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【ときメモGS】シリーズへの愛を語らせてほしい【ネタバレなし】

ときメモGSというシリーズのゲームにすっかり脳を焼かれてしまって何も手につかないのでここで語らせてください。
正式には「ときめきメモリアルGirl's Side」というシリーズで、女性向け恋愛シミュレーションゲームです。現在までで4作発売されており、男性向けの本家ときメモと区別して「GS1」とか「GS4」などど称されることが多いです。
つい最近、過去作も含め4作すべてがSwitchでプレイできるようになりました。
手に取りやすくなったこのタイミングで、この素晴らしいゲームをもっと多くの人に見つけてもらいたくて、何者でもないただの会社員であるわたしが筆を執りました。

「あ・・・なんか知らないゲームの話だしいいや・・・」とこの記事をそっと閉じようとした人、いると思います。
でもちょっと待ってほしい。
わたしはシリーズ未プレイの人にこそ、この記事を是非読んでほしい。
恋愛シミュレーション(笑)とか乙女ゲーム(笑)とか思っている人にこそ聞いてほしい。
一部のオタクにではなく、わたしは今、全人類に向けて話しかけています。


■はじめに

主に女性向けにつくられた、好みのイケメンを攻略して疑似恋愛を楽しむゲームのことを「乙女ゲーム」と言ったりしますね。
GSも広義ではそのなかに入るものだと思います。むしろ金字塔とか代表作とか言われたりもするし、パロディ的なゲームも出ていて一部界隈で人気を博しています。
でも、過去作もすべてプレイし終えた今、わたしはこのシリーズはひとえに「乙女ゲーム」には括ることができないと思っています。

シリーズごとに細かな違いや追加要素などはあるものの、ゲームの目的やシステムは一貫して同じ。
プレイヤーは主人公の女の子となって高校に入学し、3年間の高校生活を送りながら、最終的に目当ての男の子から告白されることができたらクリア、というものです。
至ってシンプル。シンプルなんですけど、作り込まれたゲームシステムと自由度の高さゆえ、ひとつとして同じ3年間は存在しないと言えるくらい複雑で厚みのあるゲームなんです。
このままだと着地点が見つからないまま何万文字もだらだら書きつづけてしまいそうなので、わたしが思うGSシリーズの「すごい」ところに絞って順番に紹介します。

■【魅力その1】ゲームの自由度がすごい

「ルート」が存在しない

まずゲームシステムについて。
よくある乙女ゲームはいわゆるノベルゲーの要素が強いものが多く、たとえば最初に5、6人くらいイケメンが出てきて、そのなかの一人を選んだらその人のルートが始まって、選択肢の組み合わせでエンディングが何種類かあるよとか、どこかのタイミングで特定のキャラクターのフラグを立ててそのまま選択肢をいくつか経由しながらシナリオを読み進めていくとか、そういうものがほとんどかと思います。

一方、GSシリーズには基本的に「誰々ルート」というものが存在しません。
攻略条件は

・特定のパラメーターの数値(キャラによって違う)
・一定回数以上デートをしたかどうか
・そのキャラから好かれていて、一定以上傷つけていないか

だけです。
このキャラを攻略する!と決めて最初から最後まで一途にプレイしてもいいし、とりあえず全員と仲良くして、成り行きで誰を選ぶか決めよ~という逆ハーレムプレイを楽しんでもいいんです。

「パラメーター」について

ゲームは主人公が高校に入学するところから始まります。
主人公の能力(個性)は数値で可視化されていて、これを「パラメーター」と呼びます。
パラメーターの種類は「勉強」「芸術」「運動」「気配り」「流行」「魅力」の6種類。
パラメーターは平日または休日に特定のコマンドを実行することで少しずつ上がったり下がったりします。
平日は基本的にパラメーターを上げる行動のみ可能で、休日はこれに加えて男の子をデートに誘ったり、デートに行ったり、買い物に行ったりとできることが増えます。
このコマンド実行にルールは無いので、自分の好きなように主人公を育てていくことができます。
つまり、「勉強」パラが高くて「運動」パラが低い主人公なら「勉強が得意で成績優秀だけどスポーツは苦手なガリ勉少女」、「芸術」パラと「魅力」パラが高いけど「勉強」パラが低い主人公なら「美的センス抜群でお洒落な美人だけど勉強は全然ダメでいつも補習受けてる人」みたいなイメージです。

自分の好きなように育てられるとはいっても、先述のように意中のキャラを落とすためには特定のパラメーターを伸ばす必要があります(優等生系のキャラなら勉強パラが200以上必要とか)。
「なんだ、結局自分の好みじゃなくて攻略するキャラの好みに寄せなきゃいけないのか」と思ったでしょ?
これ、現実の恋愛だってそうじゃないですか?

