『 言いたいことは躊躇わずに 』
電車内でベビーカーの小さなこどもが、つけさせられた口と鼻を覆う布切れを外し、両手で腕いっぱいに布切れを持ち上げて、声をあげてグズっている。
母親はこどもが高く持ち上げた布切れをこどもの口元にひらりと戻し、布切れの口元あたりに「ポン」と軽く触れた。
まるではだけたタオルケットをかけ直してお腹でもポンとたたくように。
親子で口と鼻を覆って散歩している。足のおぼつかない子供の手を引いて。
子供の口に当てた布切れを引きはがし、親の脳天をハリセンで思い切り叩きたい強い衝動にかられ