【おかつゆうす主催】将棋V初心者大会の観戦記 2日目前半


※何これ!

 おかつゆうすさんの企画「将棋V初心者大会」の非公式な観戦記です。対局量が多いので、サクッと行きますよサクッと。

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1、南蛇井淳 対 天鬼カハク

・棋譜

・解説

 出だしはお互いに居飛車の構えで相居飛車の将棋かと思われたが、後手のカハクさんが飛車先を突いてから飛車を振って、陽動向かい飛車といったような形に。先手の南蛇井さんは流石に戸惑った様子で、ちょっとここで手が止まるも無難に駒組をしていった。

14手目 △2二飛と回った局面

 先手は相手が振り飛車なのを見て、エルモ囲いに囲う。後手は居玉のままで銀を前に出していき、2筋の歩を交換してから角を5五に出して逆棒銀の要領で攻めを狙っていく。先手は数でかなり負けているため、なんとか凌ぎたいところか。

33手目 ▲2六歩。後手の3筋からの攻めが怖い局面

 後手が△4六銀として攻めが少し遅れたところを先手は見逃さず、▲5六歩、△6四角、▲6五歩と角道を開けながら後手の角を追っていき、駒を取り合って歩切れながらも飛車桂得と先手優勢が優勢に。後手も先手の飛車と香の両取りで馬を作るが、閉じ込められてから飛車を打ち下ろされてかなり苦しい局面に。

54手目 △4一銀。後手は馬の使い方が難しい。

 後手はなんとか攻め手を作ろうとするも、頼みの綱だった馬を取られてしまい、大駒4枚が先手へと渡ってしまい、粘りに粘るもエルモ囲いに手がつけられずじわじわと攻められて、最後は馬の効きを見逃して王手放置の反則負けとなってしまった。

98手目 △8七歩成で王手放置の反則負け

 序盤は後手のカハクさんが一本取った形で、逆棒銀の攻めが決まりそうなところまで行ったものの、先手の南蛇井さんが相手の攻めが立ち遅れた瞬間を見逃さずに丁寧に指し回し、上手く凌ぎ切ったという印象の将棋だった。カハクさんは苦しくなってからも馬を作り、かなり粘っていたのでパッと見以上に惜しい将棋だったと思う。

2、アルベルタ・フェルディナント・クライン 対 あえんごうきん

・棋譜

・解説

 後手のあえんごうきんさんは△5四歩の中飛車の立ち上がり、対する先手のアルベルタさんは初手7六歩と角道を開けてから中飛車にするという構え。先手はそこから三間に振り直しかなり意表をついた駒組ながらも、とりあえずはお互い美濃に囲う相振り飛車の戦形となった。

27手目 ▲3八銀。出だしとは裏腹に落ち着いた駒組に

 先に△4五歩と駒をぶつけたのは後手だったが、先手は応じずに▲7四歩と飛車先の歩をぶつけていった。このやり取りで後手は少々囲いを崩され矢倉のような形にされてしまい、更に大駒をぶつけられてお互いに飛車角を手持ちにするという展開に。先手は陣形がバランスよく駒を打ち込む隙が少ないが、後手は下段の金が浮いており隙が多い陣形で、先手有利の形勢に。

51手目 ▲6七銀。先手陣の方が駒の連携が良く見える

 後手が△6九飛打と飛車を降ろす手に、▲5九飛打と合わせたのが少し疑問手で、△同飛に▲同金引で少し陣形を崩されてしまい、後手の4六の歩が活躍する展開に。金銀の両取りに▲4四飛打とするも、△4二飛打と合わされて▲5四飛と銀を取る手に△4七歩成が決まる。結果的に後手が銀得で、形勢が後手有利に。

