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【火曜日更新】ピリカの荒ぶりエッセイ~⑪

炎天下のATMに荒ぶる火曜日

写真と本文は関係ありませんのであしからず。

   ネット銀行もだんだん市民権を得ているとはいえ、我が県ではやはり、主流なのは地方銀行である。給料振込の通帳から、少なくとも4冊の通帳に振り分けをしないといけない我が家。

  クレジットは○○銀行のA通帳、水道光熱費はB通帳、義母や実母の施設代はゆうちょ…など、いろんな通帳を管理せねばならない。

   引き落とし日もまちまちなため、ちょっと仕事に没頭してしまうとついうっかり、が発生する。できるだけマメに銀行に記帳に行かないといけないのだが、躊躇するのがこの真夏の時期のATMである。

  うちの県では、近年二つの銀行が合併し、ひとつになった。県民は、この二つの銀行のどちらかの口座を大概数が持っている。

   それぞれの銀行で一冊ずつ通帳を持ってた人は、合併後の銀行でニ冊通帳をもっていることになるのだが、問題なのは合併に伴い、ATMの数が半分になったこと。

  それぞれの銀行に別れていたころは、同じ地域内に二か所はATMがあったため、利用客も分散されていたが、合併後はひとつになった。

同じ銀行で二つはいらないだろう、という理由だろうが、そもそも県内シェア第一位とニ位の銀行が合併しているのであるから、同一地域の利用客は単純に増えるわけである。

  今までA銀行で引き出したお金をB銀行に振り分けていたものが、A銀行の二冊の通帳で出し入れをすることになり、利用客一人あたりの出し入れの時間がかなり長くなった。

利用時間も長くなり、しかも分散されないのだから一台のATMにかなりの待ち時間ができるのは当たり前である。

   先日など、どうしても今日引き落としのために通帳から出し入れせねばならず、太陽がギラギラ燃える昼一時過ぎに行列にならんだのだが、全く列が進まない。

  どうやら、高齢者の方がATM振込をしているらしく、いろんなキーを押しつつ首をかしげている様子がシルエットで窺えた。見るからに慣れていないようだ。

  その高齢者の利用客だって、近くに窓口があればそちらに行くだろう。だが支店も減らされていて、わざわざバスに乗らねばならない距離にしか窓口はない。
ATMしかないから、ここで不慣れな操作をせねばならないのは不憫でもあるし、仕方ないのだが正直イライラしてしまう。

   一日でいちばん暑い昼時。日よけのないショッピングセンターのATMコーナーは灼熱地獄だ。セミのミンミン鳴く音だけが耳に響き渡り、あまりの暑さに気が遠くなりそうになる。

   やっと自分の番が来たときには、行列にならんでから十五分はたっぷり経過していて、パソコンとトートバッグを持った手は疲れてぷるぷるしていた。体力のないお年寄りや妊婦さん、小さい子供をつれたママさんはもっとしんどいと思う。

 銀行の効率化も致し方なかろう。
人口はどんどん減り、最低賃金も低く地元企業も少ないわが県は、どう考えても金融業の未来は先細りだ。

  合併により、かなりの職員の雇用が切られたという話も聞いているし、ATM一台にかなりな経費がかかるのだろうから、そりゃ同じ敷地にはふたつはいらんやろう、という考えをするのだろうが、利用する客層や、繁忙時の混みみ合いかたなどを銀行はちゃんと計算したのだろうか、と疑いたくもなるというものだ。

   真夏に行列に加わるのがしんどくて、夜になってからわざと行くことも多い。

   ただ、そのときに印字される時間外手数料の「テスウリョウ 110円」に、なんともいえない荒ぶりを感じてしまうのだ。

ああ、明日は住宅ローンの引き落とし。
朝の貴重な時間を、またATMに費やさなければならないと思うとがっかりだ。

明日は何分待たされるだろうか。
 


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