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💭どこかの街の、架空の思い出たち💭

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短編小説や詩などを載せています。
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#言葉

残酷なこの世界でわたしは

言葉が、するり、と道端に落ちた。 ポケットの奥のほうに入れていたたくさんの言葉たちが、まるでわたしから逃げ出していくように、するりと。 落ちたそこはちょうどアスファルトの上で、細かな傷が少しついていた。 わたしはすぐに駆け寄って拾い上げようとしたけれど、急にそれがひどくみすぼらしいものに見えてしまう。だから、ただその言葉たちを見下ろすことしかできなかった。 ああ、わたしはまた、わたしの言葉を見放してしまうんだ。 その自分の薄情さが、また自己嫌悪の穴へとわたしを突き落