約束の記憶〜小説〜
十二国旗を読み終えてこのロスをどう埋め合わせようか考え中のさおりんです。
小説を書きたくて、ストーリーが何本もでてきながら形にならなかったのを、やっと書き始めることができました。
不定期ですが、マガジンにしておおくりします。
約束の記憶
この作品はフィクションです。
2030年12月
謎の失踪事件が、全国各地で発生していた。
謎だと言われているのは、いずれも夜家で寝ていて朝になるといなくなっていることと、失踪した人が戻ってきた例があって、いなくなっていた間の記憶がなくなっていること。
そして、失踪前とは人が変わったようになっていること。
まるで、浦島太郎のような話で、ネットでは「竜宮城ミステリー」とか「浦島」と呼ばれていた。
森田かずは 40歳。
都内の風俗店で内勤をはじめて1年。日課は先輩社員の朝ごはんと飲み物を買っていくこと。
1日3杯カフェラテを飲む梶川さんのおかげで、コンビニに行くと、注文する前にカフェラテがでてくるようになった。
いつも通り、コンビニでカフェラテと朝食を買って、オフィスへ向かった。
風俗と言っても、見た目は普通の会社。
社員はいわくつきの人もいれば、普通のサラリーマンだった人もいるけど、個性的な人しかいない。
同じ事務職するなら待遇のいいところで働きたくて、風俗店とは知らずに面接を受けて今に至る。
会社に到着して、カフェラテを梶川さんに渡すと
「また失踪者がでてるけど、家出かもしれないし、見分けようがないよな。うちの店で働いている女の子じゃなければいいけど」
出社すると一番にニュースをチェックしている。
「家出なら荷物持っていくだろうから、その形跡もなくいなくなっていたら、浦島じゃない?ってことじゃないですかね。靴も履いてないのかな?」
「突然家族がいなくなるのも怖いけど、自分がいきなりどこかへ消えるのはもっと怖い」
「梶川さんがいなくなっても、毎朝カフェラテ買ってきてしまいそうだなぁ」
「縁起でもないこと言うなよー」
と、笑い話をしていた翌朝、梶川さんは会社に来なかった。
つづく
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