キャラの攻略に必要なパラメーター値は、いわば彼らの好きな異性のタイプを表しているといえます。
気になる相手を落としたいと思ったら、多少相手の好きなタイプをリサーチして、自分を磨いて寄せにいったりしますよね?
キャラごとに必須のパラメーター条件があるということは「あの子、とってもお洒落で流行に敏感で可愛いって評判で素敵だな。でも僕はお付き合いするならやっぱり勉強ができる人がいいな」とか、そういう自我がキャラにちゃんとあるってことです。
しかも、この攻略条件のパラメーター数値は、好感度がMAX(ときめき状態といいます)だったり、数十回以上デートをした実績があったりすると、ボーダーの数値が下がるんです。
つまり、「タイプじゃないと思っていたけど、たくさん接していくうちにそれを上回る魅力に気付いた」という状況まで再現されているんです。

「好感度」について

そして、もうひとつすごいのが好感度について。
GSの世界での好感度は凝った仕組みになっていて、

・友好度(人として好きか)
・ときめき度(恋愛対象として魅力を感じるか)
・親密度(スキンシップをどれだけしたか)
・傷心度(心がどれだけ傷ついたか)

この4つが主人公の行動や選択によって常に内部で計算されて判断されます。
面白いのは、友好度とときめき度どちらも上げないと総合の好感度が上がらない(クリア条件を満たせない)ということです。
え、めっちゃ複雑じゃん。と思ったかもしれませんが大丈夫です。
普通にプレイしてたら友好度もときめき度も上がっていくので、どっちがどうとかほとんど気にする必要ありません。
わたしが言いたのは、「主人公をハイスペック(=すべてのパラメーターが高水準)に育て上げてれば、みんなわたしのこと勝手に好きになってくれるし、自分からアクションしたり優しくしたりしなくても告白してくれるでしょ」みたいなプレイングではクリアできない仕様になっているのが生々しくてすごい、ということです。
異性としての魅力で引き付けるだけではダメで、日常やデートでのコミュニケーションを通じて人間性も含めて好かれていないと告白してもらえないのです。

ちなみに親密度についてですが、これも面白くて、実は一部の特殊なエンディングを除いてクリア条件には一切関係ありません。親密度ゼロでも告白されます。
親密度は「スキンシップ」(いわゆるボディタッチ的なもの)で溜まるのですが、「お付き合いする前に殿方にお触りするなんてはしたない!わたしはそんな恋愛スタイルは認めないわ!」という主人公像を押し通しても全く問題ない仕様になっているんです。すごくない?

そして傷心度。
これも(特にGS3以降は)普通に好きなキャラにある程度一途なプレイをしていれば、ほぼ気にしなくても問題ない要素です。
その名の通り、キャラを傷つけるような行動を取ると溜まっていって、一定数を超えると「爆発」します(文字通り)。
傷つける行動というのは、たとえばデートの約束をすっぽかすとか(すっぽかす選択肢があるのがまずすごい)、デートの誘いを断るとか、1回だけ誘ってそれから何か月も放置するとか、会っても無視するとか、会わないように立ち回るとか。
ゲームだから、と効率を求めて好き勝手に行動しキャラを傷つけていると攻略難易度が一気に上がってしまうようにできているんです。すごいや。

