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DVについて考えてみたいこと

1/26(水)開催の #SAPPORODIVERSITYFORUM 「DV防止セミナー~自分もパートナーも大切にする方法」の講師、北仲千里さん(広島大学ハラスメント相談室 准教授)からメッセージをいただきました。
ある人気ドラマのエピソードから読み取れるDVの構造とは。当日ご参加いただく方も、オンデマンド視聴の方も、ぜひ読んでいただきたいコラムです。

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 私はこれまでいろんなきっかけがあって、人が人をいじめたり、追い詰めたりすることについて考えてきました。今では、実際のケースに対応する仕事をしています(ハラスメント、DV、ストーカー、性暴力など)。人が人を追い詰め、支配していくメカニズムやその様子は、パワハラも、小集団での洗脳も、究極には同じだなあと思います。しかし、とりわけDVの場合は、「愛しているから=自分のものだ」と加害者が思ったり、「愛しているから、家族だから尽くすのは当たり前だ」と被害者も思ったりするし、性関係や同一家計、同居生活などを通じて全面的に支配していくことが可能になります。加害の動機や被害者が逃げにくい構造条件を、恋愛や結婚、家庭というものが作り出しているのではないかと思います。

 私が忘れられない、アメリカのドラマのあるエピソードがあります。それは、「グレイズ・アナトミー」という医療ものの人気ドラマなのですが、一人の、すごく優秀な、自信に満ちた若い女性のインターン(研修医)が、指導者である優秀な外科医の男性と内密に交際関係になります(本当は指導関係で交際をしてはいけません)。ところが、その非常に腕のいい男性外科医は、ある時事故による負傷で、手が震えるようになってしまいます。一緒に手術をしている彼女は、その外科医が手術をしてはいけない状況なのを知っているのですが、彼はそれを隠したまま手術を担当し続け、彼女はそのミスの隠蔽を手伝ってしまいます。そんなことをすれば、彼女の医師としての輝かしい未来も危険にさらすことになるのですが、彼女は自分を犠牲にして彼のいくつもの大きな秘密をいっしょに抱えてしまうのです。

 それから時が経ち、二人は結婚しようとするのですが、結婚式の当日、彼女は急に「結婚できない!」とドタキャンしてしまいます。そして、しばらく後になってから、彼女は言います。「あのころ経験したようなことは、もう絶対二度と、したくない・・・。」
(ディテールは間違っているかもしれません・・・私の記憶がまちがってなければ、そういうストーリーでした)
私は、そのドラマを視て「あー、これはDVと同じことだ・・・。」と思いました。

 もう一つ、私は社会学者として、世間の人たちのDVへの反応の方に関心を持っています。路上で人を殴ったら当然犯罪、他人をレイプしたり脅したりするのも犯罪行為なのに、なぜ家庭内だとそれが許されてしまうのか。そんなことについて、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。

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「DV防止セミナー~自分もパートナーも大切にする方法~」
●日時:令和4年1月26日(水)19時~21時
●定員:20名
●参加料:無料
●講師:北仲千里さん
広島大学ハラスメント相談室 准教授 
専門:社会学とくにジェンダー論、ハラスメント、ジェンダーベイスト・バイオレンス。1997年ごろより「キャンパス・セクシュアル・ハラスメント全国ネットワーク」設立にかかわる。 
現在、NPO法人 全国女性シェルターネット共同代表、NPO法人 性暴力被害者サポートひろしま代表理事(性暴力ワンストップセンター運営)

詳細・申し込みはこちら▼

北仲さんが共同代表を務める「全国女性シェルターネット」HPはこちら▼

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