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怪獣のシエスタ

ここ2日間ほど、子どもが昼間12時頃から昼寝をしてくれるようになった。今まで抱っこか車の中でないと日中に自分から寝ることは少なかったので驚く。さっきまで聞こえていた奇声が聞こえないので覗いてみると、目を閉じて口はへの字に曲げて顔だけ横を向き、うつ伏せの状態でモップのように布団にくたっと広がっている。いつも頭をいやいやするので擦れてパリパリになった後頭部の黒い髪の毛の束も、オブジェのように空中でピタリと動かない。

しめたとばかりに、久しぶりの自分時間を満喫する。抜き足差し足で散らかった部屋の掃除をする。カタンと音を立てると、ハッとして子の方を見る。まだ寝ている。外に宅配トラックの停まる音が聞こえる。玄関まで「はーい」と言いながら走って行き、大音量のピンポンを押される前に荷物を受け取る。この静かな時間をなるべく長く保ちたい。息を潜めて、怪獣の休息を遠目で見守る。

中断されずに集中できるってなんて自由なんだろう。今まで当たり前だった一人の時間が宝物のように貴重だ。作業ははかどってありがたいが、あまりに静かなのでふと怖くなって口元に顔を寄せてみる。音はしないがかすかな風が頬を触る。生きている。結局この日、11:30〜15:00まで延々と寝続けたのだった。

降って湧いたような自由な時間の代償は、夜3時から延々と続く夜泣きだった。昼夜逆転してしまうので、昼寝は1時間くらいまで。わかっちゃいるけど、せっかく寝入ってくれているのを起こすのは勇気がいる。

さて、日差しを浴びに出かけましょう。