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Show Time 寿司

関口Show太は悪たれである。人の生き血を啜り、悲嘆を喰らって生きてきた。実の父親と、親代わりの師匠、幾多のライバルから学び、継ぎ、あるいは盗んだ寿司の技は、いつしか並ぶ者のない――その技から身を守る術は誰にもない、それほどの高みにあった。

ひとめ見れば涎が溢れ、ひとつ口にすれば柏手が止まらない。その寿司は、もはや麻薬か暴力か。関口は、そうして人を壊してはにたりと笑った。

関口にも敵があった。とりわけ、かつて寿司全体主義(スシズム)を掲げて北海道を牛耳った、SS寿司の跡継ぎ――SchutzStaffel木剛志とは、不倶戴天であった。

そのSS木は、関口の寿司を喰らって斃れ、そして還ってきた。寿司に侵された感覚器官を丸ごと機械に換装した寿司サイボーグとなり、復讐を誓って。


関口Show太は悪たれである。同じ相手を二度まで壊す歓びに、獰猛に笑って嘯いてみせた。

「さあ――Showtimeの寿司だぜ」

【つづく】

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