ちなみに傷心度が高くなると「爆発」すると書きましたが、これはときメモシリーズ名物システム「爆弾」のことです。
キャラに対して先述したような傷つける行動をし続けるとそのキャラに「爆弾」がつき、この人は傷ついているよ!というサインを発しはじめます。
面白いのが、この「爆弾」は好感度が高ければ高いほどつきやすくなっています。
つまり、「前まで仲良くしてくれたしデートにも誘ってくれていたのに、ここ数か月全く誘ってくれなくなったし、こっちから声を掛けても冷たくされるし、何なら他の人と一緒に帰ったりお茶したりデートしたりしてる…」という傷心状態を表すのが「爆弾」なのです。
「爆弾」は電話をかけてデートに誘うことで解除できますが、放置しているといずれ爆発してしまいます。
爆発すると何が起きるかというと、爆弾がついたキャラの好感度が落ちるのはもちろん、登場している全キャラクターからの好感度がめちゃくちゃ下がります。
これは傷心度が限界を超えてしまったキャラが耐え切れず「あの子にこんなひどいことをされた…」と周りに相談したりして、主人公の悪い噂が広まってしまった、という状況と解釈することができます。
まさに人間関係であり社会。お目当ての一人と上手くいっていればOK!というわけではなく、幸せな結末のためには自分を取り巻く人間関係を良好に保つための立ち回りまで求められるわけです。
これは余談ですがGS1、2は特に爆弾がつきやすい仕様になっているので、普通に一途プレイしていても2年目後半あたりから怒涛の爆弾処理に追われる展開になりがちです。これ何のゲームだっけ…?ってなる。
でも、興味のないキャラとの詫びデートに渋々出かけたことで意外な魅力や一面に気づくことができて、次はこのキャラ攻略してみようかな…と思うきっかけになったりもするので、なかなかニクいシステムだなと思います。

バイト、部活、そして進路について

そして好感度にも関わる話でいうと、バイトや部活について。
3年間の高校生活ではさまざまなバイトや部活を始めたり辞めたりすることができます。
すごいのは、どちらもやってもやらなくてもいいということ。
●●くんを攻略するには××部に入らないといけない!みたいな条件は一切ないです(隠しキャラを除く)。
バイトでたくさんお金を稼いで可愛いお洋服(デートに着ていく服によって好感度に影響)を買い揃えるも良し、意中の男の子と手っ取り早く仲良くなるために同じバイト先や部活に入るも良し、インターハイ優勝目指してひたすら運動部に打ち込むも良し。自由です。
そして部活で活躍すると登場しているキャラクター全員の好感度が上がったり、バイトを長く続けると卒業時の進路でバイト先への就職を選べるようになったりします。

進路の話が出たのでついでに言及しておくと、主人公の進路も自由に選択することができます。クリア条件に影響はしませんが、クリア後のモノローグに描かれる主人公と彼のその後のエピソードが変化します。

スポーツマンの彼と同じ体育大学への推薦を取るために自分も運動部に打ち込みまくったりとか、「未定」で進路希望を出している彼を支えるために就職試験を受けたりとか。めっちゃ楽しい。
もちろん各進路に進むためには条件があるので、油断するとニートになります。頑張りましょう。

ちなみに、体育祭で1位をとったり期末テストで1位をとったりしても全員の好感度がちゃんと上がります。細かい。

つまりは人生

ここまでだけで恐ろしい文字数になってしまいましたが、つまりは

「自由度が高い一方で、ひとつひとつの自分の選択で未来や人間関係が少しずつ変化していく。分岐は無限大で、時には初見殺しもある。思い描く未来像を現実にするために、何を頑張って何を頑張らないかを自分で決める」

これができるゲームだということが言いたかったのです。
さて、これって何かに似ていると思いませんか?

そう、人生です。
ときメモGSは人生。

■【魅力その2】キャラクターがすごい


ビジュアルについて

初手のゲームシステム語りがありえないくらい長くなってしまったのですが、GSシリーズの魅力の核は攻略対象のキャラクターたちだと思っています。
シリーズ完全未プレイの方は、まず公式サイトのキャラクター一覧を見てみてください。
ぶっちゃけ、あんまりかっこよくないですよね?

