8がつ棒じつ、七

久しぶりにおばあちゃんに会った。
耳は遠くなり、歩くのは杖をつきながらゆっくりと、近いところの記憶はあやふやになり、おなじ話を何度かしていた。年を重ねていく姿をまざまざとみせてくれた。いつかじぶんにもおとずれる旅の晩期。
波はたかく、ゆっくりと海水浴はできなかったけども、波をみていると飽きなかった。
家へ帰ると柿の木のしたにおいてあるめだかの水槽がひっくり返っていた。赤ちゃんめだかの水槽はからからでみな死んでしまった。親めだかの水槽はわずかに水がのこっていて三匹みな泳いでいた。風で門が開閉してつよくぶつかったのだろうか。水槽をきれいにし、くみおきした水をたっぷりと入れてやった。三日後めすの腹にまた卵がついている。ちいさな魚の命のつよさ。本人たちはあたりまえの顔をして泳いでいる。
打ち上げ花火の音がしている。姿はみえない。たびたび窓辺にいってみるがやはりみえなかった。夏の音。
空気がかわった。稲穂がふくらんでいる。
もらったカボチャでカレーをつくった。玉ねぎとにんじんも入れてトマトジュースで煮込んだ。とてもうまい。

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