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8月のサポートセンターの日 「悩んでいるあなたに届けたい、たたかない、どならない子育て~ポジティブ・ディシプリンⓇ〜」

北九州市市民活動サポートセンター「いちろー」です。
8月の「サポの日」の報告です。

NPO法人GGPジェンダー地球市民企画の代表理事、岩丸明江さんをお招きして、「悩んでいるあなたに届けたい、たたかない、どならない子育て~ポジティブ・ディシプリンⓇ~」というテーマでお話しいただきました。


NPO法人GGPジェンダー地球市民企画とは?

GGPの二人の理事がカナダでの行われたワークショップを受けて、地域で地球的な規模の課題を解決するにはジェンダーの視点も大切だと感じ、参加型のワークショップの手法を学ぶ研究会を1996年に設立し、2004年に法人化しました。
ジェンダーや人権、暴力などの問題に関心を持たない人が、このような問題を自分の身近なものとして考え、自ら主体的に行動を起こすきっかけづくりになるよう活動しています。

「たたく」「どなる」体罰について

ポジティブ・ディシプリンⓇの背景として、体罰禁止の動きがあります。
2019年6月に改正児童虐待防止法で親の体罰禁止が明記され、2020年4月に施行されました。これが「体罰禁止の法定化」です。
2019年12月には厚生労働省が体罰の具体的なガイドラインを策定しています。
また、親権者による懲戒権の削除や体罰の禁止を定めた民法の改正は昨年12月に行われました。
割と最近まで日本は子供への体罰を容認していたのですね。
そして体罰を法律で禁止した国ということでは、日本は59番目だそうです。

GGPとポジティブ・ディシプリンⓇについて

北九州市では、2019年4月に「北九州市子どもを虐待から守る条例」を施行しました。
それを受けてGGPは、2019年11月にポジティブ・ディシプリンⓇ日本事務局のトレーナーを招いて研修を開催。
2020年以降、民間・行政の助成金等を受けて「ファシリテーター養成講座」や「認定ファシリテーター研修」を実施し、北九州市に12名のファシリテーターが誕生しました。

ポジティブ・ディシプリンⓇとは

体罰を用いた子育てから距離を置いて、子どもの健やかな発達と学びを促すような子育てに移行していくことを目的として開発された、人権と科学的根拠に基づいた養育者を支援するプログラムを9回(9週間)実施します。

プログラムを体験した方々は、
「子育ては我流でやるしかないと思っていました。でも、ポジティブ・ディシプリンⓇの考え方を学んで、叩いたり脅したりしなくていいとわかったし、子供を尊重する大切さが確固たるものとして見えてきた。そしたら、モヤモヤがなくなってきて、これでいいなと思えた。」
「ポジティブ・ディシプリンⓇを学ぶ人が増えたら、子供たちが幸せになり、豊かな世界になると思う。」
など、子育ての悩みが解消された感想を伝えています。

また、GGP独自の調査では、コミュニケーションの改善、視点の増加、怒りのコントロール改善、子育てへの気づき、夫婦および家族への波及効果などがあり、ポジティブ・ディシプリンⓇのプログラム効果が明らかになりました。特に怒りのコントロール改善については、「怒りについて考える」「怒りが和らぐ」「冷静になる」など、怒りについて自分が客観的にコントロールできるように変化したそうです。

子育てに体罰がなくなるには

1979年に体罰禁止を法定化したスウェーデンですが、最初はしつけとして体罰することに肯定的な大人がたくさんいました。
そこで牛乳パックに「体罰は禁止されている」と印刷するなどで啓発や広報を地道に行った結果、40年くらいかかって体罰を肯定する人が2%くらいに下がりました。

また、GGPがポジティブ・ディシプリンⓇのチラシを小学校に配ろうとすると、実際に親に叩かれている子がチラシを家に持って帰ったら危険かもしれないと学校から配布を断られたことなどがあったということも。

しかし、一匹の猿の行動が集団に広がり、その数が一定量まで増えた時、それを知らなかった遠く離れた猿も同じような行動を取り始めると言った「百匹目の猿現象」という伝播の法則があるように、GGPではポジティブ・ディシプリンⓇを百匹目の猿が産まれるように広めているそうです。

こども家庭庁によると、子どもが親などから虐待を受けたとして児童相談所が相談を受けて対応した件数は、昨年度、21万9000件余りで過去最多となりました。

岩丸さんのお話を聞くと、スウェーデンでは40年かかりましたが、ポジティブ・ディシプリンⓇが普及すれば、日本から体罰がなくなるのはそう遠くはないのではと感じました。

参加者も引き込まれる、岩丸明江さんのお話
※ ポジティブ・ディシプリンは特定非営利活動法人きづくの商標登録です


9月のサポの日のご案内

9月のサポートセンターの日の発表団体は、「特定非営利活動法人BeWith」代表理事の坂本 規久子さんと理事の池田 裕子さんをお招きして、

地域のきずなで支える若者の未来~多様な主体が繋がる若者の居場所づくり~
をテーマに活動発表していただきます。

BeWithさんは、家でも学校でも会社でもないけれど「来たくなったらいつでもおいで」のスタイルで運営されています。

「居場所を通じて若者世代の巣立ちを地域で見守る」活動と新しい取り組みを発表されます!!

若者の未来を育むために、地域で何ができるか一緒に考えましょう!!

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