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【約束のネバーランドの原作者】白井カイウ先生の経歴|漫画制作経験0で脱サラした天才原作者

こんにちは。Saraです。

今回ご紹介するのは、ダークファンタジー漫画「約束のネバーランド」の原作者として有名な白井カイウ先生です。

「約束のネバーランド」は、2016年から「週刊少年ジャンプ」にて連載が開始され、コミックスの全世界累計発行部数は3200万部を突破。

2019年からはアニメ放送がスタートし、2020年には実写映画の公開、そしてハリウッドでの実写ドラマ化も発表されるなど、

日本のみならず、世界規模で人気を獲得している大人気漫画となっています。

原作者である白井先生は、「約束のネバーランド」が初の連載作品であり、元々は一般企業に勤めるサラリーマンで、退職してから漫画を描き始めた脱サラ漫画家さんです。

また、性別や年齢などの情報は一切不明であり、表舞台に姿を表すことが少ない謎多き漫画家さんとしても有名です。

今回はそんな白井カイウ先生の経歴や「約束のネバーランド」が誕生するまでの経緯についてご紹介していきます。

動画版はこちら。

経歴

白井先生は、出身地、生年月日、性別などの情報を一切公表しておらず、

また、学生時代の経歴もほとんど謎に包まれていますが、幼少期の頃から映画や海外ドラマ、文学作品など、さまざまな芸術に触れて育ってきたそうで、

小さい頃に読んだ「グリム童話」や「日本昔話」は現在の作風のベースのひとつになったと語っています。

ちなみに、学生時代から物語を作ることに興味や憧れはあったそうですが、実際に漫画を制作したことはなかったそうですね。

大学卒業後は一般企業に就職し、数年間漫画制作とは無縁の会社員として働くことになります。

当時の仕事じたいは好きで、やりがいもあったそうですが、休みなく仕事を続けているうちに「なにか形に残る仕事をしてみたい」と思うようになり、

ずっと興味や憧れを持っていた「物語を作ること」に挑戦するために、会社を退職してここから本格的に漫画制作に取り掛かり始めます。

ちなみに、白井先生は作画も十分に通用するレベルでしたが、本気で漫画家を目指すに辺り、

「自分が原作と作画に絞った時に5年以内に人並みに描けるようになるのは絶対に原作だ。」と考え、

この時点で作画を捨てて、原作に専念するつもりでいたそうです。

退職後は漫画制作経験が全くない中、試行錯誤しながらなんとか完成させたいくつかの漫画原稿の持ち込みを行いますが、

最初のうちは出版社から全く相手にされず、「自分には才能がないのかな...」と諦めかけていた時期もあったそうです。

そんな結果が全く出ない中で、「これでダメだったら漫画家は諦めよう」との気持ちで「約ネバ」の前身となるネーム原稿「この世界でわたしたちが生き残る方法」を制作します。

しかし、完成したネームは300ページ以上に渡る大作であり、読切サイズにできる企画ではなかったため、白井先生はボツにするしかないと考えていたそうですが、

作品を読んだ友人がとても褒めてくれて「ネームでもいいから持ちこんでみなよ」と後押ししてくれたことがきっかけとなり、

ダメもとで集英社に「この世界でわたしたちが生き残る方法」のネームの持ち込みを行います。

白井先生は、持ち込みを行った編集者に「300ページあるんですけど、1話だけでいいから読んでください」と伝え、

作品を受け取った編集者は、「つまらなかったら途中で読むのをやめよう」と思いながら読み進めたそうですが、その引き込まれるストーリー構成から結局、数時間で300ページ全てを読みきり、

「すごい人がきた。これは連載できる。連載が始まったら読者が「ジャンプでこんなの始まるの?」と驚いてくれるんじゃないか」と思ったそうですね。

当時、白井先生は受賞歴や雑誌への掲載歴が全くなく、そこからデビュー・連載に持っていくのは、かなりの準備が必要であり、長く険しい道のりになるのは明白でしたが、

なんとかこの才能を世に出したいと思った担当編集は、「この世界でわたしたちが生き残る方法」を連載にするべく、ここから白井先生と共に試行錯誤を始めることになります。

作画探し~約束のネバーランド連載

ネームを読み終えた時点で、担当編集は「約ネバ」はファンタジーでありながらホラーやサスペンスの要素もあるため、

様々なタイプの絵を総合的に描ける人でないと、原作の良さを100%引き出すことができないと感じたそうで、

また、連載を想定した時に、この緻密な原作を週刊ペースで作っていくのはかなり大変であり、作品のクオリティを維持するためにも、原作と作画は分けたほうが得策だろうと考えます。

白井先生自身も同様の考えで、元々作画は捨てており、原作に専念するつもりだったため、

ここからネームを連載用に修正しつつ、「約ネバ」の魅力を100%引き出せる作画家を探すことになります。

実績がない白井先生の作画担当を探すにあたり、

まず、担当編集は、いきなり3話分の連載ネームを連載会議に出して、会議で「面白い!」と誰かが引っ掛かってくれれば作画家を紹介してもらえるかな...と考えたそうで、

ここから、連載会議に出すために、1年をかけて3話分の連載用ネームを制作します。

そして、3話分のネームとキャラクター設定を用意したところで、連載会議にネームを提出しますが、残念ながら上長止まりとなり、この時は会議に回してもらうことすらできませんでした。

