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愛 × 淡雪


【愛】
①親兄弟のいつくしみ合う心。広く、人間や生物への思いやり。万葉集5「―は子に過ぎたりといふこと無し」
②男女間の、相手を慕う情。恋。
③かわいがること。大切にすること。御伽草子、七草草子「己より幼きをばいとほしみ、―をなし」
④このむこと。めでること。醒睡笑「慈照院殿、―に思し召さるる壺あり」
⑤愛敬。愛想。好色二代男「まねけばうなづく、笑へば―をなし」
⑥〔仏〕愛欲。愛着。渇愛。強い欲望。十二因縁では第8支に位置づけられ、迷いの根源として否定的にみられる。今昔物語集2「その形、端正なるを見て、忽ちに―の心をおこして妻とせんと思ひて」
⑦キリスト教で、神が、自らを犠牲にして、人間をあまねく限りなくいつくしむこと。


【淡雪】
①(春に降る)やわらかで消えやすい雪。〈[季]春〉。古今和歌集恋「―のたまればかてに砕けつつ」

◇◆◇


雪が降ってきたと外を眺めていたら、今度はどこからか愛が舞い降りてきた。

わたしは子どものように胸を高鳴らせながら、目の前に広がる光景をそっとのぞいてみる。

小さな小さな雪のつぶも、きみのそのやわらかな笑顔も、ずっとずっと見ていたい、と思った。


それなのに時として愛情は薄情なもので、まるで淡雪のようにすぐに溶けきってしまう。

逃したくないと必死に掴もうとすればするほど、淡くやわらかな愛は姿を消してしまう。音も立てず、それを目にしたひとにしか気づかれないように地面を濡らしながら、静かに。



雪も愛もいつかは消えてしまうものなのに、それを感じている瞬間だけはそんなことを忘れるくらい、わたしはその対象的な温度のなかに体を浸していく。

その冷たさが、その温かさが、わたしの心を麻痺させるまで。

最後までお読みいただきありがとうございます✽ふと思い出したときにまた立ち寄っていただけるとうれしいです。