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パフォーマンスいわれ20 サディスティックサーカス12<2015/春>

2015年。春のサディスカ。前年の「ヌーランドさがみ」は閉館してしまい、どうなることかと思ったが、サディスカスタッフは根性が違う。また新たなスーパー銭湯を探し出して来た。ちょっと遠くなるが、東横線「綱島」駅にある「綱島ラジウム温泉」である。しかし、ここも本年がラストのスーパー銭湯であった。ラスト近くなると、館主も判断が甘くなるのか(笑)。いや、ありがたい。

春サーカスは、お客様も私もいかに楽しむか、が課題だと思っている。なので曲選びはいつものパフォーマンスとは違う。1曲めに選ぶのは、皆がよく知っている曲を意識する。

私は40歳を過ぎた頃から、演歌も好きになってきた。それまでは演歌歌手に対して「歌が上手いなぁ」とは思っていても、歌そのものに惹かれなかった。「のんびりした曲」「まどろっこしい」「女々しい」などそんな感情だった。ところが、やはり人生経験を積むと違うのか。演歌をじっくり聴くようになった。歌詞がいいね。心に染み入ってくる。

さて、サディスカステージ。「春」ということでどうしても桜をイメージしてしまうが、他にないかと考えていると、思いついた曲は「釜山港へ帰れ」。「椿咲く、春なのに〜」と始まる歌。この曲のアレンジ版でカッコイイ演奏がある。「大西ユカリと新世界」の楽曲。ボーカル、大西ユカリのアルト、ハスキーボイスの迫力がたまらない。原曲の天童よしみとは違った印象である(テンポも違うし)。

アルバム「昭和残唱」より「釜山港へ帰れ」

2曲めにその「大西ユカリと新世界」が演奏する「滾り(たぎり)」。
実はこの曲、私のSMフロアーショーを見てくれたメンバーの森巧美氏(ベース)が作詞作曲してくれた曲。
2001年。当時連載していた雑誌「S&Mスナイパー」の編集部に送られて来たCD。それが「大西ユカリと新世界」だった。森氏が送って来てくれた。
「滾り」の1番の歌詞。
まっかな夕焼け この街つつみ
窓辺に佇む あたしを照らす
薄荷の煙草の 紫煙の糸が
夕映えの空に 染まって消えた
お仕事終わって家路を急ぐ
あなたも赤く染まるでしょうか
アー 疲れた躰を優しくほぐす
あなたのシャワーのお湯になりたい

大阪のとあるクラブでのフロアーショー。
「SMで」という依頼であったが、大箱のクラブで大阪人らしくヤジも多い。私がお客様に赤い蝋燭を垂らしてもらう、というアクトをしていたのをみた森氏が書いてくれた詞だ。のちに森氏と逢い、真意を聞くと
「一生懸命にやっている姿が印象的だった」というようなことを話してくれた。それにしてもこの応援歌は有難い。そんなわけで、この曲は誰も知らないだろうが、サディスカ2曲めに選んだ。

アルバム「大西ユカリと新世界」より「滾り」


3曲め。腹切りとなる。これは覚悟の曲、締めの曲としてよく使う、映画「1492」のサントラ盤から。作曲演奏のバンゲリスの曲は以前からよく使っている。プログレ的な世界観の広がりがあり、美的な終わり方であるから。「切腹」という残酷なイメージを払拭する曲をいつも選んでいる。(そういえば数日前にバンゲリス氏は亡くなってしまった。びっくりしたと共に、氏の作曲した数々の曲が頭の中を巡った。)

そしてステージは楽しく進行した。
お客様たちの陽気な掛け声も心地いい。
関連店舗、銀座「ブラックハート」の常連さんたちとも
賑やかに談笑し、お客様と演者は一体化する。
ステージを楽しみ過ぎて、音が先に終わってしまったけど、
それもご愛嬌、ということで、、、。
春サーカスののんびりムードは、とても身体に心地よい。
(大広間は満席でごった返してるけどね)



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