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ちいさな詩たち🌜

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毎週月・水の23時に詩を投稿しています💭※写真は、「Pixabay」さんというサイトから使わせていただいています。
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2023年9月の記事一覧

大事なものを見失いそうになったときは、お気に入りのネイルを指先にのせていく。ちいさな小瓶のなかにしきつめられた、繊細で、でもどこか力強さを感じられるピンク色のネイル。 月明かりに照らされた淡いピンク色の指先が、きっと明日のわたしも守ってくれる。

シュガーがたっぷり入ったミルクティーを飲みたいときもあれば、少しだけ苦いアイスティーを飲みたいときもある。私の心も生き方も人生も、そのときによって味わい深さや色味を変えていく。なにがいいわけでもなく、ただそのとき目の前に出された紅茶の味を堪能するだけで、人生はきっと変わっていく。

傘をぱっとひらいた、その瞬間。一粒のしずくがわたしの頬をつたった。それはまるで、ずっとがまんしていたわたしの心のなかを表してくれたように思えて、あわてて傘の下に顔を隠した。次第に強くなる雨音とわたしの嗚咽、そして涙が一秒ごとに時間のなかへ溶け込み、そして静かに消えていく。

キャンドルが静かで控えめな光を醸し出すように、わたしの心も輝きすぎず、穏やかな明るさを保っていきたい。控えめで、決して押しつけず、しなやかでやわらかいポジティブさ。 そのやわらかな光が消えないように心と身体で守りながら、日々を生きていきたい。

夜空に輝く星を眺めてきれいだと思う時間。大切なだれかに会いたいと思い焦がれる時間。大切なひとと優しい言葉を交わす時間。同じ空間を共にする時間。 いつその時間が終わりを迎えるのかだれにもわからないからこそ、一瞬一瞬を、そしてひとつひとつの思いを大事に抱きしめながら生きていきたい。

「大切なひと」「大切なこと」「大切なもの」。そのなかに自分自身のことも入れてあげられたのなら、きっと世界の色合いが1mmずつ変わってくるはず。朝焼けも、夕焼けも、そして数個の星空の見え方も。目に映る景色の意味合いが変わってくればきっと、自分はもうこの世界で生きていける。

大切なノートに、宝物のシールたち、そして手元で上品に光る、ピンクゴールドのボールペン。新しいページを一枚めくり、紙を優しくなでるように、一粒一粒言葉を記していく。いまこの瞬間に生まれる言葉たち。それを静かに受け止めてくれる宝物たち。それはきっとわたしを支えるお守りになってくれる。

ふわりと触れる言葉が、心が、手触りが、瞳が、すべてが優しく柔らかければいいのに。すべてに、安心するようなぬくもりがあればいいのに。そうすればきっと、だれかの一日に穏やかさをもたらしてくれるはずだから。静かに、ちいさな空間だけを温められたなら、もうそれでだれかが幸せになるから。