イラストが美麗でキャラのビジュアルが売りの乙女ゲームなんてこの世にごまんとあります。
そういうゲームに比べると、GSシリーズは最新作であっても絵柄が超今っぽいかというとそうでもないし、独特な感じがすると思います。
実際わたしも最初キャラのビジュアルを見た時は正直「え、誰一人推せる気がしない…」と思いました。
でも騙されたと思って一度プレイしてみてほしい。
誰か1人でもエンディングをクリアした後なら、その作品の登場キャラクター全員が愛おしくなっているはず。

メインの攻略対象キャラが1作につき大体6人くらいいるのですが、そのうち特に中心に据えられているキャラのことを「王子」と呼びます。
GS1の葉月珪、2の佐伯瑛、3の桜井琉夏・琥一、4の風真玲太がそれにあたります。全員下の名前に「王」が入っているのがGS王子の伝統です。
そして王子キャラと主人公は幼少期に接点があって(はっきり記憶があったりなかったりはシリーズによる)、王子を攻略するとひとつのストーリーとして伏線回収ができる、というのがGSの伝統芸能となっていますが、王子以外のキャラと結ばれる道を選んでも全く違和感のないように作られています。

人物像について

王子キャラは特になのですが、攻略対象キャラクター全員ひとりひとりの「人物像」「人生」の作り込みがとにかくすごいです。
恋愛ゲームに出てくるイケメンキャラでありながら、彼らは多感な高校時代を生きるひとりの人間なので、実は過去の挫折から立ち直れずに人知れず苦悩していたり、夢のためにがむしゃらに努力しているけど実は心がバラバラになりそうなくらい救いのない状況に置かれていたりと、一人の男子高校生にはとても背負いきれないようなレベルの闇を抱えているキャラもいれば、部活や家族関係、将来のことなど高校生らしい等身大の悩みに苦しんでいるキャラもいたりします。
GSシリーズは「真面目にときめかせる気あんのか??」とツッコみたくなるくらい笑える要素が満載なのですが、わたしは4作すべてで何度も何度も眠れなくなるくらい泣かされました。
あまりにも心が締め付けられるからという理由でどうしても周回ができないキャラもいるくらいです。

最初は「こいつ面白いキャラしてんな」「見た目は一番タイプかな」みたいな軽い動機で攻略を始めたはずなのに、数々のデートやイベントを通じてキャラと深く向き合っていくことで解像度が上がり、「あのときのあれは、そういう思いがあったのか…」「そんなこと言うってことは、実は…」とキャラの内面や人生や苦悩が見えてきて、目の前のキャラに寄り添う主人公の気持ちとシンクロし、嬉しくなったり怒ったり苦しくなったりと感情の大洪水が起こります。
そして見事攻略して告白を迎えたとき、キャラがこれまでの出来事について言及しながら思いを伝えてくれるわけですが、ただ「君が好きだ!愛してる!」ではなく、キャラによって「●●だからこれからも主人公にそばにいてほしい」という理由付けの部分がそれぞれ異なる上に納得感があるので、没入感そのままにエンディングを迎えることができるのです(ちなみに告白断れます)。

※この枠内はわたしの個人的な好みについて語っているので面倒くさかったら読まなくて大丈夫です。ネタバレはありません※

全シリーズ全キャラ、シナリオの作り込みのレベルは高いと思いますが、特にシナリオの完成度がすごいと思ったのはGS3です。
わたしは設楽聖司という男と生涯を誓った女なのですが、桜井兄弟のシナリオは本当に素晴らしかったので、別途ネタバレ盛り盛りの考察記事を書こうと思っています。是非琉夏→琥一の順に攻略してほしい、というか琉夏を攻略したら自ずと琥一目線の話も掘り下げたくなるはず。異例の二人王子、設定が神懸っています。

GS2はプレイ前から佐伯瑛ワンマンチームと聞いていた通り、瑛の魅力と物語に順当に心を持っていかれました。
あの名シーンは一生忘れられないし、何度見ても心臓をギュンと捻じられたような衝撃が走ります。
でも結局わたしが一番惹かれたのは志波くんでした。彼の挫折と立ち直りの物語はありきたりといえばそうなんですが、何よりもキャラがいい。多くを語らないキャラだからこそ、もっともっと知りたくなる。メインシナリオも良いけど、下校会話や喫茶店会話など日常に彼の魅力が散りばめられています。その点はGS3の設楽と共通するかもしれません。
というか、GS2全然瑛ワンマンチームじゃないじゃん。全員魅力的じゃん。この辺についても別途記事にしたいと思っています。書きたいことがありすぎる。

