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推薦図書など

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推薦図書や思ったことなどを載せてみまーす('◇')ゞ
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現代民話考[9] 不思議なタモの木

note書くの久しぶりだ~。 「現代民話考[9] 木霊・蛇」まだ読み終わってなくて、自分なりの総括も出来てないんだけど、 すごく素敵なお話が一つあったので、取り急ぎ紹介させてください。 青森県 北津軽郡というところでの、昭和33年頃のお話。 一面田んぼの水平線に、集落があり、その中央に、こんもり鎮守の森がある。その真ん中に、白い枯れた枝をのぞかせて、一段と高い木が見える。 村のお年寄りに、ご神木と呼ばれている「タモの木」である。 (タモの木ってあれかなあ…近所に街

第十一戒

また、ミラン・クンデラの「不滅」より。 モーセの十戒に 「汝 嘘をつくなかれ」と書いていなかったのは、その前に、「答えよ」 と言わなければならないからだそうです。 「嘘をつくな」「真実を言え」は、ある人間が他の人間を対等とみなす限り、他の人間には向けてはならない命令である、とクンデラ氏は言っています。そして神様だけは、この言葉を言っていいかもしれないけど、神様はすべてお見通しだから、われわれの答えなどいささかも必要としてはいないだろうと。 答えを強要する権利は、事件を審

読書の原点

あなたの読書の原点は何?と聞かれたら、迷わず、「アルプスの少女」と答えるでしょう。祖母にもらいました。 小学校低学年だったけど、とても共感できました。ハイジと同年代だったからかな… アルプスの自然の素晴らしさ、わらのベッド、パンとチーズ、ミルク、優しいおじいさん、辛いフランクフルトの日々…子どもの向け優しい文章だったし、漢字にはルビがふってあったし、それに、やっぱり名作って引力があるんじゃないでしょうか。夢中で読みました。 おばあさんはこの本が余程好きだったらしく、数年

金田一さんはなぜ愛されるのか~春の横溝正史まつり~

(もう夏っぽい…((+_+))) 数えたことないんだけど、横溝正史の本が20冊くらいあります。半分以上は親戚のおばさんにもらった古い文庫本で、ページは茶色に変色し、今の本より字がだいぶ小さい。 でも大事に読んでいます。なので金田一さんに関しては結構詳しいです。 例えば、ワタシの知ってる限りでは、金田一さんは2回くらい恋をしていらっしゃいます。 一人は、「獄門島」の早苗さん。 事件が解決して獄門島を去る時、大網元の家系に一人取り残される結果になった早苗さんに、金田一さ

オオカミのダイモンが欲しい……「黄金の羅針盤」

「ロード・オブ・ザ・リング」がヒットして、ファンタジーブームになった時、「ライラの冒険/黄金の羅針盤」という児童書に出会った。 映画化されたのでご存じの方もいるかもしれない。しかし映画は第1部だけの尻切れトンボで終わってしまった。原作は3部作で「神秘の短剣」「琥珀の望遠鏡」と続編があり、文庫で全6巻になるのだ。全編とても面白く、何度か読み返している。 作者はイギリスの英文学者フィリップ・プルマンという人で、子ども向けの本のはずなのに、内容が内容なので、続編が作られなかった

邪悪について -LiveとEvil-

1.「邪悪」とは①愛を装うわれわれ人間は一人ひとりがユニークな存在である。 人間一人ひとりの持つユニークさが、人間一人ひとりの「私という存在(アイデンティティ)」にしているのであり、人間一人ひとりに別個のアイデンティティを与えているのである。 一人ひとりの魂には境界があり、また、われわれが他人とつきあうときは、この境界を尊重するのが普通である。自分自身の自我の境界を明確にし、また、他人の自我の境界をも明確に認識することが、精神的健全性の特性でもあり、前提条件でもある。どこか

許されざる者

夏に読んで面白かったので紹介します。 きょうび、「ヨーロッパミステリ」なる分野があるんですね。 作者は スウェーデンの レイフ・GW・ペーションさんという方です。 スウェーデンってところが珍しくて 何か色々受賞されてるみたいなので、読んでみることに。(権威に弱い) これはすっ飛ばさないでじっくり読みました。 しかも面白かったので2回じっくり読みました。 ミステリなので事件が起こるんですが すでに時効を迎えた殺人事件で 被害者は美しい9歳の少女 小児性愛者に

狼に魅せられた話~現代民話考を読んで~

松谷みよ子先生といえば、「龍になった子ども」や「怪談レストラン」などの児童書で知られていますが、民間伝承を熱心に集めて、現代の「遠野物語」構築を目指しておられたようです。 人間がいるところに民話はふつふつと湧き出てくる、というのが、先生の持論らしく、その集大成が、「現代民話考」全12巻なのです。 この面白そうすぎるラインナップのうち、真っ先に「狼・山犬」の巻を読んでみました。民話と言えども狼は確かに存在していたので、どんな話が語り継がれているのかワクワクしながら読みました