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バイキンマンとロールパンナ

作者のやなせたかしさんかお亡くなりになってもうすぐ10年が経とうとしていますが、今でも子ども達に人気の「アンパンマン」。
今回は主人公のアンパンマンではなく、私が興味深いと思っているこの2キャラについて取り上げます。

善があれば、悪があります。
善の塊であるかのようなアンパンマンに対して、悪の塊であるバイキンマン。
実際存在したらかなり邪悪な存在ですが、そこは子ども向け。
怖すぎずしかし「悪」であることが一目瞭然な姿で、「アンパンマンワールド」の悪をほとんど一身に背負っています。
いわゆる「必要悪」です。
現実の世界にも必ず存在します。

対してロールパンナちゃん。
こちらはジャムおじさんが作っている最中にバイキンマンに「悪」の心を入れられ、「善の心」と「悪の心」の両方を持っています。
「悪」の状態のときに、妹のメロンパンナちゃんの言葉で心が揺れ動きます。
「善」のキャラクターが多い中で、善と悪の心の両方を持った、一番人間らしい存在だと思います。

不思議に思っていたのですが、なぜ「アンパンマンワールド」はなくならないのでしょうか?
大人の都合は置いておいて、考えてみました。

①アンパンマンとバイキンマンの力が拮抗しているから。
②「アンパンマンワールド」として永久不滅のものだから。
③世界とはそういうものだと、子どもに伝えるため。

他にも考えられる理由はいくつかあるでしょうが、まずは①について。
これは考えにくいような気がします。
どんな手を使ってでもいいのなら、どちらかが勝ってどちらかが滅びているはずです。
でも滅びていないことを考えると、ある意味拮抗しているのかもしれません。

次に②について。
一度作られた以上、理由がなければなくなることはありません。
それこそなくなるとしたら、アンパンマンかバイキンマン、どちらかが完全に滅んだときでしょう。
なくならなかったとしても、全く別の世界になります。

最後に③について。
「アンパンマンワールド」を現実世界に例えてみます。
人類が滅亡するような天変地異や人災が起こらない限り、個々の国は多少姿を変えても、「人間世界」はなくならないです。
そしてここからは私の希望ですが。
「正義は勝つ」けれど、常に「善と悪」は存在している、ということを子ども達に教えたいのではないでしょうか。

解釈は人それぞれでしょうが、私は以上のように考えました。 

「完全な善」「完全な悪」は存在しません。
むしろ、「善と悪」の両方を持つ、ロールパンナちゃんのようなキャラクターが一番多いのではないでしょうか。
そしてそれを、どう捉えるかにもよります。
「正義は勝つ」と書きましたが、「勝てば官軍 負ければ賊軍」という言葉があります。
道理はどうあれ、強い者が正義になるということです。
…バイキンマンが「正義」なアンパンマンワールド、何だかとても嫌ですね。 

人だけでなく、世界には「善と悪」が存在している。
そしてそれが両方存在する限り、「人間世界」はなくならないということなのかな、と思いました。

異論・不可能論、色々あるでしょうが私はこのように考えました。 
大事な「アンパンマン」という作品が作られた経緯を飛ばして書いてしまいましたが。「アンパンマン」から学ぶことは大人も多い気がします。



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