GS4では柊夜ノ介を絶対に幸せにすると決めています。彼がひとりで背負うたくさんの荷物を一緒に持ってあげることはできないけど、遊園地や縁日に連れて行って笑顔にしてあげることはできるから…。
あとよくネットでいじられているGS4の王子・風真。
Googleで「風真玲太」と検索すると「怖い」「気持ち悪い」「モラハラ」など不穏なワードが次々サジェストされて笑うし、そうなる理由ももちろんわかる。
でも彼と真剣に向き合ってみると、彼の言動ひとつひとつの裏にある思いがだんだんわかってきて、見える景色が変わります。

そして原点にして頂点のGS1。元祖王子・葉月のシナリオももちろんのこと、全員キャラが立っていて作り込みが深い。隙がない。
わたしはシリーズ全キャラのなかで三原の告白が一番好きです。
あんなに情熱的で美しく切ない告白はこの世にない。まさにあの一連が芸術。一言目で胸を打たれて、あまりの美しさに泣いてしまいました。
次点で氷室先生。基本わたしは先生攻略って苦手なんですが(どうしてもコンプラ意識が邪魔をする)、教師と生徒であることをちゃんと認識していながらもどんどんデカくなる主人公への感情に戸惑ってみるみる挙動が面白くなっていくヒムロッチには、まったくアレルギー反応が起きないどころか寧ろ好感すら持てました。
そして氷室先生の告白も良い。断ったときの反応も、切なくも潔くてちゃんと先生してて非常に良い。ヒムロッチには申し訳ないが、心が強い人は是非一度彼の告白を断ってみてほしい。


人間関係について

そして、乙女ゲームはおしなべて「意中のキャラにアタックして仲良くなって落とす」という目的に終始するわけなので、主人公と攻略対象の1対1の関係にフォーカスされがちなのですが、GSシリーズは「人生」であり「社会」なので、キャラクター同士の関係性を生かしたエンディングがあったり、恋愛以外の関係を築くことができたりします。
この辺はシリーズによって異なりますが、例えばGS3では三角関係モードと親友モードというものがあります。

三角関係モードというのはその名の通り、特定の条件を満たすと元々仲良し同士の男の子2人+主人公の3人で仲良くなることができ、3人デートができたり3人特有の会話が聞けたりします。
三角関係を結成したあとは、そのまま3人で仲良くし続けて3人仲良しエンドを迎えるも良し、あえて搔き乱して「わたしを巡って争わないで~~~!」の状況をつくって楽しんでも良し。
3人デートや会話では仲良し男子の等身大の会話が聞けるのが結構面白くて、1対1で過ごすだけでは見られない彼の意外な一面が見えたり、どんな風に友達と接しているのかが見えてきたりして、「ああ、この人たちってちゃんとこの世に、この社会に存在してるんだな(錯乱)」みたいな感覚にさせてくれます。
三角関係を結成したあと、片方と仲良くし続けることで三角関係のバランスをぶち壊すとPRIDE vs PRIDE(名称ダサすぎて最高)状態に突入し、最終的にどちらかが「あいつをよろしく頼む」的な敗北宣言をしてきます。
なかなかに心は痛みますが三角関係結成→PVP突入イベント→PVP選択肢期間(どっちを選ぶかが決まる)→敗北宣言の流れが切なくも楽しくて癖になります。
何より一途プレイだけでは見られないキャラクターたちの新たな一面が見られてもっともっと好きになること間違いなしなので、一途攻略を終えた後は是非三角関係エンドも回収してみてほしいです。

そして親友モード。またの名を修羅の道。
これがまた凝っていて、任意の男の子を「親友」にして本命との恋愛相談を聞いてもらうことができるようになります。
親友にする条件はざっくり言うと、親友にしたいキャラの好感度を上げた状態で別のキャラとデートを重ねるとイベントが起きて、「友達でいてほしい」と伝えることで親友になってくれます。
親友ともデートをすることができますが、体裁は「本命とのデートの予行練習」です。切ない。
親友になると好感度は「友好」に固定されますが、親友とのデートで「ときめき度」が上がる行動を続けているといずれ親友が「愛情状態」となり、親友にしたキャラが主人公への恋心を自覚して叶わぬ恋に苦悶する様を見ることができるという恐ろしいシステムです。
親友状態の会話内容に加えて親友愛情状態の会話内容も別途用意されているうえに、親友エンドと親友告白エンドというエンディングもそれぞれ用意されているので、好きなキャラクターのまた違った一面を掘り下げていくことができるようになっています。
誰を親友にして誰を本命(当て馬ともいう)に据えるかによって物語がまったく違うものになりますし、親友状態のときの会話内容もキャラクターによって個性が出ていて非常に回収のしがいがあります。
ただ、好きなキャラクターが友情と恋心の狭間でもがき苦しむ姿を見ることになる&親友告白を見るためには本命の告白を断らなければならない場合があるなど、親友モードは想像以上に精神が抉られる道ですので、心してかかってください。
親友がいても本命のエンディング1(一番告白内容が濃いガチなやつ)を回収することができてしまうため、大抵の場合親友告白エンド回収の際は本命の激重告白を断らなければならない、というのがこれまたニクい仕様です。わたしはこれで何度も心が死にかけました。

