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約束の記憶 7話

小説の7話です。

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「もう9時かぁ」

梶川は時計をみて驚いた。
一度も目が覚めずに、朝まで寝られたのは、いつぶりだろう。

変な夢をみて、よく寝れない日があり、久しぶりにすっきりした朝を迎えることができた。

仕事は休みだし、もう少し横になっていたい。
ベッドの中で昨日の出来事を思い返していた。
「妻だという女と、どこで出会って結婚したか記憶が全くないし、職場はいつのまにか立体映像の風俗になっているし、わけがわからない」
でも‥
昨夜の車のことを思い出すと、そんなわけのわからないことも、どうでもよくなってくる。

梶川の夢は勝ち組になることだった。
同世代と比べて、少しでもいい生活をしたくて、風俗の世界に入った。
給料はそこそこいいけど、この先どんと増えることもない。
仕事の量が増えて、責任も大きくなっていくばかり。
気分転換とお金を増やそうと、休みの日にギャンブルをやっているけど、増やすどころか預けるばかりになっている。

結婚したい人がいなかったわけでないけど、タイミングを失って、そのまま独身生活を続けている。

この先どうなるのか、不安がないと言えば嘘になるけど、宝くじが当たるか、万馬券でも当てて、勝ち組になれることを夢見ていた。

そんな平凡な自分がいきなり高級車のオーナーになれるなんて、何が起きているんだろう。
もし騙されているとしたら、早く現実に戻して欲しい。
ショックが大きくならないうちに‥。

「おはよー、起きた?」

レナがドアを開けて入ってきた。

「おはよう、あれ?これからお出かけ?」
バッチリとメイクをしていたので、これから出かけるんだろう。

「もうやだーこれから内見会にいくことになってたでしょ?昨日から様子がおかしいけど大丈夫?」

内見会??
今度は家を買うつもりなのか!!ひぇー

次なにか買うつもりでも、もう驚かない。
‥と、心に誓った梶川は、またも驚いてしまった。


つづく

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