【Dr.STONEの原作者】稲垣理一郎先生の経歴|緻密な策略と計算でヒット作連発【アイシールド21】
こんにちは。Saraです。
今回ご紹介するのは、サイエンスファンタジー漫画「Dr.STONE」の原作者として有名な稲垣理一郎先生です。
「Dr.STONE」は、2017年より週刊少年ジャンプにて連載を開始し、2022年現在までのコミックスの累計発行部数は1100万部を突破。
アニメは2期に渡り放映され、2022年夏にはスペシャルアニメの放映・そして2023年からは第3期の放映も予定されており、本誌での展開からも常に目が離せない人気作品となっています。
稲垣先生は現在連載中である起業サクセスストーリー漫画「トリリオンゲーム」やアメフトを題材にしたスポーツ漫画「アイシールド21」の原作者としても有名ですが、
稲垣先生は元々プログラミング経験者の理系タイプの人間であり、漫画制作を行うに当たり、今現在最も勝率が高い題材はなにか、また、どうすれば現代で話題となりヒットするのか、など、
非常に用意周到かつ緻密に計算を重ねてヒット作を生み出し続ける策略家タイプの漫画家さんです。
今回はそんな稲垣理一郎先生の経歴や、「アイシールド21」と「Dr.STONE」が誕生するまでの策略や経緯についてご紹介していきます。
動画版はこちら。(YouTubeも見にきてくれるととても嬉しいです!)
経歴
1976年6月20日生まれ。東京都出身。
小中学生の頃は、パソコンでのゲーム制作を趣味としており、この頃からプログラミングに興味を持つ理系タイプだったことが伺えます。
中学生のときに、藤子不二雄A先生の「まんが道」を読んだことで、将来は漫画業界で働くことを決意し、
高校生のときには「第3回まんが甲子園」に筑波大学付属駒場高等学校のメンバーとして出場しています。
そんな学生時代を過ごし、大学卒業後は、漫画・映画の制作プロダクションに就職し、作画スタッフとして働き始めます。
稲垣先生は、作画スタッフとして携わった作品のスタッフロールに自分の名前を載せてもらったことが、とても嬉しかったと振り返っており、
このプロダクション時代の経験から「人は自身が関わった作品に名前が載るのは嬉しいし、やりがいに繋がる」と感じ、
アイシールド21の単行本には制作に携わった人達を尊重し、必ずスタッフロールを載せていたそうです。
その後、漫画家を目指し漫画制作を続け、2001年に読み切り作品「何度でも6月13日」がビッグコミックスピリッツにて掲載され、漫画家デビューを果たします。
ちなみに、その後もいくつかの読み切り作品を掲載しますが、ビッグコミックスピリッツ時代の作品は全て原作と作画の両方を稲垣先生が担当しています。
その後、ほぼ同時期となる2001年に「アイシールド21」のネームを制作。
それを「週刊少年ジャンプ」主催のストーリーキングネーム部門に投稿し、見事大賞を受賞します。
そして、これをそのままワンパンマンの作画担当として有名な村田雄介先生が作画をし、ジャンプにて読み切り掲載され、
これが好評を博したことで「アイシールド21」の連載が決定します。
アイシールド21
稲垣先生は、ビッグコミックスピリッツ時代に作画もしていましたが、連載するに当たり編集部から
「自分で絵も描きたいのか」と問われたときに、
「自分はネームに集中し、上手い人に絵を描いてもらった方が良いものができる」
と漫画原作に専念したい意向を伝えたことで、ここから本格的に漫画原作者として活動することになります。
稲垣先生は、日頃からネタ帳を持ち歩き、自分が描きたいと思う「タネ」を見つけたらメモを取っており、
新しい漫画を描く時は、そのネタ帳の中からその時に最も勝率が高いと思う題材を選んで作り始めるそうです。
「アイシールド21」は、アメフトを題材にしたスポーツ漫画ですが、
連載当初、日本ではマイナースポーツであったアメフトを題材とした作品は珍しかったことから、
稲垣先生は「アメフトだったら採用される勝率が高いかも?」と勝機を感じ、そこからアメフトを題材にすることを決めたそうです。
ちなみに、稲垣先生は元々アメフトに詳しくはなかったそうですが、BS放送のアメフト中継を見るようになったことをきっかけにどんどんとアメフトの魅力にはまっていったそうですね。
稲垣先生の読みどおり、「アイシールド21」は編集部から「アメフトという新しい視点が斬新」との高評価を受け、読者の反応も良かったことから、2002年から週刊少年ジャンプにて連載をスタートさせます。
難解なアメフトのルールの解説に終始することなく、登場人物達の心情を丁寧に描き、そのキャラクターの能力や個性をアメフトに結びつける手法をとることで、幅広い読者層に受け入れられました。
稲垣先生は「努力すれば必ず報われる」という趣旨のありきたりな漫画にはしたくなかったそうで、
