次へ歩きだす。
7年前の秋。
娘の夢の後押しで、部屋探しから始まったNY旅。
薄暗い地下の部屋、すきま風の壁にシャワーも不具合な部屋など、いくつか一緒に見て歩きました。
20代前半のNYひとり暮らし。
あらゆる現実を突きつけられ、学ぶために渡された分厚い教材の多さにも、この先の時間と不安は増してきました。
対比する様に沸き立つ街の華やかさ、人種のるつぼは、更に孤独と緊張を駆り立て、心細さはピーク。
3日目に決めたステイ先のママは昼は爆音でボブ・マリーを聴き、夜はキャンドルで過ごすチャーミングでミステリアスで大胆な人。
食材・日用品の調達、ハウスクリーニングの事、安全そうな夜道も確認して私の滞在も僅かとなりました。
自分の夢とひとりで異国に暮らすということ。
娘の胸の奥底で崩れそうな言葉にならない悄然とした姿を空港ゲートで握手とハグで包み込んだあの日。
次へ歩きだす勇気はお互いだったと、秋の入り口は追懐の情が蘇ります。
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