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1億円を当てた犬
「働きたくない」
それは人として至極当然の感情である。もちろん働くのが好きという人もいるだろうが、世の中の多数の大人は前者ではなかろうか。仮にそう言ったところで誰も責めないと思う。
私の父の職場は、山の中にある。そして2匹の犬を飼っている。この2匹
はっきり言って仲が悪い。
一時期は柵で囲って隔離していた程だ。少し成長すると、今度は自ら離れて過ごすようになった。敷地の端と端は家が建っていて、別々の人が住んでいる。犬達もそれぞれ別々の家を拠点として、エサをもらったり夜寝たりしている。犬は誰が飼い主なのか、きっと分かっていない。何なら人間も分かっていない。 そして必要最低限の躾しかしていない。
ある日私の友達が遊びに来たら、鎖に繋がれず気ままに敷地を歩き、人に可愛がられる。そんな犬達の姿を見て
「ここの犬は幸せだね~」
としみじみ言っていた。全くその通りだと思う。
ここは元々、自由な発想を持つ建築士兼経営者の発案により始まった。山の敷地を買い取り、近隣府県の人達が自然を楽しんだり様々な体験をするために建設された場所なのだ。よって、たくさんの人が訪れる。
犬、大喜びヽ(=´▽`=)ノ
小さな子どもなら倒してしまいそうな勢いで大歓迎だ。職員が間に入らなければならない。
そう言えばこの前、びっくりする話を父から聞いた。敷地内では鶏も飼っているのだが、ある日鶏の数が減っていた。どうやら犬が食べてしまったらしい( ゚д゚) 他にも植えてある大根を引き抜いて食べるわ、やりたい放題である。念のため言うが、エサが足りない訳ではない。流石に「これだけは」という部分は対策をとったらしいが、まあ大差はない。
11月後半になり年末ジャンボ宝くじの発売時期になった。つい夢を見てしまうが、高額が当たる確率は天文学的数字と言われている。
ふと考えた。「この犬達、宝くじを当てたんじゃなかろうか?」と。
もちろん優しい飼い主に飼われて幸せな犬がたくさんいるのも知っている。しかし「自由に過ごせて開放的/自然豊かな場所」等の条件を満たすとなると、天文学的数字とまでは言わずともかなり絞られるのではなかろうか。
結局は勤労世代で、働かずに健康且つ人に愛されて自由に暮らせる幸せな人など、極僅かだ。日本に生まれた幸運に感謝して、働くしかないと思う今日この頃である。
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