努力や戦略ではどうにもならない、個の力「スーパーパワー」が存在しているのが現実であり、努力が実らないことも往々にしてあるということを「アイシールド21」で伝えたかったと語っています。
そんな「アイシールド21」は、2002年から2009年まで連載され、全333話・全37巻で堂々の完結。
2005年にはアニメ化もされ、原作をフルに活かす村田先生の圧倒的な画力も影響し、初連載作品ながら累計発行部数が2,000万部を超える大ヒット漫画となり、日本でのアメフト人気に大きく貢献する作品となりました。
「アイシールド21」の連載中は多忙を極めたようで、連載終了後は、1~2年に1度のペースで読切作品を手掛ける程度に仕事量をセーブするようになり、約7年間の長期の充電期間に入ることになります。
Dr.STONE
そして、「アイシールド21」の連載終了から約7年後の2017年にBoichi先生とタッグを組み週刊少年ジャンプにて「Dr.STONE」の連載をスタートさせます。
稲垣先生は7年ぶりの新連載を構想するにあたり、少しずつ地道に積み重ねたものが最終的に形になるカッコよさを描きたいと考え、そのイメージにカチッと重なったテーマが「科学」だったと語っています。
はじめは科学をテーマにするとは決め切ってはおらず、読者が脱落しないように科学ネタを小出しにしつつ、
読者の反応が悪かった場合は、サバイバルものに切り替えができる構造にしておいたそうで、
稲垣先生の作品作りに対する計算高さと、用意周到さが垣間見えますね。
また、「Dr.STONE」をはじめるにあたり、「1話目にインパクトがあること」が重要と考え、
SNS時代であることから1話目でネットで話題になりそうな衝撃的な出来事を起こすことを意識して構想を練り上げたそうです。
実際に「Dr.STONE」の1話目では、石化による人類の滅亡と、ゼロから文明を創り出すというインパクトのある内容が見事に描かれており、
結果的に、「Dr.STONE」は1話目から話題沸騰の漫画となりました。
そんな戦略的な構想により「Dr.STONE」は順調なスタートとなりましたが、実は連載からしばらくすると徐々に停滞の兆しを感じるようになってしまったそうです。
これにより稲垣先生は「自分の感覚が狂ってきている...」と危機感を感じ、
「アイシールド21」連載終了からの約7年間で世間で最も変化したことを検証した結果、「SNSの爆発的な普及」との結論に至り、
SNSでどのようなものが受け入れられやすいのかを徹底的に研究して、構想を練り上げたそうです。
ちなみに、その研究の末に作り上げたシーンがこちら。
この回では、みんなが知っている身近な「滑車」を登場させ、それを使ってコハクを救出し、最後にコハクに告白されて千空がすごい表情を見せて終わるという内容になっており、
結果的に、この回から「Dr.STONE」の人気はぐーんと上がっていきました。
この様なエピソードから、稲垣先生は現代で売れる作品に必要な要素を、研究で導き出し、緻密な計算により創り上げるかなりの策略家タイプといえますね。
文明が滅んだ石器時代を舞台に、科学で文明を現代レベルまで再興させる過程を丁寧に描いた「Dr.STONE」は、
「次にくる漫画大賞」を始めとする数々の賞を受賞し、コミックスの累計発行部数は1100万部を突破。
2022年夏にはスペシャルアニメ、そして2023年には待望のアニメ3期の放送が決定しており、本誌での展開と共に盛り上がりを見せている「Dr.STONE」から今後も目が離せませんね。
トリリオンゲーム
稲垣先生は、「Dr.STONE」と並行して、2021年からビッグコミックスペリオールにて起業家とエンジニアの青年が1兆ドルを稼ぐまでを描く「トリリオンゲーム」の連載を池上遼一先生の作画でスタートさせます。
「トリリオンゲーム」は稲垣先生が「起業家」を描いてみたいという思いと元々プログラミング経験者であることから誕生した作品であり、毎回バチバチに痺れる展開が非常に魅力的な漫画となっています。
こちらの作品でも主人公を魅力的に魅せつつ読者からの共感を得るために、「憧れ型」と「感情移入型」のW主人公を用意したり、
リアリティが下がらないように、主人公の能力を現実的なレベルにしたりなど、キャラ設定が計算され尽くされており、稲垣先生の策略家の一面が垣間見えます。
「Dr.STONE」と共に、破天荒な起業サクセスストーリー「トリリオンゲーム」の今後も非常に楽しみですね。
まとめ
今回は「Dr.STONE」の原作者として有名な稲垣理一郎先生についてご紹介しました。
用意周到かつ緻密な計算を重ねて、デビューしてからヒット作を生み出し続ける稲垣先生。
2022年8月には「Dr.STONE」のスペシャルアニメ、そして2023年には待望のアニメ3期が放映予定なので、本誌での展開と共にまだまだ「Dr.STONE」を楽しめそうですね。
最後までご視聴いただきありがとうございました。
またね。