キャラの魅力は尽きない

GSシリーズのキャラの作り込みについて、彼らの3年間の身長体重の変化やデート会話の選択肢に対する反応の違い、服装の好み、もらえるプレゼント、学園演劇で演じる演目と役柄などからも細かな考察がいくらでもできてしまうのですが、これ以上語ると収拾がつかなくなりそうなので一旦この辺にしておきます。
特にプレゼントについてはたくさん言いたいことがあるのでまた別の機会に。

GSシリーズのキャラクターがいかに大事に、深く、一人の人間として作り込まれているか、少しでも伝わったでしょうか。
単にイケメンがホストのような甘い言葉を囁きまくってくるゲームではなく、ひとりの人間としての彼らと向き合い、彼らの弱点や悩みに触れて、困難を一緒に乗り越えて、今後一緒に歩いていくスタートラインに立つ物語の登場人物になれるゲームなのです。
漫画やアニメに出てくる特定のキャラクターやキャラ同士の組み合わせを好きになった経験がある人は特にハマれるゲームだと思います。
クリア後は15巻くらいの漫画を1作品読み終えたときに匹敵するくらいの充実感を味わえます。
それくらいキャラとシナリオの作り込みがしっかりしています。

そして、とにかく全作共通で声優さんが非常に豪華です。
わたしはあまり声優さんには詳しくないのですが、それでもお名前を見ただけで知ってる!となるレベルの方々が何十時間ものフルボイス収録でキャラクターたちに生命を吹き込んでくださっています。
そしてなんと、名前も呼んでくれます。
最初は苗字呼びだったキャラクターから名前呼びされる瞬間のエクスタシーは筆舌に尽くしがたいものがあります(キモくてごめんなさい)。
声優さんに詳しい方でGSシリーズ未プレイの方がいれば、是非どんな方々が出演しているのかだけでも見てみてください。きっとびっくりすると思います。

わたしが個人的に好きなキャラクターについては別途ネタバレありの記事をそのうち書くつもりなので、興味があればまた覗きにきてください。

■【魅力その3】笑えるのにちゃんとときめけるのがすごい

一体どれだけの人がここまですべて読んでくださったのかはわかりませんが、ゲームシステムとキャラクターの素晴らしさについて語り、GSシリーズを褒め散らかしてきました。
ここからはちょっと視点を変えて語っていきたいと思います。

完成度の高い素晴らしいゲームなのですが、わたしはこのゲームの一番好きなところは「笑える」ところです。

ファッションセンスがやばい

まずベタなところでいうと、登場するファッションアイテムが悉くダサいです。
GSシリーズでは男の子とのデートに着ていく服を都度選ぶことができ、好みの服装や流行りのアイテムを身に着けていくことで好感度を上げることができます。
そして前回のデートと全く同じ服を着ていったり、季節感に合わない服装をしていくと男の子から怒られるという、なかなか厳しい仕様にもなっています。
それくらいファッションを重要な要素として組み込んでいるにも関わらず、びっくりするくらい売っている服がダサいです。
GS3以降はだいぶマシになっているものの、GS1、2は本当にやばいです。
マジで一回見てみてほしい。びっくりするから。

そして、男の子たちがデートで着てくる服も同様にダサいです。ツッコみがいがあります。
有名なのはGS2針谷の棒グラフT。気になる人は検索してみてください。
どういう経緯を経たらあれでいこう!となるのか非常に興味がある。
一応言っておくとここまで全部褒めています。そういうところが好き。


