見出し画像

【火曜日更新】ピリカの荒ぶりエッセイ~⑬

「老害」とは呼ばれたくない!荒ぶる火曜日

ここ何日か、病院通いが続いている。

健康診断で「心電図」と「婦人科」が精密検査となり、市内の某総合病院に再受診した。検診時のドクターから「心電図は大したことはなさそうだけど、婦人科のほうは手術を薦めます。貧血もあるし」と言われていたので、ある程度は覚悟していたし、筋腫とチョコレート嚢胞があり、子宮の腫れもみられるとのことで、子宮全摘手術へと舵を切った次第である。

術前の検査も各種あり、MRI、血液検査と24時間心電図と何日間かにわけて行っているが、まあ病院というものは、いろんな人たちが集まる場所である。

医療スタッフさんはさすがというか、誘導も淀みなくスマートにしていただき、感じのいい方が多い。病院に慣れずあちこちの部屋を移動するときも、優しく教えていただいた。

このへんは、昔の病院と認識が改まった点であった。病院に対する無愛想、無神経といった勝手なイメージは一旦払拭されたのだが、やはりドクターの都合で待たされるのは相変らずだ。

そんな待ち時間に気づくのは、壮年男性患者の奥さん同伴率である。

九州という、いわゆる男尊女卑の地域だからなのか、とにかく待ち合いでぶすっ、と偉そうにしている高年齢の男性が目立つ。そしてその脇には、決まって従順でにこやかな、マメそうな奥さんが隣に座っているのだ。

身体が不自由なのかな、と見るとそうでもない。トイレにいくのもベンチにドカッと陣取るのも、動きに支障はないようだ。むしろ矍鑠としている。
奥さんに「あれしてきて、これしてきて」と言う言葉も聞こえる。口も達者なようである。

私はじっとその一人の男性を観察してみた。

看護師さんの「○○さーん」というよびかけに、「はーい、いま行きますー」と答えるのは奥さん。
「今日はどうされました?」の問いに「実は昨日で薬が切れて…」と答えるのも奥さん。やはり割れ鍋に綴じ蓋、とはよく言うもので
ぶすっとしたじいさん男性には、にこやかな奥さんがいるものである。

「次は採血をしてきてくださいね。廊下をつきあたりの右側です」
の指示にも、当人は頷きもせずそっぽを見ていて、必死に病院内の地図を見ているのも奥さん。「まだ長くかかりますか?」と申し訳なさそうに聞くのも奥さん。
その間モニョモニョと奥さんに指令を出すだけで、当の男性はというと、偉そうに腕組みをして口をへの字にして座っているだけだ。

まあ、要するに医療スタッフとコミュニケーションとるのが苦手なのだろう。こちらから質問をするのもなんかイヤ、なんか言われてもイヤ。
診察券を出すところから会計まで、奥さんにすべてやらせているのだ。

病院が空いているときはいい。

しかし、混み合ってくると患者本人も椅子が足りず立って待っているのだ。中には妊婦さんや子供もいる。
彼らの奥さん同伴率が減れば、だいぶ椅子に余裕もできるだろうに。

もちろん、身体が不自由だったり、具合が悪かったりであれば付き添いは必須だと思うが、今日見た方々はそんな感じではなかった。

まあ、他者の目に見えない不自由も多数あるから、一概には言えないのだけれど。

今日は手術説明のため夫と来たが、「定年しても病院はできるだけ一人で」と夫婦で話し合った。

年若いスタッフに、あそこへいけここに座れと言われてカンにさわるのもわかるが、それもまたコミュニケーションである。
そこは丸投げしておいて、都合の悪いときにだけ声を荒げるような老人にはぜったいなりたくない。

やはり日常と違う場所へ行くといろいろと気付きがあるものだ。
さて、入院中に荒ぶりポイントはいくつあるだろうか。


コッシーさんが企画を立ち上げてくれました。略して「ピリコグランプリ」。
私のためになんか申し訳ないけど、でもかなり楽しみなんです(笑)

全部読むからね!!



ピリカグランプリの賞金に充てさせていただきます。 お気持ち、ありがとうございます!