その後、約1年間候補となる作画家にネームを読んでもらいましたが、「ジャンプっぽくない」「暗い」「求める作画レベルが高くて難しい」などと言われて、

また、やはり白井先生が無名の原作者だったことも影響し、最終的には10人位の候補者に断られ続けてしまいます。

そこで当初の作戦を変更し、まずは読切作品で実績を作ることになり、「約ネバ」にも通づるサスペンス読み切り原作「アシュリー=ゲートの行方」を制作。

これをRickey先生による作画で2015年に「ジャンプ+」にて掲載し、白井先生は原作者として漫画家デビューを果たします。

その後、連載用の作画家探しのために、白井先生の好きな作画家を数人リストアップしたところ、元々ファンであった出水ぽすか先生の名前が挙がり、

担当編集も出水先生が好きだったことから、ダメもとで連絡を取ってみたところ、

「約ネバ」のネームを見た出水先生から「本当にめちゃくちゃ面白い!これは是非やりたい!」と快諾の返事を貰ったことで、

ここから「白井カイウ✖出水ぽすか」のタッグが誕生することになります。

その後、白井先生と出水先生の相性を試す意図も込めて、

読切作品となる「ポピィの願い」を制作し、これを2016年に「ジャンプ+」にて掲載。

白井先生の原作と出水先生の作画は見事な化学反応を起こし、「ポピィの願い」が読者・編集部から好評を博したことで、

新たに出水先生の作画による「約ネバ」連載ネームを制作し、

持ち込みを行った約3年後となる2016年から「週刊少年ジャンプ」にて「約束のネバーランド」の連載をスタートさせます。

約束のネバーランド

「約束のネバーランド」は、孤児院の子供たちが残酷な世界を知り、生き延びるために脱獄を企てる描写から始まるダークファンタジー漫画ですが、

白井先生は元々「脱獄物」の作品が好きであり、世の中の脱獄物のほとんどが「刑務所からの脱獄」であることに気づいたことがきっかけとなり、

そこから「どうせ脱獄物を書くならそれ以外の場所から脱獄する話を作りたい」と考え、「約ネバ」の設定を練り上げていったそうです。

また、「約ネバ」誕生の最大のきっかけとなった漫画は「幽☆遊☆白書」だと語っており、

「幽☆遊☆白書」で「妖怪が魔界に紛れ込んだ人間を食べずに人間界に帰してあげる」という場面を見た時に、

「私だったら、帰さないで人間を養殖して食べちゃうのに」と思った瞬間に「人間の養殖」というアイデアが閃き、

そこから約ネバの原型となる「脱獄物✖︎人間の養殖」という設定が誕生したそうです。

また、子供の頃に読んだ人間が「食料」として扱われる「注文の多い料理店」や「ヘンゼルとグレーテル」などの影響も受けているとのことです。

「約ネバ」はバトルではなく心理戦が多いことや、

主人公のエマが少女であることなど、いわゆる「ジャンプっぽくない作品」として人気を博しており、

白井先生もバトル漫画の魅力を上回る「心理戦」で強い引きを作ることを常に意識していたそうですが、

一方で、「ジャンプ」のセオリーとも言える「友情・努力・勝利」に繋がっていく物語を少し違った角度から表現したかったとも語っており、

脱獄編での「GFの兄弟達との友情」そして「脱獄のための努力」最後に「脱獄成功という勝利」はまさに王道とは少し違う角度での「友情・努力・勝利」を見事に表現していると言えますね。

ちなみに、主人公であるエマを女の子にした理由は、

過酷な設定の物語の中でのテーマかつ重要なセリフとなる「兄弟全員と脱獄したい」や「鬼を殺したくない」などのいわゆる「若干のぬるさや甘さを感じさせるセリフ」を言わせる時に、

男の子にすると「少年ジャンプの主人公の男の子」のイメージと離れているため、違和感が出て読者から共感を得られない恐れがあると感じたそうで、

その点、女の子であれば「母性的な考え方」による「ぬるいと感じさせるセリフ」を言わせても違和感がなく、読者からの共感が得られやすいと考えたことにより、

主人公を女の子に設定したそうです。

そんな「約束のネバーランド」は、2016年から「週刊少年ジャンプ」にて連載が開始され、全181話・全20巻で、2020年に堂々の完結。

食用児として育てられた子ども達が過酷な運命に抗う壮絶な世界観と、緻密に練られた「鬼と人との世界」の謎が徐々に解き明かされていくストーリー展開で話題沸騰の漫画となり、

また、白井先生の原作の魅力を120%引き出す出水先生の圧倒的な作画も影響し、全世界累計発行部数が3200万部を突破する大人気漫画となりました。

ちなみに、「約ネバ」公式ファンブックには、制作秘話や裏設定がめちゃくちゃこと細かに記載されており、

白井先生の緻密さや「約ネバ」の奥深さを感じることができるため、「約ネバ」ファンであれば大満足できる1冊となっていますね。

まとめ

今回は「約束のネバーランド」の原作者として有名な白井カイウ先生についてご紹介しました。

脱サラ後に見事に漫画家デビューの夢を叶え、大ヒット作品を生み出した白井先生。

「約ネバ」連載終了後も白井先生と出水先生のタッグは続いており、

白井先生は今後も出水先生と一緒に作品を作っていきたいと明言しているため、相性抜群のタッグによる次回作にも期待してしまいますね。

最後までご視聴いただきありがとうございました。

またね。


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