約束の記憶 4
この物語はフィクションで、4話目になります。
梶川はいつも通り20時に会社を出た後、ジムに向かった。
入社して10年目。責任ある仕事を任せられることが増えて、やりがいもあるけどストレスも多く、汗を流して家に帰るのが日課になっていた。
「こんばんは〜」
同じ時間に顔を合わせる女性から声をかけられた。
「あっこんばんは」
名前は知らないけど、いつも笑顔で挨拶されるのがうれしくて、ジム通いの楽しみになっていた。
年齢は20代後半ぐらいで、毎日のように顔を見ていた。
ジムでのトレーニングを終えて、コンビニで夕食を買って家路に着いた。
YouTubeを見ながら食事をして、ゲームを始めようとした時、急に睡魔が襲ってきた。
「最近変な夢見て熟睡できてないからなぁ」
ゲームはあきらめて、ソファで横になった。
「ねぇ起きて、もう時間だよ」
ゆさゆさと揺さぶられて目が覚めた。
「まだ寝かせて‥」
頭がぼーとしてる中、つぶやいてふと我にかえった。
「いや、え?なに?誰?」
独身で一人暮らしで、彼女もいないし
だれ?
目の前には、20代後半か30代前半ぐらいの、目がくりっとしたかわいらしい女性が立っていた。
「奥さんの顔忘れたの?冗談言ってないで、支度しないと遅刻するわよ」
「ごめん、レナ。
変な夢を見て、寝ぼけていたよ」
ん?レナ?
自分の口で言っておきながら、何のことかさっぱりわからなかった。
酔った勢いで連れ込んだわけでもないし、勝手に部屋に入ってきたわけではないし。
部屋の中を見渡してみると、家具が増えていて、彼女のものと思われるものが当たり前のように置いてあった。
考えてもよくわからない。
とにかく会社に行けば、何かわかるかもしれない。
一人暮らしだったはずのところに、レナという女性がいて、自分は妻だという。
街並みはいつもと変わらず、会社まですんなり行けた。
職場に到着して、ホッとしたのも束の間。
さらなる衝撃が待っていた。
つづく
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