札幌弁護士会に対する不当利得返還請求訴訟の提起

私自身が原告となり、札幌弁護士会を被告として、274万1000円の不当利得の返還を求める訴訟を札幌地方裁判所に提起しております。訴状は令和5年11月10日付です。

弁護士は、事務所のある場所を管轄する弁護士会(弁護士業界では「単位会」などと言われます。)と日本弁護士連合会(日弁連)の2つに加入しないと、弁護士として仕事はできないことになっています。強制加入なので、弁護士をやろうとすれば必ず、単位会と日弁連に所属しなければなりません。
私は、平成28年・2016年3月に那覇から札幌に移ってきた際に、沖縄弁護士会から登録替えをして札幌弁護士会に所属しています。

不当利得というのは、法律上の原因がなく得た利益のことです。この利益を得た者は、利益に因果関係のある損失を被った者に、その利益を返還する責任があります。不当利得で有名な例だと、消費者金融等の過払金も不当利得の一つです。


私は、札幌弁護士会に入会した平成28年3月から令和5年10月までの「北海道弁護士会連合会会費」(月額3000円)、「すずらん基金特別会費」(月額2000円)、「会館維持負担金」(月額7000円)と、平成28年3月から令和3年11月までの「会費」(月額2万3000円)、平成28年3月の入会時の「入会金」5万円の合計274万1000円を不当利得であると主張しています。


北海道弁護士会連合会(道弁連)というのは、北海道の4つの弁護士会(札幌、旭川、釧路、函館)で構成されるものです。
すずらん基金というのは、道弁連が運営している基金です。
私は、札幌弁護士会が会員(弁護士)に公開している会則などを見ても、道弁連の会費やすずらん基金の特別会費を札幌弁護士会に徴収される根拠がわからなかったので、札幌弁護士会にそれらの根拠を質問してみました。この質問の際に、会費の金額(2万3000円)や会館維持負担金の根拠についても質問してみました。
私としては、納得できるかどうかはともかく、道弁連会費やすずらん基金会費について一応は何かの根拠があるのだろうと思っていました。
しかしながら、結局のところ、道弁連の会費については何の根拠も無かったこと、すずらん基金会費については令和元年6月分までは総会決議はあるものの同年7月分以降のものについては総会決議も無いことがわかりました。

札幌弁護士会とのやり取りの中で、道弁連会費とすずらん基金会費の他に、会館維持負担金、令和3年11月分までの会費、入会金についてもその根拠に問題があることがわかりました。
そのため、上記の274万1000円の不当利得返還請求訴訟を提起するに至りました。

札幌弁護士会が徴収する根拠が無いと私が主張するのは、主に次の点です。
道弁連会費については、徴収根拠になる規定も総会決議もありませんでした。
すずらん基金会費については、令和元年6月分までのものを札幌弁護士会の特別会費として徴収するには有効な総会決議が無いし、令和元年7月分以降については総会決議すら無い。
会費の金額や会館維持負担金、入会金の金額を定める有効な総会決議が無かったので、これらについて札幌弁護士会は令和3年11月26日に効力を数十年さかのぼらせる内容で総会決議を行なっています。この令和3年決議は、有効ではないと私は考えています。

令和3年の決議の有効性の問題というのは、効力をさかのぼらせて良いのか(遡及効)の問題と、札幌弁護士会の会則で特別会費とするために定めなければならないとされる事項を欠いていることを主張しています。

札幌弁護士会の今年度の執行部(会長 清水智弁護士)は、道弁連会費やすずらん基金会費について、令和5年11月24日の臨時総会で決議するから問題は無いという考えのようです。この臨時総会には私は出席していない(議案に反対の委任状を提出。)ので、決議がされたかどうかは現時点ではわかりません。たぶん、決議は可決されているとは思います。
訴訟では、この決議についても有効性が問題になるはずです。

今後は、私が作成した書面(訴状や準備書面)を適宜公開していきたいと考えております。

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