていくワークで、向き直りは「そもそもどこへ向かいたいんだっけ?」ということを改めて整理してそこを目指すためのアクションを考えるワークです。

「振り返り」というとたいていチームで行うものですが、「セルフメンテナンスのために一人で行う振り返り」というコンセプトで  KPT をアレンジしたオリジナルフレームワーク GNT(Good/Noise/Try) を作ったので紹介します。

読み方は自由ですが私は心のなかで「ぐんと」と読んでいます。もやもやが「ぐんと」よくなるフレームワークです⛅

このフレームワークを使って目指す状態

GNT は自分の感情・思考をクリーンにすることで、自分のバリューを生み出すポテンシャルを高めることを目指しています。

ワークは Try を決めたところで一区切りとなりますが、Try を出すことが目的ではありません。
Noise を整理してまずは自分をクリーンなゼロ地点につれていくことで、新たな課題に気づく感度やそれに取り組む気力を高めることが目的です。

チームでやることもできるかもしれませんが、基本的には一人で実施することを前提としています。
一人に注目する場という意味では 1on1 の中でやるのも良いかもしれません。
ワークでは全体を通して仕事・プライベートに限らない内容を書きます。
仕事をしている自分もプライベートの自分も地続きだからです。

具体的な進め方

  1. 事前準備

  2. Good を書き出す

  3. Noise を書き出す

  4. 特に気になる Noise をピックアップして深堀りし、Problem を見つける

  5. Try を書き出す

  6. 実行するTry を決める

1. 事前準備

自分にとって気軽にさっと書けるツール、そして簡単にアーカイブできるツールを使いましょう。
リアルな付箋などを使って、終わったら捨ててしまうのでも良いと思いますが、取っておくとこれまでやってきたことを振り返る材料にもできます。
ただし、情報の公開範囲には細心の注意を払ってください。心の底から自分に正直になるのに必要な公開範囲を設定してください。

私は今は Notion を使っています。
↓Notion のテンプレートを用意したのでよかったらご活用ください。↓

右上の「複製」から自分のワークスペースにコピーできます

実施は、週 1 〜 2 週 1 くらいを目安に定期的なタイミングで行うことをおすすめします。
Noise はあまり大きくならないうちに、こまめに整理するのが一番です。

ツールとスケジュールが準備できたら Vision を書き出します。
Vision を書くタイミングはワーク以外のふとした瞬間でもいつでもいいです。必ずしも毎回更新する必要もありません。
自分にとって大切なこと、目指していることを書きます。
「エンジニアリングマネージャーのしごと」 にある、自分のこの先 10 年のビジョンと計画の書き方を参考にしてもいいですね。

Good, Noise/Problem, Tryの前回分のカードは毎回始める前に内容を軽く確認したあと、全てアーカイブします。
もしまだ必要だと思ったらまた新しく書き出しましょう。

それぞれのパートにかける時間はそのときどきで調整してもらえればと思いますが、目安として Good 2分、Noise 2分、Problem 10分、Try 3分くらいを想定しています。
一応、時間を測りながらメリハリをつけてやるほうが良いと思います。特に Noise は油断して時間をかけすぎると、実はそんなに苦痛に思っていないことまで拾い上げてしまったりするので意識的に時間を区切りましょう。

2. Good を書き出す

自分へポジティブなフィードバックを贈ります。
また、自分をさらに深く理解するために、どんなことがポジティブな感情のきっかけになったかを書き出します。

  • 最近自分を褒めたいと思ったこと

  • ポジティブな感情につながったこと

  • やりがいを感じたこと

  • 前回の Try を実行できたら、実行できた!ということとやってみてよかったこと

疲れているときは Noise/Problem ばかりが思い浮かぶと思います。
そういうときに無理に Good を出そうとするとなかなか書けずに焦ったり、むしろ自己肯定感が下がったりします。
無理せず先に進みましょう。
思いついたら戻ればいいのです。

3. Noise を書き出す

KPT の Problem は課題や問題点を書くワークですが、実際にはすぐに Problem の形に落とし込めなかったりしがちです。
また、チームの心理的安全性が高まっていないと「こんなこと書いていいのかな・・・」と思ったりすると思います。

GNT は自分一人だけのための時間です。
何でも正直に、思いつくまま書いてみましょう。
どんなことであれ書き出すことでメタ認識へつなげることが重要です。
(ただし、書く場所がきちんとクローズドな環境になっているかどうかには重ね重ね注意!!!)

