ショート・ストーリー~いつかはママみたいに
私のママ。
こういっちゃなんだけど、私から見てもカッコいいと思う。手足も長いし、どんな洋服だって着こなしちゃう。
私のママは、そのへんのママとはちがうの。
それが自慢だった。
でもね、最近はそれを素直に言えなくなったの。
だって、コータったら、ママの話ばっかりするのよ。
そりゃママはセンスいいわよ。料理だってパパッとおしゃれな盛り付けするし。
私がコータのために一生懸命作ったアイシングクッキー。
私、頑張ってひとりで作ったのに。
それなのに、あいつったら。
「カナのママは、料理上手だね」なんて。カチンときて、奪い返してやったわ。
「カナ、どこにいるの?」
あ、ママからLINEだ。
返してやるもんか。今日は帰らないんだから。
「コータくん、心配して家に来てくれてるわよ。カナにひどいこと言っちゃったって」
ふん。今さら言ったって、許してやらないんだから。
既読をわざとつけて、私は公園のベンチで時間をつぶす。
だんだん暗くなってきた。
「カナ」
またママからだ。
「今日はママの誕生日だから、オムライスにしたわよ。コータくんもしょんぼりしてカナを待ってるわ」
そうだ。
今日はママの誕生日だった。
私ったら、自分のことばかりで忘れていた。
ママのオムライス、美味しいんだよな・・・
お腹がぎゅうっとなった。
「もう!しかたない、帰ってやるか」
私は制服のスカートを手で伸ばしながら歩きだした。
ママ、くやしいけど大好き。
お誕生日おめでとう。
カニさんへ、
ピリカからのプレゼントです。
お誕生日おめでとう!
ピリカグランプリの賞金に充てさせていただきます。 お気持ち、ありがとうございます!