ミニゲームがやばい

そして大接近モードとかいう頓智気ミニゲーム。これも大好き。
親密度のところでも触れましたが、男の子との親密度は「スキンシップ」というアクションを積み重ねることで溜まっていきます。
そして一定の条件を満たすとデート後に「大接近モード」というミニゲームが発生して、画面上に出てくる何種類かのハートに対応するスキンシップアクションを行うように誘導されます。ミニゲームなのでやるしかない。

これが本当に意味がわからなくて、どうやら帰り道に男の子と並んで歩きながら主人公が男の子にスキンシップをしまくっているという状況のようで、男の子が動揺して「やめろよ、それ以上は…!」「何してるんだよ!」みたいな色っぽいセリフをたくさん言ってくるんですけど、プレイヤー目線としてはミニゲームをやってるだけなので、具体的に主人公が男の子に一体何をしているのかが全くわからないんです。
何してるんだと言われましても、それはこっちが聞きたいのよ。
男の子の反応が妙に色っぽいから余計に意味がわからなくて、主人公は股間でもまさぐってるんか?と毎回わたしは爆笑してしまいます。
結構集中しないとクリアできないし。
クリアすると限界ギリギリ状態の男の子から「俺だって男なんだからちょっとは考えろよな」みたいな感じでガチめに怒られるんですけど(ちなみにここの会話は6パターンあります)、ますます「いやわたしは一体何をしてこんなに怒られてるの?」となって笑ってしまう。
最低で最高のミニゲームです。褒めています。

キャラと会話がやばい

そして、一部のキャラクターそのものやキャラとの会話が笑える。
これは言語化がなかなか難しいんですけど、まずはキャラクターについて。
たとえばGS1に登場する三原色(みはら・しき)。彼は初見、見た目も言動も明らかにネタキャラだろと言うしかない、非常にインパクトが強い&味の濃いキャラクターです。ファッションセンスもやばい。時代が彼に追いつく日は果たして来るのか。
そんな彼も、最初はネタキャラとして笑っていたはずなのに攻略していくうちに想像以上の内面の美しさや純粋さに触れて、最後にはわたしが号泣するほど見事な美しい告白をしてくれるわけですが、とにかく彼にはたくさん笑わせてもらいました。
他にもGS1は髭のダンディなおじさんがガチ恋アプローチをかけてきて怖いし、担任の先生が生徒が仕掛けた黒板消しトラップをキャッチして少年漫画の強キャラみたいなセリフを真顔で発したりするし、本当にときめかせる気ある?大丈夫??と言いたくなるようなキャラクターやイベントが多数存在します。

そしてキャラクターとの会話にも笑える要素がふんだんに盛り込まれています。
たとえばわたしが大好きなGS3の設楽聖司の話をします。
彼は基本的に尊大で気高くて偉そうで攻撃的で、誰に対しても忖度のない発言をする人なので人付き合いが上手くいくタイプではないのですが、(ここから若干デート内容のネタバレです)、確か2回目のダーツデートで設楽が「これ友人の家にあったやつと同じだ」みたいなことを言って、それに対する主人公の返しとして「友達いたんですね」を選ぶことができます。
当然これを選ぶと好感度は下がるんですけど、設楽の反応が見たくてわたしはどうしても毎回これを選びたくなってしまうのです。
このように「これ言ったらこの人絶対キレるでしょ」みたいな選択肢をあえて選んで反応を楽しむプレイができるくらいには面白い返しがこのゲームにはたくさん用意されています。
この要素を楽しむなら設楽もおすすめですが、GS2の佐伯瑛も面白い反応をしてくれることであまりにも有名なので、ケンカップル的な会話を楽しみたい人は是非やってみてください。癖になります。

でも、ちゃんとときめける

他にも乙女ゲームに出てくるイケメンの立ち絵特有の、自分を抱きしめていたり首を痛めていたり無意味に拳を振り上げていたり心臓を捧げていたりする謎のポーズにツッコむのも楽しいですし、花椿家という血が濃すぎる&繁殖能力が高すぎる一家との絡みも面白いですし、そんなことあるかい!というお約束的な展開にもいちいちニヤニヤしてしまうなど、GSシリーズの伝統芸能ともいえる愛すべきお笑い要素は枚挙に暇がありません。