Noise に書くことはこんなことです。

  • ネガティブな感情につながったこと

  • なんか調子悪い・具合悪いと感じること

  • 漠然ともやもやしていること

  • 前回の Try を実行できたら、実行できたこととやってみてよくなかったこと

  • もちろんもう Problem が思いついているならそれも

無理にがんばって見つける必要はありません。Noise をイメージして自然と浮き上がってきたものを書いていきましょう。

4. 特に気になる Noise をピックアップして深堀りし、 Problem を見つける

書き出してみて改めて見たらそれほど問題じゃないなというものもあると思います。
一方でやはりどうにかしたい Noise もあるでしょう。
そんな特に気になる Noise をひとつずつ深堀りして Problem の形に落とし込んでいきましょう。

色々とやり方はあるので自分にあった方法で良いと思いますが、ここでは「エンジニアリングマネージャーのしごと」にもあった 5Why を使って深堀りする方法を紹介します。
5Why は問題の根本原因がわかるまで「なぜ?」の問いを繰り返す、という手法です。
「根本原因がわかるまで」というとどこまで繰り返せばいいかわからなくなってしまいそうに思えますが、5 回を目安にできるとやりやすくなると思います。

下記は 5Why の実施例です。

たとえば、アプリケーションが一時的にダウンし、それを引き起こし ているバグを修正する必要があるとしましょう。 チームが次の作業に移る前に、チームを集めて「なぜ」という質問をして、問題を深掘りします。 ホワイトボードの周りに集まるか、ドキュメントを共有しながら、質問を始めます。

● なぜアプリケーションがダウンしたのか? APIがリクエストに応答しなくなったからだ。
● なぜ? 最新のデプロイで、アプリケーション起動時にデッドロックを引き起こしたからだ。
● なぜ? 本番環境はテスト環境と比べて、はるかに多くの同時リクエストがあり、スレッド セーフでないデータ構造を使っていたからだ。
● なぜ? 開発中にそのことを考えていなかった。テストは全部通っていた。
● なぜ? 自動テストは、高負荷時のシナリオをカバーしていない。

「エンジニアリングマネージャーのしごと」 ページ264 より抜粋
5Whyで深堀りするサンプル

Noise をピックアップするときは Vision を目の端に置きながらピックしましょう。
「Vision を目指したときに、これは解決すべき Problem なのだろうか?」と改めて問うようにしましょう。

また、Problem はできるだけ分割した方が良いです。
例えばアンコントローラブルなこととコントローラブルなことに分けたり、誰にとっての問題か改めて考えて視点によって問題を分けたりします。
「他人は変えられないけど自分の行動は変えられる」とよく言いますが、できるだけコントローラブルなものとしたいなら、自分の行動の改善できる点はどこかという観点で考えましょう。

これはセルフメンテナンスのための時間なので自罰的にならないように意識します。表面的でない妥当だと思えるTryを出すための、材料探しのフェーズとしてProblemの深堀りをすると、極端な批判的目線にならないと思います。

それでも、自分のことだからこそ、問題と人間性の関係が目について許せない気持ちになるときも時にはあると思います。もし自分を責めるときには制限時間を決めて短時間でとことんやるのがおすすめです。ただ、これはどちらかというと「3. Noiseを書き出す」のフェーズに当てはまります。アイスブレイクの頭の体操のようにやって、時間が終わったら気持ちを切り替えてProblemに落とし込んでいきましょう。

ドビーは悪い子!状態を引き伸ばさないようにしたい

5. Try を書き出す

Problem に整理してメタ認知することでもうほぼ解決できたようなものは置いて、Try を書き出します。
このとき、必ずしも Problem を起点にした Try に絞る必要はありません。
Vision から出てきた Try や、純粋にやってみたいとわくわくして気分があがりそうなことも書きます。

6. 実行する Try を決める

Try が重いノルマになって疲弊してしまっては GNT の目的とずれてしまいます。
次の GNT までに実施する Try は 1 つか 2 つ程度に絞りましょう。
また、Vision で目指しているものと矛盾しない Try になっていることも確認してください。

おわり

あとは実際に Try を行動にうつし、また次の GNT を実施するだけです!
もし GNT を使ってみようかな?うまくできるかな?と気になってる方がいらしたら、twitterでお気軽にご相談ください。

https://twitter.com/sara_ohtani_mt2

なぜ GNT をやるかを書いた記事はこちら

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