64手目 △6七龍。後手が銀得で4筋からの攻めもありそうな局面

 しかしこのあと後手にミスがあり、△3九銀打とするもこれが銀のタダ捨てとなってしまい、形勢は互角に。お互いに飛車角を使って、先手は端から、後手は玉頭から攻め手を作っていく。101手目、▲3一龍と潜った手が龍タダのミスだが、後手もこれを見逃してしまという、感想戦であえんごうきんさんが絶叫する展開に。

102手目 △7一銀打。3一の龍タダを見逃す

 後手玉に少しずつ危険が迫る中、先手の玉頭に飛車を打ちつけて果敢に攻めるも、惜しくも攻め手を見逃してしまい、感想戦ではここでもあえんごうきんさんが絶叫するはめとなってしまう。

110手目 △1五歩。△2九飛成がかなり厳しい。

 この後、飛車が捕獲されてしまい、なんとか攻めようとするも攻め手が尽きて、先手が後手玉をじわじわと追い詰めて行く展開に。かなり粘ったが飛車の効きを見逃して、後手の反則負けとなってしまった。

152手目 △5五銀(反則手)。この大会の最長手数となった。

 この対局がこの大会の最長手数の対局となり、見事激戦を制したのは先手のアルベルタさんとなった。アルベルタさんは30秒将棋になれば勝てると思っていたとのことで、後手のあえんごうきんは時間に追われて勝ち筋を逃してしまうという、感想戦で絶叫するほど悔しい結果となってしまった。

3、凛条ミカ 対 天使鐘

・棋譜

・解説

 先手のミカさんは▲7六歩から一直線に矢倉囲いを目指す作戦、後手は反対に玉に手をつけず急戦の右四間飛車の駒組となった。矢倉で右四間を捌くのは難しいが、果たしてどうなるか。

19手目 △6九玉。

 最低限の守備陣形を固めると早速△6五歩と仕掛けて行く。先手はこれを同歩と取らずに▲8八玉と矢倉へ入城。△6六歩と歩を取り込み、▲同銀に△6五銀とぶつけた。先手としては玉が角筋に入ってしまっているのが痛く、この後も受けに四苦八苦する展開が続く。

36手目 △7七銀成。3三の角がかなり厳しい。


 なんとか受けようとするもかなり厳しく、後手は飛車と角の効きを活かして取った駒をどんどんと打ち込んで矢倉囲いを崩して行く。50手目の△6六角と最後の金を取られてついに突破され、▲5七角成の王手で先手が投了。

52手目(投了図) △5七角成。逃げても△6九飛成から詰み。

 今回の対局は完全に鐘さんの作戦勝ちと言った感じ。矢倉で受けることはかなり工夫のいる難しい話なので、しっかり攻め切った鐘さんも流石だが、こればっかりはミカさんの方は相性が悪かったとしかいいようがないと思う。

4、藍上桜華 対 紫花チノ

・棋譜

・解説

 先手の桜華さんは流行の三間飛車穴熊、対する後手のチノさんは事前に作戦を用意していたようで対振り穴熊を狙い撃ちした端攻め。△6二飛と一度寄せてから、1一に飛車を持ってきて飛角桂香で端を狙う構え。

28手目 △1一飛。完全に狙い撃ち。

 先手は金を寄せてさらに守りを固めるも、後手は端から殺到。先手も懸命に受けるが穴熊がどんどん崩されていく。間違えるとかなり厳しいが、▲1八香打にも△2六桂打でしっかりと対応。

54手目 △2六桂打。龍を取ると1八金打で詰んでしまう。

 その後も後手は間違えることなく詰みまでしっかりと指し切り、先手の反撃を許すことなく66手目の▲2八金打で先手の投了となった。

66手目 △2九金打。後手が綺麗に詰まし切った。

 感想戦でも言っていたが、完全に後手のチノさんの対策が完璧と言っていいほどハマった対局で、どうやら師匠の音無ちえるさんが仕込んだ作戦だったらしい。桜華さんもほぼ最善手で対応したものの、チノさんも間違えることなく、桜華さんとしてはとても悔しい負けになってしまい、感想戦でもすごく悔しがっていた。

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