すごいのは、これだけお笑い要素がたくさんあるにも関わらず、ちゃんとときめけるところ。
これは先程わたしが散々語っていたゲームシステムの完成度や魅力的なシナリオやキャラクターたちがあってこそだと思っています。
だからこそ、1周10時間くらいかかるのに何周も何周もしてしまうし、何周しようが決して「作業」にならないのだと思います。

■さいごに

ここまで約14,000字、全部読んでくださった方がいたとしたらすごいです。ありがとうございます。
そして、未プレイの方で「Switch持ってるしちょっとやってみようかな」と思ってくれた方がひとりでも居たとしたら、こんなに嬉しいことはありません。寝食を忘れて書ききって良かった。
もしGSファンの方で読んでくださった方がいたとしたら、色々と至らない点や誤り、意見の合わない点もあったかと思います。わたしはGS4からハマった所詮は新参者です。笑って見逃してもらえたら幸いです。

現在は全4作がSwitchでプレイできるということで、最初の1作を選ぶときに参考にしてもらえるよう、わたしなりの作品別サマリーを記して終わりたいと思います。

作品別おすすめ度紹介

GS1:
初心者おすすめ度 ★☆☆☆
笑える度 ★★★★
シナリオの良さ ★★★☆
糖度 ★★☆☆

原点にして頂点。キャラクターの魅力も個性も振り切っていて、笑って泣ける良作です。
ただ爆弾がつきやすい点や女友達と男の取り合いバトルが発生する点、男子の序盤の対応がなかなか塩対応な点などから、「キュンキュンしたい♡」的なモチベーションで手を出すと悲しい思いをする可能性があるので、初心者おすすめ度は低めです。ただ、逆を言えば塩対応の男子を落としたときの対応の変化が見られたときやクリアできたときの達成感はひとしおなので、覚悟の決まっている人にはぜひ順番に1からプレイしていただきたい。わたしの推しは三原色。

GS2:
初心者おすすめ度 ★☆☆☆
笑える度 ★★★☆
シナリオの良さ ★★☆☆
糖度 ★★★☆

等身大の高校生らしい、少女漫画のようなキラキラした青春を味わいたいならGS2がおすすめです。GS2には「事故チュー」という頓智気要素があって、これがまたイイ味を出しています。
GS2王子の佐伯瑛は先日のGSシリーズ公式キャラランキングで堂々の1位に輝いたくらい人気の高いキャラクターです。わたしは実際プレイするまで彼の魅力がまったく分からなかったのですが、攻略後は評価に大納得でした。1と同じく爆弾がつきやすいのと女友達とのバトルが発生するので、それでも受けて立つ!という方は1作目に選んでみても良いのではないでしょうか。わたしの推しは佐伯も捨てがたいけど志波勝己。

GS3:
初心者おすすめ度 ★★★★
笑える度 ★★☆☆
シナリオの良さ ★★★★
糖度 ★★★☆

シリアスな重めのシナリオに涙したい人や、三角関係をつくって男2人を弄びたい人にはGS3をおすすめします。ゲームシステムの完成度が高いです。
GS3には二人の王子がいて、正直わたしのプレイ前の印象は「ギャル男とヤンキーじゃん」だったのですが、今や二人とも大好きで大切な存在になりました。みんなで琉夏を幸せにして、琥一を救おう。そして私の最愛の人設楽聖司を攻略できるものGS3。3から爆弾がつきにくくなり、女友達も味方しか出てこないので、安心して1作目として手に取ることができる作品です。わたしの推しは何度でも言いますが設楽聖司。

GS4:
初心者おすすめ度 ★★★★
笑える度 ★★☆☆
シナリオの良さ ★★★☆
糖度 ★★★★

軽率にときめき成分を摂取したいなら最新作のGS4がおすすめ。過去作に比べて好感度「普通」状態のキャラの対応が優しいので心が折れにくく、好感度に関係なく発生するイベントも多いので乙女ゲー的なキュン要素を比較的お手軽に摂取することができます。過去作に比べてパラ萌え(デートをしなくてもパラメーターに応じて勝手に好きになってくれること)しやすいので攻略難易度は低め。最新作ということもあってキャラクターがぬるぬる動くので没入感も高いです。まずは4でパラ上げや攻略に慣れてから、1や2など難易度が高い作品に挑戦するのも良いかも。わたしの推しは柊夜ノ介。



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